活力＝形式重視＜機能重視

こんにちは。ホワイトボックス（株）コンサルティング部の阿部です。
いろんな病院や施設にいき、組織図や方針、マニュアルといったものをみせてもらうことがありますが、そうしたなかで時々こんな言葉を耳にします。「監査対策として用意されているだけです」。

▽箱入りとはいうけれど…

病院や介護施設は、医療法、介護保険法、健康保険法といった法的根拠があり、人員数や体制、様式、会議体制など様々なことが定められており、定期的に保健所や県の指導を受けることになっています。

冒頭の「監査対策として用意されているだけです」というのは、正確には医療法第25条の立入検査（旧医療監視）や厚生局による適時調査、介護では県による実地指導のことを指していることが多いのですが、組織図や委員会の指針、マニュアルといったことが、実務的にというよりもこうした行政対策として作成され、人の目に着くことなく大事に書庫に仕舞われていることケースを見かけることもあります。

これなどは大事にされる「箱入り」ではなく、もはや「お蔵入り」に近いのだと思ってしまうのですが…。

▽歴史に学ぶ

 こうしたケースを耳にするたびに、本当にそれで良いのだろうかという思いが交錯します。

おおよそ、こうした施設であるほどガバナンス（企業統治）が効いていなかったりするものですし、何かあっても場当たり的な対応に終始していたり、あるいは組織のなかの誰か一人が懸命になって支えているといったことが多く、その誰かが退職する段になってはじめて慌てる…という顛末になってしまうことは想像に難くありません。

 転じて、いまのコロナ下。日本が他の国々に比べて後塵を拝している格好になっている印象は否めません。ワクチンや薬の開発で遅れをとっているばかりでなく、水際対策においてもその厳しすぎる措置が海外だけでなく国内からも指摘され、ようやく要件を緩和するという現状があります。

過去の大戦における敗因の分析において、縦割り組織の弊害（硬直化）、これによる状況に応じた作戦変更ができない体制（退くことができない戦略）、兵糧や兵站（人員や兵器、食料などの確保にあたる輸送機関）の軽視といったことが行われていたことを、今こそ改めて学ぶ機会ではないかと思っています。

▽実践に学ぶ

 例えばBCP（事業継続計画）というものがあります。この作成過程のなかで耳にしたことの一つに、賞味期限を迎える食料や水の処分がありました。

施設の規模が大きいならまだしも、200床未満の施設においても悩みは同じことが多いようです。しかしこうしたものは実際に災害が起きなかったことに感謝して儀式的に処理するも良し、非常用飲食料の購入時期を見直してイベント前に集約し、在庫分はイベント時に消費するということも良し、だと思うのです。

大事なことは思考が硬直化してしまい、考えること、実践することを拒んでしまうことにあるのだと理解しています。

方針やマニュアル、あるいは組織図においても、形式として必要とされるから作成するという視点ではなく、作成の段階から活性化させるためであることを念頭に着手し、加えて定期的にメンテナンスすることが大切です。

2022.02.20 阿部　勇司