ちゃう系

「出る系社長」の中には「出ちゃう系社長」がいる。出る系っていうとたかの友梨、ワタミ、高須院長、マダムシンコ、すしざんまい、一昔前は関口房朗、なんでんかんでん、アパホテル等々。厳密に肩書が社長じゃなくてもいい。自社の商品の効果を身をもって示そうという気概(美容系に多い)を持ってたり、ただ出たいだけだったり、その両方だったりする会社のトップだ。

その中でも、「この人は果たして広告塔になり得るのか?」「っていうかむしろイメージダウンになりかねないんじゃ?」という不安をこちらの心に芽吹かせるのが「出ちゃう系」である。コラーゲン食品のHRKの「愛しと~と」っていうおばちゃんとか、スーパーミリオンヘアー(ハゲにふりかけて使う人工毛)の社長あたりが個人的にそれに当たる。主に昼間のテレビCMに生息してる。

そしてこういう社長が好きだ。いや、一次的にはやっぱり出ないほうが賢明だと思う。堂々と街を闊歩する愛しと〜とおばちゃんのなんとも言えない歩き方。検索して動画を見てみてほしい。もっと愛嬌があったり美人だったり面白かったり威厳があったりする人いるだろう、金払えば。でも出ちゃう。なぜか出ちゃう。そこが好きだ。二次的に好きなのである。出ないほうがいいと思うからこそ出てほしい。

前から思ってたけど「アスカの南部です。」もいい。飛鳥地方の南部じゃない、アスカっていう健康食品の会社の南部社長が放つ、例によって昼頃によく出くわすCMの第一声が「アスカの南部です。」だ。いきなり「アスカの南部です。」って言われてもな、と毎回思う。

セールスの電話をかけないことを「愛」(自分がされて嫌なことはしないってことだそうだ)と表現してしまうロジック、そしてそれを語る南部社長の怒ったら死ぬほど怖そうな顔。そして最後に「私は社長である前に人間でありたい。」と締める。CMに出張ってきてわざわざ人前で人間宣言することが逆説的にもたらす、この途方もない「社長」っぷり。いい…。「出ちゃってる」な。これで社員まで「出ちゃった…」って思ってたら最高なんだけど、どうなんだろうそこんとこ。

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