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令和5年-徴収法〔雇保〕・問10-A「通貨以外のもので支払われる賃金」

労働保険徴収法

通貨以外のもので支払われる賃金

今回は、令和5年-徴収法〔雇保〕・問10-A「通貨以外のもので支払われる賃金」です。

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労働保険徴収法における「賃金」のうち、食事、被服及び住居の利益の評価に関し必要な事項は、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長が定めることとされている。

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「通貨以外のもので支払われる賃金」に関する問題です。
 
次の問題をみてください。
 
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【 H19-雇保9-D 】
労働保険徴収法における「賃金」は、通貨で支払われるもののみに限られず、食事、被服及び住居の利益のほか、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長の定めるものも含むものとされている。

【 R元-雇保10-C 】
労働保険徴収法第2条第2項の賃金に算入すべき通貨以外のもので支払われる賃金の範囲は、労働保険徴収法施行規則第3条により「食事、被服及び住居の利益のほか、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長の定めるところによる」とされている。

【 H14-雇保8-D 】
労働保険料の算定の基礎となる賃金のうち、通貨以外のもので支払われるものの評価額は、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長が定める。

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労働保険徴収法において、「賃金」とは、「賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うもの」をいい、通貨で支払われるもののみに限らず、一定の範囲の現物給与も含まれます。
ただ、現物給与を何でもかんでも賃金として扱うのは適当ではないので、「通貨以外のもので支払われるものであって、厚生労働省令で定める範囲外のものを」除くことにしています。
言い方を変えれば、「厚生労働省令で定める範囲」のものは、賃金とするということです。

この「厚生労働省令で定める範囲」は、食事被服及び住居の利益のほか、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長の定めるところによることとされています。
つまり、食事、被服及び住居の利益で労働の対償として供与されるもののほかは、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長が具体的に定めた範囲内の現物給与に限り賃金に算入されます。

現物給与の評価額については、過去においては「所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長」が定めることとされていましたが、社会保険においては、現物給与の評価額については、地方社会保険事務局長が定めることとされていて、評価内容も異なっていました。
そのため、社会保険と労働保険の徴収事務の一元化を推進する観点から、社会保険・労働保険とも同じ内容を厚生労働大臣が統一して定めることとし、事業主の事務負担軽減を図りました。

これにより、範囲を定めるのは所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長ですが、賃金のうち通貨以外のもので支払われるものの評価(食事、被服及び住居の利益の評価)に関し必要な事項は、厚生労働大臣が定めることとされています。

ということで、【 H19-雇保9-D 】【 R元-雇保10-C 】は正しいですが、評価に関し必要な事項を定めるのを「所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長」としている【 R5-雇保10-A 】は、誤りです。

【 H14-雇保8-D 】は、出題時は正しかったのですが、現在の規定では誤りです。

行政官職名を論点にした問題はよく出るので、「所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長」なのか、「厚生労働大臣」なのか、間違えないようにしましょう。

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