さよなら空気の精

”Q1:アリエールとはどういう意味ですか?

A1:アリエールという名前の起源は、ヘブライ語で”神”を意味していますが、中世からは”空気の精”という意味で使われています…(以下略)”

          P&Gホームページ「アリエールについてのQ&A」より


それにしたって、日本語話者なら当然「アリエール」から「あり得る」というダジャレを即座に連想してしまうわけである。口に出すかはまた別だが、この質問がFAQのトップバッターにのし上がるに至った功労者である何百だか何千だか何万だかの「アリエールの由来を聞いてきた人」のうち、結構な割合の人が「まさかダジャレなんじゃ…」という疑念を抱いてたはずだ。

みんな薄々思ってるけどあまり口には出さない、さらに本人もみんなが薄々思ってるって薄々わかってる、こういう状況はかなり気持ち悪いはずだ。親の七光り、財産目当ての結婚、ヅラ、ダジャレ。比較的ダジャレは軽い方だろうけど、でも気持ち悪い。しかもほんとはダジャレじゃないんだからなおさらだろう。違うんだ、ダジャレじゃないんだ、ヘブライ語で”神”なんだ、”空気の精”なんだ。


”あり得ない?アリエールでしょ。”
            
            「洗濯科学のアリエール ジェルボール」CMより


たまたまCM見ててハッとした。言ったのだ。白衣を着た生田斗真が、CMの最後に得意気に。記憶違いでなければ、P&G側からここまでハッキリとダジャレとしての「アリエール」を使ってきたのははじめてじゃないか。ついに白旗あげたとも言える。理屈や知識はダジャレ引力には勝てない。そりゃ「アリエール」は「あり得〜る」だろう。ヘブライ語だか”空気の精”だかなんだか知らねえけどさ。

一応、P&Gの名誉のために補足しとくが、「アリエール」は元々ダジャレではない。”空気の精”ももちろん本当だろう。なんたってP&Gはアメリカの会社だし、「アリエール」も世界中で売ってる。しかし、それでもダジャレには勝てない。ダジャレの引力の前では人間は無力なのである。年とともにダジャレが増えるのもきっとそういうことだ。というわけで、日本では「アリエール」はダジャレだということに決定した。なんかスッキリしたろ、お互いに。

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