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ミスチル歌詞から紐解く全曲解説「SOUNDTRACKS」総評

歌詞カードの最後に「SOUNDTRACKS」というタイトルの意味を説明していると思われる、メッセージが書いてあるので全文引用します。

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すべての過去を引き連れて

未来へ響いていけ

今を生きる君の

その傍らにいる

僕の証として

<出典>SOUNDTRACKS歌詞カード

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僕の証としてとあるのでミスチルメンバーからというよりは、ソングライター桜井和寿からのメッセージかと思われます。リスナーのそばに寄り添うサウンドトラックとして鳴り響いてほしいということでしょうか。

桜井さんいわく

こういうアルバムを作ろうと思ってできたわけじぁない。できるとも思っていなかった。アルバムの全貌が見える前に、「Birthday/君と重ねたモノローグ」のシングルを出すにあたり、奥山由之くんにポラロイドカメラで撮ると、今を切り取っているのに凄く歴史や過去を含んでいるような匂いがするなと思った。このアルバムはその感覚と同じよう。アナログで録ること、テープで録るみたいな作業はこれと同じような作業をしていて、なおかつ現代ではこんなにえこーをかけることはないんだけど、そういう匂いもさせることを含めてポラロイド写真に似ていると思った。いつもアルバムを出すときは、特に最近は、「単なる大御所のバンドでしょ?」って惰性でやっているようには絶対に思われたくないから、何か新しいトライを意気込んでやってきたけれど、気づけば自分が自然と「僕らはレジェンドバンドです」って胸を張って言ってるような、そういうアルバムになった気がすると。

「僕らはレジェンドバンドです」、の「です」がらしいですよね。レジェンドと自画自賛しつつも、丁寧語の「です」で謙虚さを失わない、大衆にどうみられるかを意識している発言。POPメーカー桜井和寿の人間像が少し見えますね。

ベースの中川さんは

自分たちはずっと桜井の歌を信じてずっとやってきて、一緒に音を鳴らしてきたけど、やっぱり聴いてくれる人のことを改めて考えたというか、その人たちに届けるんだっていう強い意識を改めて強く思った制作でもあった。言葉が通じない中で、この歌を届けたいって想いを純粋に音楽で実現させていくのに、音楽に対してどんどん真摯になっていくのは自然で、今できることを誠実にやっていくしかないっていうのを改めて感じている。

この発言ってまさに王道の道だと思います。ラーメン屋で例えると、好みはあるけれど、鶏がらスープの醤油ラーメンを出し続けている老舗みたいなお店は、そのクオリティを維持し続けるのが当たり前になっているし、まさに真摯にラーメンと向き合っていると思う。それがお客として店に入ったときの何とも言えない、絶対おいしいラーメンが出てくるとういう雰囲気を作っている。張りぼてじゃないとわかりますよね。そんな道をミスチルは突き進んでいる。だから30年近く君臨し続けていると。ベースを築きそれが彼らの資産となっているから、この資本主義社会の中で資産を活用しながら、拡大し続ける、資本主義ゲームの中での王道を行っているからこそ、常に資産を生み出せると。全てに通ずることだと思いますね。

今回のプロデューサー、サム・スミスなどを手掛けグラミー賞を獲得している、天才スティーヴとの出会いは、計り知れない影響をミスチルに与えたようですね。もともとはギターの田原さんからの提案だったそうです。メンバー全員のインタヴューの端々に出てくるスティーヴ。これだけでも彼の偉大さがわかります。象徴的なコメントをドラムの鈴木さんが答えています。

「俺は別にどんなアーティストでもやるとは言わない。」と。「俺はこいつとだったらこういう音が想像できるなっていうのがないと一緒にやらない。」と。スティーヴはミスチルのビデオとかを全部見て研究してくれていた。もう涙が出るくらい嬉しくてチューしちゃった、なんて回答しています。

最後に私の感想を

正直少しミスチルから距離をとっていた自分がいました。小6から「名もなき詩」で衝撃を受けてからずっとファンですが。ただ、今回改めて、歌詞の世界からミスチルを紐解いて、桜井さんを中心にミスチルメンバーの今回のアルバムに対しての想いを、ミスチルファンの方に届けたいとこのブログを立ち上げたのですが・・・楽しかった。歌詞のギミックや、シンプルな想いを理解したり想像する作業がことのほか楽しかったし、何より王道を行く彼らの生き方がたまたま音楽で表現されているんだなと感じれたことに喜びを感じたわけです。天才マッケター桜井和寿の力をまざまざと見せつけられたと。私は、必要とされている音楽を作るという姿勢に共感します。アーティストなので自己満足の「作品」に走る人もいてしかるべきで、否定する存在ではないのですが。あくまでも「商品」を届けてくれる、ミスチルが好きです。リスナーひとりひとりの王道を見つけることの重要性。そんなことも指し示す素晴らしい「商品」であると。

私の音楽に対する無知な部分が多々あり、音楽性の専門用語には歯が立たないので、少しずつ音楽性の知識も身に着けることでより、ミスチルを理解できるし、プロデューサーの力量もわかってくるんだと思ったわけです。これからも、ミスチルを深堀してお届けしたいと。

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