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ミスチル歌詞から紐解く アルバム全曲解説 18thオリジナルアルバム「REFLECTION」{Naked}⑨ [街の風景]

18thオリジナルアルバム「REFLECTION」{Naked}に収録されている9番目の曲です。歌詞全文引用させて頂きます。

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その女性(ひと)は今足早に歩き始める いつもとおんなじ通りを
なのに どこか新しい自分を感じて

昨日職場で言われた何気ない言葉 だけどちょっぴり優しくて
ひとりぼっちじゃないこと噛み締めてた

このまま 柔らかい気持ちが このまま 胸に溢れてきたら
迷いや疑いややっかみは 口元を緩めるかな?

できるなら 汚れない心で できるなら 嘘のない言葉で
自分や他人やこの世の中と ちゃんと向き合っていきたい

ラララララララって笑って・・・ ラララララララって歌って・・・

そんなこと 考えて歩く昼下がり

あの作家(ひと)は今原稿とにらめっこしてる
やっとのこと書き上げた物語が ひどく退屈に感じて
なんの気無しにペンを走らせて書いた 若かりし日の作品が
恨めしいほど自分を型にはめてく

このまま 時間だけが過ぎて このまま 自分を越えられずに
自信やアイデアや情熱は 痩せ細っていくだろう

できるなら 何もとらわれずに できるなら 何もこだわらずに 
笑いや涙や大きな希望を 見事に描きあげたい

ラララララララって笑って・・・ ラララララララって歌って・・・

そんなこと 考えタバコに火をつける

そして僕は今君の帰りを待っている 昨日途中で終わらせた
話し合いの続きが僕らにはある

昨夜深くまで険悪な雰囲気のまま 2つの主張は平行線
もう熱はなく フリーズして動かない

このまま 甘い幻想は醒めて このまま 現実に飲み込まれて
若さや不器用さや正直は 次第に鼻についてくるだろう

できるなら おおらかな愛で できるなら 優しい眼差しで
やっと見付けた愛すべき人の 手を取ってずっと生きていたい

ラララララララって笑って・・・ ラララララララって歌って・・・ 

そんなこと 考えて今君を待ってる

ラララララララって笑って・・・ ラララララララって歌って・・・

そんな日々が
ずっと続いていくなら

<出典>街の風景/Mr.Children 作詞:桜井和寿

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桜井さんの解説も引用します
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小田和正さんの番組「クリスマスの約束」で共作した「パノラマの街」の最初のデモをMr,Childrenでやってみたいなと思ったんです。僕の中ですごくコンパクトなサウンドと歌詞に重きを置いた、日常を切り取ったかのような曲です。どういうふうに抑揚をつけていくかをみんなで考えて、歌詞も重要だったので、コード進行や展開でインパクトを付ける曲でもなかった。みんなそれぞれが悩んでできたんですけど、すごく気に入っています。
<出典>Sound&Recording
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元ネタはサイモンとガーファンクルの「The Boxer」という曲らしいです。アコギのアルペジオ、ラララララララって笑って・・・、のラララはサイモンとガーファンクルの曲でも出てきます。聞き比べると面白いです。

歌詞を物語として捉えると、3部構成になっていますでしょうか。

最初の女性、真ん中の作家、そして僕。内容をみると、作家は僕のことで、僕が待っている君は最初の女性と考えると全部繋がるので、そう解釈してみます。最初に登場する女性の心情で<迷いや疑いややっかみは 口元をを緩めるかな?>とあります。僕と君は昨夜ひと悶着あって2つの主張は平行線。そんな重苦しい解決していない話し合いが、緩むのかなと。ちょっとした職場の優しさに触れたことで。

間に登場する作家は、桜井さん自身と捉えても悪くないですね。才能の枯渇がやってくるかもしれない恐れみたいなもの。桜井さん自身、というかクリエイター全般に当てはまることを代弁しているとも取れますね。桜井さんの年齢や、いつ歌えなくなるかわからないといった発言(才能の枯渇というよりは、老いによる声が出なくなるっていう感じ)もありますしね。<タバコに火をつける>は桜井さん自身喫煙家ではないですが、逆にこの言葉があることにより、桜井さん自身のことに感じます。逆説です。

まとめましょう。才能に溢れた作家の僕は年下の愛すべき女性とやっとのことで出会えた。ところが、ある晩に喧嘩というか、お互いの価値観の違う主張をしあって険悪な雰囲気に。その険悪な雰囲気を引きずった翌日、女性は何気ない優しさに触れ、かえって僕と会ったら、仲直りできないかなぁと。僕は老いによる才能の枯渇などのネガティブな要素を抱え、その不安が、せっかく出会った女性とのふとした瞬間に出てしまい、いいあいになってしまったことに、少し後悔もあり、帰ってきたらおおらかな気持ちで今後も一緒にいたいなと伝えようみたいな感じ。こんなストーリーを小気味よいサウンドにのせた感覚の曲というところでしょうか。

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