あいつもそうだった

自分がその立場になってようやくわかった。

今私は、あいつと同じことをしている。
きっとあいつもこういう気持ちだったのだろうと
考えることが増えた。

合うのは体の相性だけで、付き合うことはないだろうし
最初に付き合おうて言われて承諾したのも
その時は久々に異性に好きと言われたことが嬉しくて
勢いでいいよって言っただけ。

別に呼べば大体来てくれるし優しく接してくれるし
自分に不都合なことは何もない。

なんだったら寂しい時に呼ぶ相手としてはマストだし
他で探すのも面倒だし、どうせ好きって言ってくれてるなら
この人でいいだろう。

愛してないし、好きでもないけど、一緒にいて嫌とかでもないし。
自分を満たしてくれる特別な存在。

そんなところだろう。

セフレっちゃセフレだけど、ご飯だけ一緒に食べて
帰ることもあるし、、
まあでもそういうのも、今後セックスできなくなるのを
回避するための大切な付き合いってやつかもしれない。

だから、おやすみ前の少し長めの「今日も楽しかったよ、また明日ね、
愛してるよ」とかそういうガチな感じのLINEもしたくない。
おやすみの一言だけで十分だ。

恐らく気持ち的に盛り上がったり、この関係のことを
真剣に考えているのも、あちらだけ。
でもそれはどう頑張っても、こちらの心には届かない。
都合が良くて申し訳ない気持ちも勿論ある。
けれども気持ちに嘘はつけず、その場しのぎの
「愛してる」しか言えない。

実は心から誰かのことを愛してると思ったことが
人生で一度もないのだから、尚更こんな関係の相手に
そんな感情が湧くはずがないのだ。

人間とは所詮こんなものなのだと、実感せずにはいられない。

近頃は、そんな自分を含めた人間のくだらなさというものに
失望してばかりだ。いくら貧しい環境にいようと恵まれた環境にいようと
きっと人間の本質は変わらず、それぞれの世界でそれぞれの
くだらなさが蔓延っているだろう。

誰を想って誰を恨んでも、やっていることはみな同じ。
考えることはできるが、それを表に出すことや
口にすることが容易ではない。自分を守るために。
と言っても考えることなんて、たかが自分を最大限
甘やかす事くらいしかないくせに。

だから、あいつを恨んでも、私も同じ人間だ。


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