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ミスチル歌詞から紐解く アルバム全曲解説 18thオリジナルアルバム「REFLECTION」{Naked}⑩ [運命]

ミスチル18thオリジナルアルバム「REFLECTION」{Naked}10番目の収録曲です。歌詞全文引用させていただきます。

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招かざる客で当面 構いはしないけど
いつの日か君のベートーベン「運命」奏でよう

僕が導くこの道の先には虹が架かっているよ
疑うんなら付いて来てごらん 手を取って

惚れた腫れたの恋愛をバカにしてたのです
浅はかで欲深いと鼻で笑ってた

ミイラ取りはただいま満を持してミイラになりました
頭の中はメリーゴーランド キラキラしてる

どこからともなく湧いて出る
途切れることない君への想い
めぐりめぐり そして振り揺られ

不可思議なこの気持ちを
人々は恋と呼びます

君が涙を流すのを遠くで見てた
なんせ君はまだ僕の恋人じゃない

そんな時の為に洗いたてのハンカチを持ち歩くよ
さりげなく差し出す用意して待つよ

予報にないのに降り注ぐスコールのような君への想い
時には自分を戒める
いやらしい妄想をして
自分を慰めたあとで

乗ってる車こそ違っても
僕らは同じ道を走っている
めぐりめぐり そして揺り揺られ
不可思議なこの恋はもしや運命?
絶対運命そう思います

<出典>運命/Mr.Children 作詞:桜井和寿

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桜井さん本人の解説も引用します。
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デモの段階で、アトラクションズのころのエルヴィス・コステロのイメージがあったんですね。イントロはドアーズの「ハートに火をつけて」のようなよじれたコード感とサウンドで。でも歌に入るとKANさんみたいな(笑)。そういうのが合体した曲だと思います。
<出典Sound&Recording>
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この曲は桜井さんが好きで影響を受けてきた、アーティストや曲の合体バージョンの典型例でしょうね。特にイントロの感じは印象的です。桜井さんはインタヴューで、少し軽すぎる曲だから、{Drip}の方には入らなかったと述べており、それ故にかなり遊び心入れて作った曲なのかもしれません。こういう曲はミスチルファン歴が長い人に程受けがよさそうな気がします。

歌詞全体をみると大学生くらいの男の妄想恋物語ってところでしょうか。音大生(笑)。運命の使い方を都合良く捉えている感じ。ハンカチを差し出す計画は「運命」という曲が世間では、ベートーヴェンの曲の中でも最も緻密に構成された最高傑作といわれていますので、この男はそんな最高傑作になぞらえて、この子を落とすための緻密な妄想を抱いている。後半ではきっちりと妄想で自分を慰めたって、下ネタ表現を入れていただいております。

付いて来てごらん
メリーゴーランド

なんて韻を踏んだり、この明るい曲調からも楽しく制作された箸安めにいい曲ですね。シンガーソングライターの本当の実力ってこういう気の抜けた感じで作った曲に出るのかもしれないと思いますね。気合の入れた売れるシングルみたいな楽曲は一口目はおいしいですが、やっぱり単層的なお味で飽きてしまいがち。ミスチルのB面集のアルバムはファンの中で非常に評判がいいですが、そういうところに実力が出ている曲があつまっているからでしょう。ただ、B面ばっかり効きすぎても疲れちゃいます。ずっとパンチの効いた味付けはやっぱり食べ疲れるんですね。現代は一曲一曲がダウンロードで切り売りされる時代ですが、アルバムという10曲くらいが作り出す、コンセプトのはっきりとした食卓を楽しめるコース料理を作ってくれるシェフが貴重な存在になってくるかもしれません。その点ミスチルのアルバムは非常に秀逸で、おなかも心も満たしてくフルコースととなっております。ボナペティ


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