見出し画像

ミスチル歌詞から紐解く 全曲解説 19thアルバム「重力と呼吸」[here comes my love]

19thアルバム「重力と呼吸」4番目の曲です。深田恭子主演のフジテレビ系ドラマ「隣の家族は青く見える」に書き下ろした主題歌です。歌詞を全文引用します。

<<

破り捨てようかな
いやはじめから なかったものって思おうかな?
拾い集めた淡い希望も
一度ゴミ箱に捨て

飲み込んでおくれ
巨大な鯨のように
あぁ僕は彷徨うピノキオの気分だ
何かが僕を変えるはずさって
夢見て暮らしている

輝く光じゃなくっても
消えることない心の灯りはいつも
君を照らしてる
祈るように 叫ぶように
この想いがはぐれないように

夢見た未来を波がさらっていっても
この海原を僕は泳いでいこう
here comes my love
here comes me love
君に辿り着けるように

灯台の灯りが
夜の海の向こう
強く優しく光を放つ
今の僕は
君を正しく導いているかな?

答えはきっとグレーだ
描いて消すを繰り返した夢の地図を
風が引き裂いても
祈るように 叫ぶように
また流れに飛び込んでみるんだ

見上げた空には雨雲があるけれど
その海原を誰もが泳いでるよ
希望を胸に吸い込んだら
また愛する人の待つ場所へ

あって当然と思ってたことも
実は奇跡で
数えきれない偶然が重なって
今の君と僕がいる

繋いでいたその手が離れてしまっても
見失わぬように君のそばにいるよ
希望を胸に吸い込んだら
また君と泳いでいこう
here comes my love
here comes me love
いつかきっと
僕ら辿り着けるよね

<出典>here comes my love/Mr.children 作詞:桜井和寿

>>

曲の特徴としては、メンバー全員が悪ノリで、クイーンだと。ブライアン・メイのギターソロを彷彿させております。後半の<<数えきれない…今の君と僕がいる>>からのギターですね。制作当時、大ヒット映画「ボヘミアンラプソディー」の影響を受けたノリはまちがいないでしょう。

この曲の歌詞について、ほとんど桜井さんは語っていませんので、私が勝手に考察します。

私が一番引っかかったのは、「ピノキオ」ですね。なんで?って思いませんか。<<巨大な鯨のように>>、ピノキオのストーリーを見てみると、後半は海が舞台になっていて、海の王である鯨のキャラクターに飲み込まれて、脱出するという展開です。ピノキオはおもちゃ職人が子供がいないために、人形を制作して、本当の子供になってほしいと願うストーリー。おぉ、これは「隣の家族は青く見える」の妊活のストーリーとリンクしますね。ドラマの書き下ろしの曲になりますので、桜井さんはピノキオのストーリーをリンクさせたのは間違いないでしょう。ピノキオのストーリーは最終的には、ピノキオは死んでしまい、妖精によって、おもちゃ職人の本当の子供として蘇るという結末です。このドラマでは、流産してしまい、ショックのあまり離婚しようとしますが、子供がいなくても夫婦の絆を取り戻し、その生活に希望を持つ的な終わり方みたいです。

ちょっと話が脱線しますが、なぜこのドラマはピノキオのように、子供が誕生しなかったのか?皆さんおわかりでしょうか。これは、資本主義社会のTV局側の意図でしょうね。現代に即していることもありますが、TV局にとって、子供がいる夫婦といない夫婦どちらが彼らに都合が良いのでしょうか。それは結論が出ていますね。いない夫婦ということです。子供にお金を使わなくていい夫婦はTV局にとっていいお客さんだということです。そして、さらにこのドラマのスポンサーに厚生労働省が・・・。面白すぎますね。少子高齢化で、子供を増やすと謳う厚労省が子供はできなくても幸せだよねという結論のドラマのスポンサー。これがお国の本音でしょうか。

最後に曲はミディアムバラードで壮大で嫌いじゃないんだけれど、あんまりこの曲のプローモーションはマッケッター桜井和寿として、私的に好きくないですね。マーケットによりすぎですね。10分くらいのshortfilmも公式で制作されていますが、この内容も陳腐ですね。超簡単にいうと、年老いたオッサンが若い時に出会った運命だと思った女を守れず後悔している。ただそれだけのストーリー。結構キツイこれは。年老いたオッサンは詰みですね。もっといろんな女と遊びなさいよ。純愛みたいなものがもてはやされるだろうという世間の風潮を踏襲しすぎていて、とにかくしんどい、見ているほうとしては。桜井さん、曲は壮大なのに、このやり方は賢明でないとおつたえしたかったなぁ。まぁもちろん、桜井さんはそんなことは百も承知でしょう。世間にウケることに舵を切っているこの作品を生み出したり、もっと自分の内にこもった作品を打ち出したり、資本主義経済で生き残るミスチルの懐の深さを感じるわけです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?