お姉ちゃんが帰ってきた

ひとり暮らししていたお姉ちゃんが実家に帰ってくることになった。

入社する前から辞めたいと言っていた会社を辞めて、転職したらしい。

新しい仕事はリモートが多く、職場の近くに部屋を借りる必要がないから実家に帰ることにしたと。

まあ、私は別にふーーんって感じで、へーーって感じだった。

ひとつ言うなら、お姉ちゃんの部屋にいろいろ荷物を置かせてもらってたのでその荷物片付けなきゃなーって感じ。

家も狭くなるし、うーーんって感じ。

テレビのチャンネル権争いも競争率が高くなるし、うーーんって感じ。

お風呂も順番考えなきゃいけないし、うーーんって感じ。


ぜんぜん１つじゃなかった。

お姉ちゃんが帰ってくるという話はお母さんから聞いた。


「お姉ちゃん、急に帰ってくるって言うんだよー、困るよね？」


お母さんはニコニコしながらそう言った。


なんだかんだ娘が帰ってくるのが嬉しいんだろうな、と思わずにはいられない表情だった。

私はその投げかけに対し、

「へー、そうなんだ。家狭くなるじゃん」

と、お母さんと同じ顔をして言った。

なんだかんだ、お姉ちゃんが帰ってきて嬉しい、という顔で。