令和5年-健保法・問7-A「海外療養費」
今回は、令和5年-健保法・問7-A「海外療養費」です。
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現に海外にいる被保険者からの療養費の支給申請は、原則として、事業主等を経由して行わせ、その受領は事業主等が代理して行うものとし、国外への送金は行わない。
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「海外療養費」に関する問題です。
次の問題をみてください。
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【 H18-3-C 】
被保険者又は被扶養者が海外の病院等において療養等を受けた場合に支給される海外療養費は、療養を受けた日の外国為替換算率を用いて算定する。
【 H11-9-A 】
海外における療養費支給の算定となる邦貨換算率は、その療養を受けた日の外国為替換算率を用いる。
【 H14-3-C 】
海外出張中の被保険者が海外の病院で療養を受けた場合、その療養費の支給申請は事業主を経由して行い、事業主が代理受領することになっており、また、支給額の算定に用いる邦貨換算率は、支給申請日における外国為替換算率を用いる。
【 H21-6-C 】
現に海外にある被保険者からの療養費等の支給申請は、原則として、事業主等を経由して行わせるものとし、その支給決定日の外国為替換算率(売レート)を用いて算定した療養費等を保険者が直接当該被保険者に送金することになっている。
【 H27-2-C 】
現に海外に居住する被保険者からの療養費の支給申請は、原則として事業主を経由して行うこととされている。また、その支給は、支給決定日の外国為替換算率(買レート)を用いて海外の現地通貨に換算され、当該被保険者の海外銀行口座に送金される。
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海外の病院等で療養を受けた場合、そこは保険医療機関等ではないので、現物給付が行われることはありません。
そのため、被保険者は、とりあえず費用の支払をしておき、後日申請をして、療養費の支給を受けることになるのですが、海外ですから、通常、日本円で費用を支払うわけではありません。
とはいえ、保険者が被保険者へ現金給付するのは、もちろん日本円です。
そのため、海外で支払った額を日本円に換算しなければならず・・・
その換算には、いつの外国為替換算率を用いるのかというのが、これらの問題の論点の1つです。
外国為替換算率について、
【 H18-3-C 】と【 H11-9-A 】では、「療養を受けた日」
【 H14-3-C 】では「支給申請日」
のものを用いるとしています。
これらは、いずれも誤りです。
「支給決定日」の外国為替換算率を用います(【 H21-6-C 】は、この点は正しいです)。
保険者サイドとしては、保険給付をする時点、つまり、「支給決定日」ベースで療養費の額を算定しますってことです。療養を受けた時点や申請をした時点では、まだ保険給付が行われるって決まったのではないですから。
また、海外療養費の支給について、【 H14-3-C 】で「支給申請は事業主を経由して行い、事業主が代理受領することになっており」とありますが、そのとおりです。保険者が、海外にいる被保険者に送金したりするってことはありません(送金ができないってこともあるので)。
なので、「保険者が直接当該被保険者に送金する」とある【 H21-6-C 】は、誤りです。
【 H27-2-C 】も、「海外銀行口座に送金」とあるので、やはり誤りで、【 R5-7-A 】は正しいです。
それと、【 H27-2-C 】は、申請に関しては、そのとおりですが、「外国為替換算率(買レート)を用いて海外の現地通貨に換算」とあります。
前述したように、日本円に換算するのですから、この点でも誤りです。
ちなみに、外国為替換算率は、「買レート」ではなく、「売レート」を用います。
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