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自分の視野をせまくする 危険な3つの言葉とは

こんにちは! サイトーです。

今日のテーマは、「自分のことばづかいから、自分の視野がせまくなっていないかチェックしてみる」です。

新しい年度を迎えてひと月。学校や職場での環境の変化にもそろそろ慣れて、新しい仲間や職場での関係も広がってきたところ。
視野も広く、選択肢の根を広げていく時期……なのに、無意識に口ぐせになっていることばが、自分の選択肢をせまくしてしまったり、相手との関係をきゅうくつなものにしてしまったりすることがあるんです。
いつも使っている無意識の言い回しが、意図せずあなた自身を縛っている。けれど、意識すれば、その「せばめる言葉」を使いこなして視野を広げることもできますよね

そんな「せばめる言葉」の中でも、無意識に使いやすくて危険度の高い3つをご紹介します。めっちゃ文字だらけ。

1、「せっかく」

私の勤め先では、親子でヨットに乗る《ヨットデー》が開催されます。そこでの出来事を紹介しますね。
ある年の《ヨットデー》に参加した父子。パパはヨットにすごく興味があって、ヨット乗船体験用のヨットを前にして息子くんにも「乗ろう」と誘いました。でも息子くんは「嫌だ、乗らない」と答えます。パパは手を変え品を変え「せっかくだから」と一緒にヨットに乗るように誘いますが、息子くんは乗らない、の一点ばり。
その様子を見かねた主催者が、父子に声をかけました。「息子くんはどうして乗らないの?」そう質問すると、息子くんは「ヨットがいつ沈むかわからないから危険だ」と答えました。パパはついに業をにやして、言いました。
「せっかくヨットに乗れるのに…」
そこで主催者はパパの方に向き直ってこう伝えました。
「息子くんは理由があって、乗らないという判断をしている。この判断がもしかしたら正しいかもしれない。これからヨットが出航して、無事に港に戻るという完全な保証はないです。いま、〈乗りたい〉という気持ちを持っていらっしゃるのはお父様ですよね。でしたら、息子くんはスタッフが預かりますから、お父様お一人で乗っていらっしゃるのはどうですか?」
パパはそれもそうだ、と頷いて、お一人でヨットに乗り込みました。その後、その日のヨット乗船体験プログラムに2回参加したパパは、一度も乗らなかった息子くんとおうちに帰ったそうですーー

ここで登場したパパは「せっかく」と言って、ヨットに乗ることの楽しさにのみ注目しています。そして息子くんの「乗らない理由」を押し切り、「ヨットに一緒に乗りたい」という自分の気持ちを通そうとしていました。

「せっかく」という言葉には、このように「他の選択肢を見ずに一つだけの道に突き進む」という心情が現れます。

誤解をしないでほしいのは、「せっかく」を使うな、という話ではないんです。
この一途な表現は、「せっかくだから」と状況の後押しを受けて一つ行動を進めるような場面に良い作用をもたらします。「こんなにお誘いいただいているし、せっかくだからお言葉に甘えようか」みたいな言葉が出てくる時は、一つの選択肢に自分と周囲を引き込むわけです。浦島太郎が、亀のお誘いを受けて竜宮城にいくなんていう時はこういう、一つコマを前に進める「せっかく」が使われる。

ただし、さっきのヨットの例のように、一方は乗りたい、もう一方は乗りたくない、というように相手と意見の相違がある場合は、「せっかく」がもう一方の心をないがしろにする作用を持ちます。
あるいは、「危険かもしれない」という可能性があるにも関わらず「せっかく来たんだから乗ろうか」というような場面では、自分の「乗りたい欲」とは逆の「危険」という可能性を視野から外してしまいます。
こんな時には「せっかく」は、自分の視野を狭める言葉として、あなたと周りをきゅうくつにしてしまうのです。

使うのに合った場面で「せっかく」を使い、合ってない場面で「せっかく」を使う自分に気づく。そのために、「せっかくだから」「せっかく〜なのに」という言葉が自分の口から出てきたら、ちょっと立ち止まって周りを見てみる……それが、危機を回避するポイントじゃないかなあと私は思っています。

2、「じゃあ」

「じゃあ」「では」という言葉は、
「じゃあ」の前に物事が整頓されていたり、合意ができていたりする時に、さらに1ステップ進む という意味を持ちます。

この「じゃあ」も使いどころを間違えると、相手の気持ちをないがしろにしてしまう危険ワード。
こんな場面に出くわしたことはありませんか?

子「行かない」
大人「じゃあひとりで待ってる?」
子「そうじゃなくて…」
大人「我慢して一緒に行く?」
子「待って」
大人「じゃあどうするの?」

スーパーマーケットの親子とか、学校の先生と児童とか、どんな大人と子どもの場面でも、こういうやりとりってよくあるなあと私は感じています。
この時の大人の「じゃあ」は、子の気持ちに勝手に区切りをつけてしまっています。

子「行かない」
この「行かない」は、どんな理由で発せられた言葉なんでしょうか? 背景がわからないので、この一言では物事を終結=整理することはできません。
なのに
大人「じゃあ〜」
こう応じてしまうと、子どもの発言の背景や心情を整理しないうちに、次のステップ・別の選択肢へと進んでしまう。
こうすると、子どもは「自分の話を聞いてもらえていない」と感じ、事態が先に進まなくなってしまうのです。

私は、この「じゃあ」はすご〜く言っちゃう!!
言って大成功の場面もあります。それこそ、相手ともう気持ちが通い合ってて、「じゃあ、いこっか!」と一緒に一歩を進められる時なんてすごく快感。

だけれど、相手との合意が図れてないのにも関わらず「じゃあ〜」と言っちゃうともあるんですね。
私と周りの人とのせま〜い範囲で分析してみたんですけれど、おそらく原因は、焦り。目の前に思い通りにならない悪い状況がある時に、別の解決方法がないかな〜と考えることによる「焦り」です。そうやって思案した結果として「じゃあ」って言っちゃうんじゃないかなあ。目の前の「悪い状況」に向き合わずに、別の可能性を掴もう、見つけよう、と思ってしまう。大体そういう時の「別」って、うまく行かないと思いませんか…?

こう、不用意に「じゃあ」って口にしちゃったのに気づいた時には、言っちゃった後にフォローするようにしてます!
「じゃあ(あっやべっ…)、あなたが行かないのってお腹が空いてるってことかな?」とか、「じゃあ(あっやべっ…)、今までの話を整理するね」とか。

(あっやべ…)と思った後に、状況を整頓するような言い方を入れちゃう。
言いたいはずの別の選択肢は、発言にしない。

ちょっと無理矢理なんだけど、相手に無理させるよりいいかなって思って、多少言い回しが変でもいいから、相手の方にベクトルを向けるようにしてます。これで、相手に対して強引に別の方向を向かせるような無理を避けることに、ちょっと成功しつつあります。いえい。


3、「〜いいですか?」

これは上下のある間柄の時によくある言い回し。
「資料ココに置いといていいですか?」
「これ今から発注していいですか?」
部下が上司に質問するときに「いいですか?」ってよく使われるのだけれど、これも要注意!!

「いい」「悪い」って、価値観ですよね。
価値観ってそれぞれの人が違う。誰にとって「いい」のか、何がどう「いい」のか、その判断基準もみんな違うんです。これって当たり前のことなのに、「いいですか?」という言い回しではその価値観が軽んじられてしまう。だから、使うときに注意が必要です。

相手が使っている時も、少し注意して相手を観察する必要があります。
もしかしたら他のアプローチがあるかもしれないのに、相手は勝手に「いいか・悪いか」の二択に絞って、自分の首を絞めているかもしれないのです。

これについては、ちょっと前の出来事を紹介します。
ある日、AちゃんとBちゃんが喧嘩をしました。BちゃんはAちゃんに対してすごくすごく怒っていて、怒りに身をふるわせながら私(大人)に聞いてきました。
「あいつ、殴っていい?」
私は返答に悩みました……殴っちゃダメ…なんだけど、なんでダメなのかって理由は「人を傷つけてはいけない」みたいな道徳の範囲であって、Bちゃんの気持ちに寄り添ってない。Bちゃんの正義や今の気持ちも大切にしたい。だけど、Bちゃんは今「殴っていいか悪いか」という二択に追いやられていて、きゅうくつそう。
私は、
「殴っていいか悪いかは私にはわからない。Bちゃんが決めるんだよ。殴るか、殴らないかだよ。どうする?」
Bちゃんは、「どうする?」という言葉でちょっと考えるそぶりをしました。そして「うん、考える」と言って、Aちゃんとは逆の方に歩いて行きました。
少し経って、BちゃんはAちゃんに近づいて行きました。そうして、一枚、手紙を渡したのです。
Aちゃんに見せてもらったら、手紙にはこう書かれていました。
《謝るか、殴られるか、どっちがいい?》

二択に絞って回答を急ぐようなやりとりなら、「いいですか?」「いいよ!」は簡潔ですごく役に立ちます。
一方で、生き方とか、多様さとか、そういう「みんな違う」を前提にしたやりとりでは、「〜いいですか?」は不自由を生みます。自分の選択肢を絞るだけではなくて、相手の価値観を絞ることにもなり得る。
場面を見極めて、「いいですか?」を自由自在に使いましょう!

まとめ

「せっかく」「じゃあ」「いいですか?」
これらはどれも、場面に合わない使い方をすると自由を奪う危険な言葉です。
場面の合う・合わないを見極めるには、状況や相手の表情など、目の前のことがらをじっくり観察して、ていねいにこれらの言葉を使ってみてはどうでしょうか。
口からでたあとに「あっやべ!」と思ったって大丈夫。
話す相手の表情から読み取れる気持ちや価値観を大切にして、自分の言葉を自由に操っていきましょう!

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                  ことば塾舎anone||サイトーアキコ

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