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令和5年-徴収法〔労災〕・問9-D「労働保険事務組合等の納付責任」

労働保険徴収法

労働保険事務組合の納付責任

今回は、令和5年-徴収法〔労災〕・問9-D「労働保険事務組合等の納付責任」です。

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労働保険事務組合事務処理規約に規定する期限までに、確定保険料申告書を作成するための事実を事業主が報告したにもかかわらず、労働保険事務組合が労働保険徴収法の定める申告期限までに確定保険料申告書を提出しなかったため、所轄都道府県労働局歳入徴収官が確定保険料の額を認定決定し、追徴金を徴収することとした場合、当該事業主が当該追徴金を納付するための金銭を当該労働保険事務組合に交付しなかったときは、当該労働保険事務組合は政府に対して当該追徴金の納付責任を負うことはない。

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「労働保険事務組合等の納付責任」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H25-雇保8-A 】
労働保険事務組合は、概算保険料の納期限が到来しているにもかかわらず、委託事業主が概算保険料の納付のための金銭を労働保険事務組合に交付しない場合、当該概算保険料を立て替えて納付しなければならない。

【 H6-雇保10-D 】
労働保険事務組合は、事業主に代わって、事業主が政府に対して負う労働保険料その他の徴収金のすべての納付の責めに任ずるものであり、労働保険事務組合が労働保険料を納付しないときは、政府は当該労働保険事務組合に対して督促を行う。

【 H11-雇保10-D 】
労働保険事務組合に委託する事業主が、労働保険料その他の徴収金を納付するため、金銭を労働保険事務組合に交付したときは、その金額の限度で、労働保険事務組合には、政府に対して当該徴収金の納付責任がある。 
 
【 H16-労災10-C 】
事業主が、労働保険事務の処理を委託した労働保険事務組合に労働保険料等の納付のため金銭を交付したときは、その金額の限度で、労働保険事務組合は、政府に対して当該労働保険料等の納付の責めに任ずる。

【 H17-雇保10-B 】
事務組合に委託する事業主が、労働保険料その他の徴収金を納付するため、金銭を事務組合に交付したときは、その金額の限度で、事務組合は、政府に対して当該徴収金の納付責任がある。

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労働保険事務組合は、事業主の委託を受けて労働保険事務の処理を行います。
その1つに、労働保険料等の納付があります。
この労働保険事務組合が行う納付というのは、あくまでも、事業主から納付すべき金銭が交付された場合に、その範囲で行うものです。
徴収法では、
第33条第1項の委託に基づき、事業主が労働保険関係法令の規定による労働保険料その他の徴収金の納付のため、金銭を労働保険事務組合に交付したときは、その金額の限度で、労働保険事務組合は、政府に対して当該徴収金の納付の責めに任ずるものとする。
と規定しています。
ですので、事業主が金銭を交付しないのであれば、労働保険事務組合には、納付する義務は生じません。
立て替えて納付するなんてことになったら、労働保険事務組合の負担が大きくなり過ぎます。そのため、そこまでは求められていません。

【 H25-雇保8-A 】では「立て替えて納付しなければならない」とあり、誤りです。
【 H6-雇保10-D 】では「事業主に代わって・・・すべての納付の責めに任ずるものであり」とありますが、納付責任があるのは、交付を受けた分だけですから、この問題も誤りです。
その次の3問は正しいです。

労働保険事務組合が納付責任を負うのは、事業主からに交付を受けた金額の限度ですからね。
この箇所は、いろいろと言い回しを変えて誤りにしてくるってこと、今後もあるでしょうから、間違えないようにしましょう。
それと、【 R5-労災9-D 】も「事業主が当該追徴金を納付するための金銭を当該労働保険事務組合に交付しなかったときは、当該労働保険事務組合は政府に対して当該追徴金の納付責任を負うことはない」としていますが、この問題の場合、前提が違います。
この問題の追徴金の徴収については、労働保険事務組合の責めに帰すべき理由があるため生じたものです。
このような場合、その限度で、当該労働保険事務組合は、政府に対して当該追徴金の納付責任を負うことになるので、「納付責任を負うことはない」というのは誤りです。

事業主が労働保険事務組合に金銭を交付しない場合、常に労働保険事務組合に納付責任がないというわけではないので、この点、注意しておきましょう。


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