詩 冬の夜の一瞬の
冬の鍋料理には 温まるものですが
温まったからといって
ぬくぬくとしたからといって
それは私だけのこと
また 鍋料理を楽しんだ人たちだけのこと
温まってぬくぬくと できぬ人たちもいるのですが
それはそれとして 白菜を白滝を
水菜をバラ肉をと 菜箸でとりわけて
ひとまずは自分が楽しむことです
ほふほふと口に熱い豆腐
いま殴られた誰かがいることでしょう
ポン酢につけてほぐすタラ
いま殺された誰かがいることでしょう
湯気を立てる私の鍋
見知らぬ誰かの悲劇
それらが相互に なんの因果