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ミスチル歌詞から紐解く 全曲解説 「SOUNDTRACKS」[君と重ねたモノローグ]

アルバム「SOUNDTRACKS」の4番目の曲であり、映画ドラえもん「のび太の新恐竜」の主題歌です。歌詞全文を引用します。

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また会おう この道のどこかで

ありがとう この気持ち届くかな

果てしなく続くこの時間の中で

ほんの一瞬 たった一瞬

すれ違っただけだとしても

誰かにとっての完璧(パーフェクト)は

誰がにとっての不完全

違う場所から覗いた景色は

こんなにも こんなにも

素敵なもので満ちている

僕を閉じ込めていたのは

他でもない僕自身だ

その悔しさと その希望に気付かせてくれたのは君

僕に翼は無いけれど

今なら自由に飛べるよ

心の中 その大空を 君とどこまでも飛んで行こう

いつしか僕も歳を取り

手足が動かなくなっても

心はそっと君を抱きしめてる

いつまでも いつまでも

君の頭撫でながら

鏡に映った自分の

嫌なとこばかり見えるよ

恵まれてる 違う誰かと

比べてはいつも諦めることだけが上手くなって

それでも前を向けたのは君と重ねたモノローグが

孤独な夜を切り裂きながら この心強くするから

僕に翼は無いけれど

君となら高く飛べるよ

光が射す その大空を 風の詩を聞きながら飛んで行こう

また会おう この道のどこかで

ありがとう この気持ち届くかな

果てしなく続くこの時間の中で

ほんの一瞬 たった一瞬

すれ違っただけだとしても

君は僕の永遠

<出典>君と重ねたモノローグ/Mr.Children 作詞:桜井和寿

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桜井さんはこの曲のイメージを聞かれて、「映画ドラえもん のび太の新恐竜」のシナリオを見て生まれたもので、だから映画のストーリーに寄り添うことを意識していた。けど、映画抜きで音だけになったときにどうやって人の心をグッと引き寄せるのかが課題だった。悪い言い方になるがこの曲はどこか凡庸な曲であると自分の中に印象があったので、この凡庸さをもってしてどうやって人の心を引き込むまでにしていこうかなって悩みがずっとあった。でも、ロンドンに行ってレコーディングしたときに、その音の生々しさが歌の朴訥さにリアリティを持たせてくれて、なおかつサイモンの弦が入ったときに、これは凄いことが起きたなっていう感覚があって。その響きをやられたらグッときちゃうじゃーん!!ていう上手い感じが(笑)とのこと。

さらに桜井さんは<<誰かにとっての完全は(パーフェクト)は 誰かにとっての不完全>>、<<僕を閉じ込めていたのは/他でもない僕自身だ>>という名言が歌われているけれど、映画のシナリオからインスパイアされたのですか?に対して、映画のテーマが多様性だったので、それを自分なりに言葉にしてみた感じかな。今、西松屋の宣伝で、<誰かにとってのオシャレは 誰かにとってのオシャレじゃない>っていう曲(吉田山田の”好き好き大好き”)が流れてるの知らない?と発言し、同じ感じのフレーズをつかってるなーっと(笑)そんなまんざらでもない発言をされています。

ドラえもんの公式ページに桜井さんがコメントを寄せています。小4の時にドラえもんの1から5巻を両親が買ってきて何も言わずに本棚に並べたそうです。当時の桜井少年は全く勉強をせず本も読んだことがなかったそうです。その状況を見かねたご両親が、まずはドラえもんから入りなさいと無言で5巻を与えてくれたと。そんな親の複雑な気持ちを桜井少年は否が応でも感じられずにはいられず、恐る恐るそれを開き、気づけば夢中になって読みふけった初めての読書になったそう。ドラえもん50周年の年にちょうど桜井さんも50歳をむかえる。運命の再開に心から感謝していると述べています。

最後に私の解釈です。この曲のテーマはズバリ「多様性である」と桜井さん本人が述べています。そこでタイトルが気になりますね、「君と重ねたモノローグ」。<モノローグ>とは調べてみると、独白とか心情吐露といった舞台用語でもあります。ここで気づくのは、自分の内なる声的なことなのに「君と重ねた」っていうのはちょっと矛盾しますよね。どうもここに答えがあるのかなと私は思います。「君」というのは内なる「僕」ということでしょう。歌詞全体を通して、決して第三者的な君に話しかけていないことがわかりますね。例えば<心の中 その大空を 君とどこまでも飛んで行こう>、これって実際に飛ぶんじゃなくて、心の中って言ってるので自分の内なる部分でってことになりますね。つまり、多様性というのは内なる自分の中に存在しているのだからそれに気づければ永遠の存在になれるくらい重要なことだよってことですかね。ちょっと飛躍するかもしれませんが、多様性を認めることが善という立場に立つけれど、多様性を認めるということは内なる自分の本当の多面的な部分を認めてからじゃないかなってことでしょう。ズバリ。皆さんも深読みしてください。でも桜井さんは間違いなくもっと深く考えているでしょうね。

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