鎖~繋がれた絆 chain1-1
「ありがとうございました!!またご連絡お待ちしてます!!」
「どーもー」
天気は晴れ。
太陽の暑い日差しが今日も気温を熱くさせる。
30度を超える真夏真っ盛りだ。
「よし!今日は終わり。”ヤザ”でも飯に誘うか。」
東京の下町で育った俺はそのまま便利屋の会社を建てた。いわば社長。”菊池笑業”のステッカーを貼り付けたハイエースに乗り込み、すぐ近くの”ヤザ”元へと車を走らせた。
矢澤祐太(やざわゆうた)あだ名は”ヤザ”
小学校からの幼なじみだ。高校を卒業してすぐに地元のダンボール工場に就職した。
めんどくさがり屋のキレっぽい性格だが俺は何かと頼りにしていて今でもやざとはよく会う。
昼時にヤザの働く工場に車を止めると、ヤザが顔をビシャビシャと洗っていた。タイミングよく昼休憩の時間だろう。
「おーい!ヤザ!飯行くぞ!」
「おう。今行く」
ヤザはタオルで顔を拭きながら行く行くのアピールをした。
汗だくの身体で車の助手席に勢いよく乗り込みひとつため息をついた
「お前汗びっしょりじゃん。車乗んないでくれよ」
「しょうがねぇだろ!!この暑さに密閉された室内だ!!もう辞めてぇよ!!」
早速キレ気味に言葉を荒げた。ため息を何度もつく。
「俺んとこ来るか?菊池笑業に!」
「いかねぇよ、工場には俺が必要なんだよ。第一たろちゃんやキングにガネも居んだろ。騒がしいわ」
たろちゃん、キング、ガネ
これも小学校の幼なじみ。
会社を建てた時にすぐにたろちゃんに専務として勧誘すると一つ返事で承諾してくれた。
キングとガネは生まれた頃からの仲で常に2人でいる。仕事が無いと泣きつくように入社した。
「で、そいつらはどっか行ってんのか?」
「キングとガネはお得意さんの仕事で千葉県に出張行ってるよ。毎晩どんちゃんやってんだろ。たろちゃんは毎日じじばばの肩揉みやら洗濯やら、人気なんだよ年配の人から」
「あいつ面白ぇな」
ヤザはグフフと想像する様に笑った
「言ってもいくらになんねーしよ。もっとデケェ仕事取ってきて欲しいよなぁ〜」
「拓也は?今日何やってたんだよ?」
「犬の散歩!」
「ガッハハハハ!!」
ヤザはため込んでいたものを吹き出すように笑った
便利屋なんてやってみたはものの、仕事内容は誰でも出来るような事ばかりで生活もカツカツだった
「今年26だぜ?気付いたらアラサーよ。」
ヤザは顔をキリッと戻して首をコキコキと鳴らした
中学を卒業してからもう10年近く経った
あのキラキラとした青春時代とは裏腹に
今はただ。生きる為に働くだけだ。
そして。
俺の高校の同級生の植松のラーメン屋に着いた。
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