ちいさな勇者。
あのとき、心臓ばくばくで
こわがりながら手をのばしていたこと、
いまはなんなく、やってのけられる。
めんどくさがる余裕すらあったりする。
あのとき、奇跡みたいに思っていたことが
いまはあたりまえになっている。
わたしは、あのときの心臓のばくばくを
奇跡に出会えたよろこびを
わすれながら生きている。
たまに、怖くなって、思い出して、
ああよかったって思いながら
生きている。
それでいい。
それでいい。
なんどでも怖がって、思い出せたら
それでいいのだ。
その 当たり前や奇跡は、
いつのまにか武器となり、
仲間となり、力となっている。
乗りこえられることも増えている。
そうして半信半疑でも歩き続けたら
いつのまにか、みたかった景色のすぐそばまで
来ているはず。
うまれる前に描いた地図を
おぼえているから。
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