ピアスの話
入社採用試験に「能力テスト」と記載があり、体力なら馬鹿な私でもどうにかなるぞと体育着を持参したら、一般教養筆記だった。
そんな私は奇跡的に販売職に就くことができ、暇な時はパートさんと駄弁ってる。
先に言うが、この話に関してはずっと勤務中だ。あろう事か給料が発生している。
高校を卒業したからにはピアスを開けてみたいが勇気が出ないと話していたら、パートのオバチャンが「私娘の開けたことあるからできるわよ!今やる?」と自信に満ちた表情で言った。
友達には経験者が居なかったので、これは心強いと思い仕事を抜け、薬局にてピアッサーと消毒液を購入。仕事中だろうと関係無い、善は急げだ。
仕事場には2人分隠れられる謎のスペースがあったので、販売そっちのけでパートがピアッサーを握った。
怖いので目を閉じ息を止めていたら、左耳が開いた。よし、次は右耳だ。
心臓がバクバクしてうるさく、全身が心臓になったのではないかと思うほど緊張し、失神した。
30秒ほど気を失って倒れており、右耳は無事開いていた。
パートは私の名前を呼び混乱していた。
馬鹿な私は「失神って、寝落ちみたいだな」と初めて気を失ったことに感動していた。これほど呑気だと平和だ。
これで暫く私が目を覚まさなければ、大事になっていただろうが、「業務中にピアスを開ける新入社員」なぞ前例がある訳もない。
今考えれば始末書ではきっと済まされない。
こんな事があったので、私のピアスはよく見ると右耳の穴が少しズレてる。
渡辺さんがくれたチャームポイントだ。
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