鎖~繋がれた絆~chain2-4

また1人車内の席を埋めた。

トラブルメーカーの河井だ。

ルームミラーを見ると、セダン系の白い車が猛スピードで俺らを追いかけてくるのが分かった

河井は背は低く肩まで伸びているサラサラの髪に整った顔。後ろから見れば女性に見間違われてもおかしくない。そんな河井はUber eatsと書いてあるカバンを背負っていた

「河井!説明しろ!!どうなってんだよ!!」

俺は久しぶりなんて言ってる場合ではなかった。身体が忙しい。ハンドルを切ったりアクセルを踏んだり、おまけに口も動かす。

「拓也助かったよ、すみませんね…あれ?ヤザ?和泉?あれ??なんでみんないんの?」

「今、1億円追っかけてんだよ!」

ヤザは助手席から後ろの席にいる河井に話しかけながら、チラチラと追ってくる車に視線を向けた

「1億!?マジで言ってんの!?早く取り返せよ!」

河井が長い髪をかき分けながら俺に言ってきた。その顔がなんとも腹立たしい

「前の車追いかけてんだよ、なんで今度は追いかけられなきゃなんねんだよ、河井!降りろ!」

「拓也〜そうゆこと言うなよ〜仲間だろー、お!和泉!テキーラ持ってんじゃん!飲もうぜ!」

「よし。拓也俺がこいつ引きずり下ろすわ!」

「やめろ!ヤザ!テキーラが溢れる!」

ヤザが助手席から後ろの席にプロレスラーの様に飛び込んだ。車が余計に揺れた

そういうば昔からそうだ。

和泉と河井がふざけて。ヤザが暴れて。俺はそれを見てて。石井が…

「石井!石井が居た!!和泉!石井に電話してすぐにこっちに来てもらえ!!」

石井は自由人なやつだが話はちゃんと聞いてくれる。優しいやつだ。なにが起きても平然としていて頭がキレるのは石井だ。

「石井!?嫌や!あいつ居るとめんどくさいんや!」

何故か石井と和泉は仲が悪い。とゆうより石井が一方的に和泉を敵として見ている

「てか河井なんで借金取りに追われてんだよ!」

「まぁ、話すと長くなるのだけどね」

「髪の毛とどっちが長いん?」

「ゴブとゴブだね。」

『ギャハハハハ!!!!』

「河井。早く言え。マジで殺すぞ。」

「はい。」

ヤザが2人の髪の毛を引っ張ってライオンの様な目つきをした

「まぁパチスロにハマったのよ。そんでどんどん金が無くなってな。ちょっと金を借りてみたのが闇金で。あっという間に膨れ上がって。今よ。」

「短っ。ベリーショートやん。」

和泉と河井がゲラゲラと笑ってる

「しかもウーバーイーツ中よ!?タイミング悪すぎだろ!いや、なんとか逃れたからタイミングは良いのか」

「河井、商品届けたん?」

「いや、まだなのよ。」

「どうでもいんだよ!!!」

俺はどうでも良い会話をぶった切った。もう俺は侍のごとく。

「とりあえず今は逃げる!!!」

俺らの車はルートを変えた。

前を走るタカちゃん号は見えなくなるほど、

大通りから曲がれるところを曲がりに曲がって
田舎道。

田んぼや畑。遂には山がちらほら。

振り返れば追ってくる者は居ない。

なんとか撒いた。

「ふぅ〜流石の俺の運転技術。」

我ながら素晴らしいハンドルさばき。

「オエエエエ!!気持ち悪い!」

あまりの激しい運転に3人共オエツが止まらなくなっていた

俺はタバコを吸うため一度みんなで車を降りた。

夏の夜。自然のなんとも気持ちよくて懐かしい匂いがした。

現在地が気になった俺はマップで調べた。

「千葉県…?」

東京から外れ千葉県に着いていた。




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