薬制薬事の雑記(13) 過ぎ去りし日々、あの日の消毒用アルコールは80L未満

段々とCOVID-19対応が緩められて、日常が帰って来つつあります。

消毒用アルコールの入手が困難になった2020年頃を覚えていますでしょうか?

消毒用アルコールを買い占める人が現れて、店頭から姿を消した頃です。

その頃、私のいた会社の事業所でもエタノールの一斗缶を在庫していました。在庫量が80Lを越えないように...

その根拠について忘れないように記録しておこう、という趣旨です。

第九条の四 危険物についてその危険性を勘案して政令で定める数量(以下「指定数量」という。)未満の危険物及びわら製品、木毛その他の物品で火災が発生した場合にその拡大が速やかであり、又は消火の活動が著しく困難となるものとして政令で定めるもの(以下「指定可燃物」という。)その他指定可燃物に類する物品の貯蔵及び取扱いの技術上の基準は、市町村条例でこれを定める
② 指定数量未満の危険物及び指定可燃物その他指定可燃物に類する物品を貯蔵し、又は取り扱う場所の位置、構造及び設備の技術上の基準(第十七条第一項の消防用設備等の技術上の基準を除く。)は、市町村条例で定める
消防法9条の4

これが消防法における少量危険物の規定であり、市町村条例に委任されています。

例えば、さいたま市の火災予防条例ではこのようになっています。

(指定数量の5分の1以上指定数量未満の危険物の貯蔵及び取扱いの技術上の基準等)
第41条 指定数量の5分の1以上指定数量未満の危険物の貯蔵及び取扱い並びに当該危険物を貯蔵し、又は取り扱う場所の位置、構造及び設備は、前条に定めるもののほか、次条から第47条までに定める技術上の基準によらなければならない
さいたま市火災予防条例41条

このように指定数量の1/5以上の危険物を在庫する場合、市町村の火災予防条例に基づく構造設備等の規制が適用されてしまうことになるのです。

消毒用アルコール(エタノール)の指定数量は400Lです。イソプロパノールも同様。

そのため、在庫量が80L未満になるよう注意する必要があったということです。

あるいはアルコール含有品であっても危険物の定義を満たさない製品を選ぶことで、規制を回避するという方法も考えられます。

エタノールの場合、60wt%以上で消防法上の危険物として扱われます。

市販の指定医薬部外品製剤にはエタノール59wt%の製品も散見されました。

今となっては懐かしいですね。

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