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ミスチル歌詞から紐解く 全曲解説 「SOUNDTRACKS」[turn over?]

アルバム「SOUNDTRACKS」3番目の曲です、歌詞全文引用します。

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明け方の東京はしらけた表情で

眠れないボクのことを見下ろしてる

こんなスタートで今日を迎えてしまうのは

「誰のせいなんだ!?」って言いたくもなる

君は今どう思っているの?

すれ違いの日々を

映画じゃ 躓いても立ち直っていくストーリー

散々観たろう?だけど現実は違う

誰かしら泣いてんだよ 栄光と美談の裏で

だからさ よく考えてみて

機嫌直してよ

頭の中妄想が渦を巻いている

悪いことばかり考えてしまう

君に必要な理解者

今こそなろうと思います

子供らの聖歌隊 その歌声のように

どこまでも透き通っていて嘘はない

foever love

I'll make you smile

さけびたいくらいだダーリン

わが人生で最愛の人は

そうキミ一人

地球は回る 僕らとは無関係で

それもそうさ いろんなカタチの愛があって

今日も生まれては消えていく

面倒くさくて手に負えないなこの愛という名の不条理

懲り懲りだって思うけど キミ無しじゃ辛い

foever love

I'll make you smaile

叫びたいくらいだダーリン

この人生で最大の出会いと悟ったんだ

わが人生で最愛の人は

そう キミ一人

ただ一人

<出典>turn over?/Mr.Children 作詞:桜井和寿

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桜井さん曰く、この曲はジョン・メイヤーのある曲のアコギのストロークをが凄く気持ちよくて、それをコピーしたところから始まった感じ。それで自分の声をのっけてみたらコステロっぽい感じがあった。自分の中ではコステロとジョージ・ハリスンみたいな。そこから広げていった。ここまで転調転調みたいなことはあまりしない技を使った。明るい曲調なので楽しんで作れたか?と言う問いに対して、楽しんではないと思う。頭は使って作っているので楽しんでないかも、でも「スティーリー・ダンみたいなコード展開だ」って言ってくれて、それが凄く嬉しかった。

桜井さんが影響を受けている洋楽のアーティストの名前がいっぱい出てきていますね。この人たちを深堀していくとより桜井節の理解が深まることは確実ですね。特にコステロはかなり影響を受けているようです。「ニシエヒガシエ」のMVは明らかにコステロですね。

明るい曲調なので楽しんで作っていそうな感じがしますが、楽しんでないって本人が言ってるように私もそう感じました。よくあることなのかもしれませんが、桜井さんは明るい曲調ほど頭を使っている感じがします。明るい曲を楽しんで作ってしまうと、空虚なものになりやすいという感覚があるのではないでしょうか。日本人は基本はカラっとしていないですからね、聞き手を選ぶような曲にしたくないという桜井さんのPOPメーカーとしての気概を感じます。実際この曲のインタヴューの文字数も他の曲に比べて長いんですよね。それにもう少し後で歌詞について私なりに深堀しますが、かなりギミックを感じます。

この曲はプロデューサー、スティーヴの真骨頂がでているようです。ギターの田原さんはスティーヴはリヴァーヴ(残響)の魔術師だと思う。音や楽曲の空気感を凄い掴んでいるから音像にするのが凄くうまいと。ドラムの鈴木さんも続けます、その隙間にパーカッションいれるの?アコギが5本も入ってる、だけどちゃんと混ざってるから一聴しては全然わからない。そういう使い方がマジックだと思うし、本当にすごいと思うと。

このパーカッションとアコギの音を追っかけながら聞くだけでもこの曲の深みがめちゃくちゃ増します。やっぱり一聴して明るい曲調のものこそ、ミスチルならではのギミックがめちゃくちゃ効いているからこの仕上がりなんですね。天才同士のクリエイトってことですね。

最後に私の深読み考察を。一番気になった歌詞は<<叫びたいくらいだダーリン>>。「ダーリン」というフレーズは「しるし」のサビってすぐにミスチルファンなら想起されるでしょう。あらためて「しるし」の歌詞をみてみると最愛の人のどこが最愛の部分なのかを詳細に説明していますね。例えば<<いろんな顔を持つ・・・>>とかですね。この「しるし」の歌詞でダーリンのどこが好きなのかみたいなことは説明しきっているので、今回はそういう説明を省いていると思うわけです。そしてこの歌詞、違和感を感じませんか。<<だダーリン>>の部分。これはタイプミスでなく<<だ ダーリン>>ではなく<<だダーリン>>になってます。スペースがないんですね。ここで私が直感したのは「地球は青かったの」、「ガ・ガーリン」です。人類初の宇宙有人飛行のパイロットですね。<<地球は回る 僕らとは無関係で>>っていう歌詞も出てきます。まんざらではないでしょ。ガガーリンを調べてみると、桜井メタファの答えは時代背景にあると結論付けます。米露冷戦時代です。冷戦下で主導権を握ろうと米露が宇宙飛行の熾烈な開発競争をしていたわけです。<<叫びたいくらいだ>>ってありますね。実際は叫んでないわけです。ダーリンとは話し合えていない、本音をぶつけ合えていないわけですね。まさに恋愛の冷戦状態であると考えても間違いではないでしょうね。そういう流れを捉えて歌詞全体を捉えると非常にギミックも感じ取れるし、冷戦下の本音と建て前を感じられます。歌詞の最後の方に<<ただ キミ一人>>ってありますが、最愛の人と心底思っていたら記号的な「キミ」っていうカタカナ表現にはならないですよね。ダーリンとはいっているけれど、どこか寂しさを埋める一人にすぎないという本音と建て前。そもそも日本人ならダーリンって言わないですもんね。明るい曲調に隠された桜井節を勝手ながら読み解いてしまいましたが悪くない解釈でしょう。最後に「turn over?」の意味ですが、「ひっくり返す」とかが一般的な意味ですが「?」もついているので、私は「ドキドキしてる?」っていう意味に捉えましたね。turn overには「ドキドキする」っていう意味はあるみたいなので。

ギターの田原さんが、インタヴューでなんで「turn over?」っていうタイトルなのって?聞いてるんですが、桜井さんの回答は書かれていないんですね。これはいっちゃうとつまらんからってことでしょうね。つまり。

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