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坂井泉水さんの詞(ことば)

ZARDの配信が開始されてから、有難くそれを利用している。「サブスク解禁」と(芸能)ニュースでも取り上げられたようだが、それを知らず数日後に気がついた。

いつも思うのだが、なぜ言葉をカタカナにして省略するのだろう。今回なら月額制聞き放題解禁という言い方で良かったのでは。私が現代語に疎いと言えばそれまでだが、昨今の“サブスク”は、英語で一般的な意味として使われるSubscriptionとは異なる意味を指すようだ(”サブスク”の意味がいまいち分からないので、調べてみた)。辞書的には予約購読(料)や寄付金, 出資金を意味するSubscriptionが、なぜこのように転用されたのだろう(web記事には「サブスクリプション方式」というビジネスモデルから来ているとするものがあった)。


話が逸れたので戻すが、ZARDの坂井泉水さんが早逝されて14年経つ。報道で知った時は驚いた。また七回忌あたりぐらいまでは、生前の音源等を使用したフィルムコンサートも行われていたが、これが行われる度に解せない思いをしたものだ。

アルバムやシングルの発売は精力的にされていたが、表立ってファンの前に立つことや音楽番組への出演はほとんどなかったZARD(坂井さん)。「負けないで」の大ヒットの折のミュージックステーション出演と、デビュー15周年の船上ライブ(両方、曖昧な記憶だが)ぐらいしかされなかったと覚えている。

インタビューで、あまりそういうことを好まないと答えていらっしゃった坂井さん。逝去後のライブはその遺志に背くのではないかと思っていた。今回の配信解禁もご本人の意志は分からないが、楽曲がより多くの人に届くという点では、メディア出演やライブよりも坂井さんの意に沿っているのかなと思う。


CDウォークマンを使わなくなり、パソコンに取り込んでいた楽曲の全てを聴けなくなったので『永遠』(アルバム)の配信が、特に嬉しい。一枚全編通しで何度聴いたことだろう。車の運転席に座る坂井さんの横顔(斜め顔)がとても綺麗である(写真を好まない方は得てして、斜め顔のそれが多いのは偶然か。坂井泉水さん然り、みゆきさん然り)。

「新しいドア~冬のひまわり」と「GOOD DAY」のつながりが好きだ。

「GOOD DAY」というタイトルの意味とは反対に、別れの曲であることも胸を打つ。

もしあなたとこのままいればきっと 後悔する日がくる

1999年発売ということは小学生だったのだが、当時からこの歌詞がアルバム一枚の中で一番好きだった。好きと言うよりも、胸に刻まれる歌詞だった(ちなみに、みゆきさんはこの年『日-WINGS』『月-WINGS』を二枚同時にリリースされたようだ。中学生未満は「夜会」に行けないので、当時は羨ましかった)。言葉が持つ鋭さや重みに惹かれる子どもだったということか。

「Brand New Love」

他人(ひと)の中傷は鋭いナイフよりも深く 傷ついたまま 心 凍らせる Right or Wrong?

これは、ここ三年ほどで宝塚歌劇を観るようになってから、余計に身に染みる。


「フォトグラフ」イントロのマイナー調で、心を掴まれる。

そばに居るだけで それだけでよかった
思い入れが強すぎると 次に起こることが嘘のよう もう何年ぐらい      過(た)ったのだろう すべてが現実 すべてがまぼろし 帰る道を探してる

本当にそうなのである。もう17年過(た)ったのだが、すべてが現実で、すべてがまぼろしならば、帰る道を探せただろうか。

ZARDの作詞は坂井さんが手がけられていた。みゆきさんにしても坂井さんにしても(男性では、稲葉浩志さんや福山雅治さん)私は、言葉を大切にする方が好きなようだ。音楽そのものよりも、言葉に、詞に胸を打たれる。

ZARDとしての新曲が出ることはないが、再び坂井さんの言葉に出会えたことが嬉しい。

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