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ミスチル歌詞から紐解く アルバム全曲解説 18thアルバム「REFLECTION」{Naked} ③ [斜陽]

18thアルバム「REFLECTION」3曲目の曲です。歌詞全文引用します。

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「夏が終わる」 その気配を
陽射しの弱さで無意識が悟るような
時の流れ 音を立てぬ速さで
様々なものに翳りを与えてゆく

心の中にある 青い蒼い空
今尚 雲一つなく澄み渡る
陽気な声がそこには響いてて
青空の下 人は集(つど)い笑ってる

ビルの影が東に伸びて
家路を辿る人の背中が増えてく
その営み それぞれの役割を
果たしながら 背負いながら歩いていく

憂いをおびたオレンジ色の空
眩しさは消えてもまだ温かい
懐かしい歌をふと口ずさめば
愛しき人の面影がふと浮かび上がる

心の中にある 青い蒼い空
今尚 雲一つなく澄み渡る
その眩しさに また目を細めて
今日も僕は大空に手を伸ばしてみる

<出典>斜陽/Mr.Chirdren 作詞:桜井和寿

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桜井さんの解説も引用します。

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サウンド面に関しては、大滝詠一さんの「さらばシベリア鉄道」と、ザ・ビートルズの「エリナー・リグビー」が合体しような曲をイメージして作りました。

<出典>Sound&Recording

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気になって「さらばシベリア鉄道」/太田裕美さんバージョン、「エリナー・リグビー」、youtubeで聞いてみました。まさにですね。この二つが交じり合っている。特に「さらばシベリア鉄道」はまさに昭和歌謡。郷愁しか感じません。「幸せの結末」の大滝詠一さんの曲。才能に溢れた方だったんでしょう。この一曲を聴くだけで十分に伝わります。

ウィキ先生によると、この曲は太宰治の小説「斜陽」を由来としていると桜井さんは言っているとのこと。

小説「斜陽」は戦後の没落貴族を描いた小説とのこと。これを踏まえて歌詞全体を見てみます。冒頭は貴族の憂いを表しているのでしょうか。この冒頭部分が小説「斜陽」の内容に沿っており、後は、ただ没落というよりは戦後の復興に希望を抱いている印象を強く受けます。その後なのかもしれません。私は映画「ALWAYS 三丁目の夕日」が頭に浮かびました。戦後焼け野原から立ち上がり、東京オリンピックに向けて、皆が一生懸命働き高度経済成長を日々実感し、前に進んでいく時代感。やっぱりここに、共感を求めに狙いに行っている桜井和寿を感じます。ミスチルのリスナーはだれでしょうか?そうサラリーマンです。サラリーマンが共感する歌詞が皆の共感を呼ぶということになるわけです。眩しい、懐かしい、愛しい、こんなフレーズたちはみんな好きですね。

さらに勝手な深読みですが、この曲は未発表の段階で、フジテレビのFNS歌謡祭で初披露されています。TVで歌うのにこの曲を選ぶ事は、共感を取りに行った結果のチョイスかと。もしくは、「斜陽産業」のTV業界に皮肉を込めたメタファの出演なのかもしれませんね。恐るべし、ミスターチルドレン。

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