薬制薬事の雑記(7) 毒劇法は読みづらいから嫌いだという話
私は毒劇法があまり好きではありません。なぜなら、ひどく読みづらく感じるから。いくつか例を書いてみます。
<毒物劇物取扱責任者の設置>
直接取り扱わない(商流のみ)のであれば、毒物劇物取扱責任者を置く必要はないということになります。これは「ただし書」を使って記載して欲しいですよね。
ちなみに薬剤師国家試験でも問われています。
<譲受譲渡の手続き>
これは譲受書に関する規定で、
・相手が毒物劇物営業者 --- 譲受書不要
・相手が毒物劇物営業者以外 --- 譲受書が必要
ということになります。
ここも「ただし書」を使って上手くまとめられないのか?と思いますね。
また、麻向法と覚取法では「譲渡証」、「譲受証」と言い、毒劇法と薬機法(毒薬・劇薬)では「譲受書」と言います。後者の法令に「譲渡書」のようなものはありません。
この用語の不統一感もねぇ。
<届出不要業務上取扱者の義務>
流し読みをしていると毒劇法において、義務を定められているのはほとんど毒物劇物営業者であり、業として毒物劇物の製造・輸入・販売を営んでいなければ義務の対象にならないのではないか・・・と思ってしまったりしないでしょうか?
毒劇法において、義務の対象となっている者には次のものが挙げられます。
・特定毒物研究者/使用者(毒劇法3条の2)
・毒物劇物営業者=製造業/輸入業/販売業(毒劇法4条)
・毒物劇物取扱責任者(毒劇法7条)
・要届出業務上取扱者(毒劇法22条1項)
・届出不要業務上取扱者(毒劇法22条5項)
このうち、最後の一つは対象が広いにも関わらず、条文の中に埋もれており、大変分かりづらいのです。
このように毒物劇物を業務上取り扱う者は全て、準用の結果として、
・盗難等防止措置/飛散流出等防止措置/運搬時の措置/容器の制限(11条)
・容器および被包の表示/貯蔵陳列場所の表示(12条1項、3項)
・事故時の届出等/盗難紛失時の届出(17条)
・立入検査等(18条)
について義務が課されることになります。
対象範囲を省令に委任して、その結果として全ての毒劇物が対象になるのであれば、法律にもう少し分かりやすく書けば良いのに・・・
<委任の分かりづらさ>
毒劇法にもSDSの提供義務の規定があるのですが、その根拠条文は政令である毒劇法施行令に置かれています。法律には一見してこれに関係する記載は見受けられません。
政令には、法律の委任がなければ、義務を課し、又は権利を制限する規定を設けることができない(内閣法11条)とされています。
ということは、毒劇法のSDS提供義務の規定は、国民に義務を課したことにはならない、無効で無意味な規定なのでしょうか?
これはこういう構造なのでしょう。
法律の「政令への委任」の条文を根拠として政令に「SDS提供義務」規定を置いたということです。うーん、こんな委任の仕方で良いのか・・・
等々、不満があるのですよね。読みやすく解釈しやすくして下さい・・・
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