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ミスチル歌詞から紐解く 全曲解説 「SOUNDTRACKS」Brand new planet

アルバム「SOUNDTRACKS」の2曲目。リード曲というべきこの曲。直訳すると「真新しい惑星」。

全文引用します。

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立ち止まったら そこで何か

終わってしまうって走り続けた

でも歩道橋の上 きらめく星々は

宇宙の大きさでそれを笑っていた

静かに葬ろうとした

憧れを開放したい

消えかけの可能星を見つけに行こう

何処かでまた迷うだろう

でも今なら遠くはない

新しい「欲しい」までもうすぐ

ねぇ 見えるかな?

点滅している灯りは離陸する飛行機

いろんな人の命を乗せて

夢を乗せて 明日を乗せて

「遠い町で暮らしたら

違う僕に会えるかな?」

頭を掠める現実逃避

さぁ 叫べ Les Paulよ

いじけた思考を砕け

新しい「欲しい」まで もうすぐ

さようならを告げる詩

この世に捧げながら

絡みつく憂鬱にキスをしよう

何処かできっと待ってる

その惑星(ほし)が僕を待ってる

この手で飼い殺した

憧れを開放したい

消えかけの可能星を見つけに行こう

何処かでまた迷うだろう

でも今なら遅くはない

新しい「欲しい」まで もうすぐ

新しい「欲しい」まで もうすぐ

<出典>Brand new pranet/Mr.Children 作詞:桜井和寿

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メンバー全員が口をそろえてライブ映えする曲と解説しています。桜井さんいわく自分が歌うことを前提にした曲ではないので、今の若者に伝えたい青臭さみたいなものがでている曲になったかもしれないとのこと。最初はこんな青臭い曲を50のおっさんが迷いのないメロディで歌うことに迷いがあったそうですが(このインタビューのくだりも作詞家桜井さんのセンスにあふれていますね)メンバーのみんながMr.Childrenとして全然やっていいんじゃないかということでレコーディング。完成したものを聞いたらやはりこれで良かったんだなっておもえるようになったとのこと。Mr,Childrenとしてという前置詞をメンバー全員が意識していることが未だに続いているメンバー間の関係性が見えることはファンにとってぞくぞくしますね。

ドラムの鈴木さんいわく <新しい「欲しい」までもうすぐ> <宇宙の大きさでそれを笑っていた>とかはうまいこと言うなって思ったそうです。<可能星>などもらしいですね。

桜井さんはMVを撮ったときに初めて気付いたそうですが、この曲はロンドンに向かう(このアルバムはロンドン、LAで主に録音されている)自分たちのテーマソングでもあったんじゃないかって。今まで色んななことをやってきたから、新しい可能性なんてもうないんじゃないかなみたいな気持ちになってたんだけど、そこからまた新しいものを求めていった自分達のテーマソングだったのかもしれないなって。そういうことにふと気付いて、いい歌だなと思ったとのこと。「気づくの遅っつ!!」という鈴木さんのツッコミが入っております。

こんなビッグバンドになりつつ、さらに新しい環境に挑むことで自分たちが想像していなかったものを創り上げていく。超一流のトップクリエイター達はこんな日々を積み重ね続けることによって誰も到達できない領域に達していくんでしょうね。

私が個人的に好きな部分は<絡みつく憂鬱にキスをしよう>ですね。「憂鬱」を日本人桜井和寿に使わせたら右に出るものはいないでしょう。インタヴューでも語っていますが、日本人のロックにはアメリカにはないウェットナな翳りみたいな要素が多分にある。その部分がもっと評価されてもいいなと。イギリスにもその感覚があると感じているとのこと。そこでこの希望に満ちている曲調の中に翳りのある「憂鬱」をぶち込んでくるのが好きですね。「終わりなき旅」の<憂鬱な恋に胸が痛んで>、「prism」の<何もかもが憂鬱>などがぱっと頭に浮かびますが、そのときの「憂鬱」は言葉通りの憂鬱の意味合いが強いと思います。今回の「憂鬱」は逆に晴れ晴れしていますね。憂鬱はあって当然なんだと。それにキスをしちゃうくらい歓迎されるべき存在なんだ。人生において。桜井さんは50歳になって、ソングライターとして獲得した成熟や円熟と新鮮さのバランスをとっているといっていますが、僕はこの歌詞にその円熟と新鮮さのバランスが見事に表現されているのではないかと感じたわけです。

ライブの初めにぶちかましてほしい名曲です。

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