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令和5年就労条件総合調査の概況<年次有給休暇>

今回は、令和5年就労条件総合調査による「年次有給休暇」です。
 
令和4年の1年間に企業が付与した年次有給休暇日数(繰越日数を除きます)をみると、労働者1人平均は17.6日(令和4年調査17.6日)、このうち労働者が取得した日数は10.9日(同10.3日)で、取得率は62.1%(同58.3%)となっており、昭和59年以降過去最高となっています。
取得率を産業別にみると、「複合サービス事業」が74.8%と最も高く、「宿泊業,飲食サービス業」が49.1%と最も低くなっています。
 
取得率を企業規模別にみると、
1,000人以上:65.6%
300~999人:61.8%
100~299人:62.1%
30~99人 :57.1%
となっています。
 
また、年次有給休暇の計画的付与制度がある企業割合は43.9%(令和4年調査43.1%)となっており、計画的付与日数階級別にみると、「5~6日」が72.4%(同71.4%)と最も高くなっています。
 
年次有給休暇の取得状況については、過去に何度も出題されています。
 
【 H24-5-A 】
企業規模計の年次有給休暇取得率は50%を下回っており、企業規模別でみると、1,000人以上規模の企業の方が30~99人規模の企業よりも高くなっている。
 
【 R4-2-E 】
労働者1人平均の年次有給休暇の取得率を企業規模別にみると、規模が大きくなるほど取得率が高くなっている。
 
【 H8-3-C 】
労働省の「賃金労働時間制度等総合調査」(企業規模30人以上)により、労働者1人平均の年次有給休暇の取得状況をみると、平成6年以前の10年間については、年次有給休暇の取得率(取得日数を付与日数で除したものの百分率)は60%未満にとどまっている。
 
【 H10-2-C 】
労働省の「賃金労働時間制度等総合調査」によると、大企業を中心にリフレッシュ休暇等の各種の休暇制度の普及が進んだことから、平成8年において、企業規模30人以上の企業における労働者1人平均年次有給休暇の取得日数は、前年に比べて増加し、13.4日となった。
 
【 H28-4-D 】
年次有給休暇の取得率は、男女ともに50パーセントを下回っている。
 
 
【 H24-5-A 】に関しては、出題当時の年次有給休暇取得率は50%を下回っていたので正しかったのですが、令和5年調査では50%を上回っているので、令和5年調査としての問題であれば、誤りになってしまいます。
 
それと、企業規模別の状況の記載もあり、この点は、【 R4-2-E 】でも出題されています。
企業規模別で見ると、出題時はいずれも、規模が大きくなるほど取得率が高くなっていたので、【 H24-5-A 】の企業規模別の状況の箇所は正しく、【 R4-2-E 】も正しいです。
ただ、令和5年調査で考えると、規模が大きくなるほど取得率が高いのではないので、【 R4-2-E 】は誤りになります。
 
【 H8-3-C 】も、正しい内容の出題でした。
出題当時の年次有給休暇取得率は50%台で推移していたので、「60%未満」なんていう出題をしたのでしょう。
年次有給休暇取得率については、その後、平成13年調査から平成29年調査までは、50%を下回る状況が続いていましたが、平成30年調査で久々に50%を上回り、令和2年から5年は4年続けて過去最高となり、令和5年調査では60%を超えています。
この点は、注意しておきましょう。
 
【 H10-2-C 】は誤りです。
取得率がおよそどの程度なのかということを知っていれば、判断できるでしょう。
「13.4日」では、多すぎます。出題当時は「9.4日」でした。
令和5年調査は「10.9日」です。
 
【 H28-4-D 】では、性別の年次有給休暇取得率を論点としていて、出題当時は、男女計では50%を下回っていたので、男女とも50%を下回っているというのは、もっともらしいのですが、性別で見た場合、女性は50%を上回っていたので、誤りです。
男女別の状況は、令和5年調査に関しては、厚生労働省が公表した「令和5年就労条件総合調査の概況」に記載がありませんでした。
 


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