見取り図

私が彼らを初めて見たのは2016年あたりだったと思います。もっと兄さん達も出ている夜のNGK公演など軽めのライブを見ていたので、その中のどこかで出ていたと思います。「見たなー」というのだけを覚えていて、どんなネタをしていたかというのはもう覚えていません。今思えば、軽めの一般のお客さんにウケるというより、お笑いを見慣れた人や玄人さんにウケる芸風だったと思います。

年が明けて2017年、尼神インターの上京単独ライブにシークレットゲストで盛山さんが出られていました。その時は何とも思わなかったのですが、のちに極LIVEなどを見るにつけ、彼の天才的な平場の強さを感じずにはいられませんでした。

あまり突っ込んだ事を書くとどこかから怒られそうですが、正直に申し上げるとこの時代あたりの彼らの印象は「そんなに人気が無い」コンビでした。みつあみというユニットでも、コマンダンテ は女子人気が高く、漫才も吉田たちの方が劇場ウケは良かったような気がします。(あくまでひかる子の体感です)ytvのラストイヤーはハマらず、優勝は出来ませんでした。

けれど、M-1では見取り図は抜けていました。毎年、敗者復活戦まで勝ち上がっていたと思います。今や代名詞となっている「あたおか」は敗者復活戦リアタイ組で一斉にTwitterのTLを「あたおか」で埋めたのを覚えています。

リリーさんはLIVEのある日はくる日もくる日もチケ売りに立っていました。決して愛想がいいという方ではありません。けれど、「チケットを売りたい、LIVEを見てほしい」というひたむきさを心の奥に持っていて、その地道な努力を下積みでしていたからこそ、今の人気なのではないかと思います。その頃、スーパーマラドーナ武智さんのトークライブに2人で出演されて、「どうしたら決勝に行けるんですか」と切実に相談していたのを覚えています。この時はまさか決勝まで上がるとは思えませんでした。

転機が訪れたのは2018年頃。急に凄く漫才が良くなりました。盛山さんがトット多田さんとのツーマンライブで営業ネタ一本で行くと年始めに冗談で言ってたところなのに、めちゃくちゃいい。みつあみのNGK公演もあったのですが、そこでもあの見取り図が抜けている。まだチケ売りもされてて、ファンミでも気楽に話せる芸人さんでした。マンゲキで行われた単独も最高でした。またおいおい書けたらと思うのですが、「オトコが笑う漫才」です。なので、最前列のリリーさんのガチ勢が凍りつき、静まり返るネタもありました。私は笑いましたが。

この年にとうとうM-1決勝へ。

1番推しでないにしろ、私にとってM-1への道を最初から見ていた初めてのコンビでした。

この時、初めて気づいたのですが、M-1の決勝へ行くのは本人達がネタを作って、合わせて頑張るだけでなく、お客さんが見ることで、そのネタが響き、練られて叩かれてその漫才師も、ネタも育っていき、お客さんも一緒になってM-1決勝に押し上げるのだということに。

ネタの初おろしを単独で見ます。その時は長尺で荒削り。でも、余計なボケ、下りを削いで、また新しいボケを入れて4分にシェイプアップさせる。ライブで試して試して磨きあげてブラッシュアップさせる。

そんな珠玉のネタを年末の特番で見る。

小さな小さな劇場で数人の前で生まれたネタだったのに。全国に放送され、万人の目に映る。

これは劇場ファンにとってとても誇らしいことです。そんな事を思わせてくれた、大好きな漫才師です。

何やら真面目に語りましたが。



あたおかでしたーーーーー!!!!

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