ぶなうた


”木材太めのほうがいい 方舟三階建てでいい”

大事なものをぞんざいに扱う人はどこかかっこいい。時価ウン億円みたいなダイヤモンドを扱う場合、ガードマンを雇ったり、手袋をはめないと触れなかったり、むしろ叶姉妹には貸さなかったり、丁寧に厳重に扱わないといけないわけだが、この場合かっこいいのは石のほうだ。人はどっちかって言うとかっこ悪い。主従逆転感がある。


”動物つがいで乗せりゃいい 方舟なんとか浮けばいい”


それを思うと、ぞんざいに扱う人はちょっとかっこいい。風呂上がりにダイヤで足つぼをぐいぐい押す人。ハラハラする。ハラハラさせる人はハラハラさせない人…


”ざんざん降ればざんざんと 世界を飲み込む大洪水”


…よりかっこいいのだ。大事だろうがものはもの、どう扱うかは自分で決める。そんな…


”嵐が心を流したら 歌い出すのさ舟唄を”


…感じがかっこいい。さて、さっきからうるせえのは「舟唄『ノア 約束の舟』バージョン」だ。ノアの方舟の話を映画化したやつのPRイベントで八代亜紀本人がこれを歌ってた。もちろんメロディはあの「舟唄」そのもの、替え歌だ。すごいぞんざいさである。これから先「舟唄」を聞く時も、さらにはこれから「ノア」を見に行った時もこれを思い出すだろう。往年の名曲と近日公開の映画、過去と未来の両方向にぞんざいだ。時をかけるぞんざい。

八代亜紀といえば思い出すのは「雨の慕情」を使ったダイエット法「雨降れウォーク」だが、これとノアの方舟唄(「はこぶなうた」と読みたい)で二大代表曲揃い踏みだ。こういうワイルドさというか図太さというかサービス精神というかはほんとにいい。「作品の世界観が…」とかうるせえ。クソして寝ろ。大事なものなんかぞんざいに扱ってしまえばいい。ぞんざいに扱ったくらいで壊れるものは大事じゃない。つまり裏を返せばこれは「雨の慕情」や「舟唄」のパワーを八代亜紀自身が誰よりも強く確信してることの表れでもあるのだ…あるよね?


”鳩が空からオリーブくわえてヨ 新たな世界にヨ 虹かかる ダンチョネ”


……あるよ、うん…。

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