2022年度診療報酬改定の方向性(4)
こんにちは。ホワイトボックス株式会社(株)コンサルティング部の阿部です。前回からの続編、2022年度診療報酬改定の方向性その4をお届けしたいと思います。
前回までの記事はコチラ↓
▽今回は回復期編
医療機関は、その役割によって機能が分かれます。
大学病院に代表されるような先進的な医療を提供する高度急性期病院、救急車を24時間365日受け入れている急性期病院、急性期症状の治療が終了してもなお、社会復帰までには時間がかかるためその間入院しリハビリなどを行う回復期病院、そして治る見込みが難しく長期間の療養を必要とするための慢性期病院、の4機能に分類することができます。
今回はこのうちの「回復期」の機能を有する病院向けに議論されている内容をお届けしたいと思います。
スライドのダウンロードはコチラ↓
▽少しだけ解説(地域包括ケア病棟編)
スライドのうち、いくつかを簡単に説明しておきたいと思います。
まず上記ですが、地域包括ケア病棟の制度ができて10年が過ぎ、届出をする医療機関は堅調に増加してきました。
ちなみに、地域包括ケア病棟には急性期と回復期の丁度中間のような機能をもつことが求められています。それは、
ポストアキュート機能(急性期治療を終えた患者さんを受入れる)
サブアキュート機能(自宅で急性期症状を呈した患者さんを受入れる)
在宅復帰機能(治療がある程度終了したら自宅へ帰す)
の3つです。
この3つの機能が地域包括ケア病棟には求められている訳ですが、本入院料を届出ている病院すべてが、各機能を必ずしも発揮している訳ではありません。
他の急性期病院からの転院を受入れている病院もあれば、自院の他の病棟からの患者さんの転院を主に受け入れているところもあります。また、自宅からの患者さんの受入れ数が必ずしも多くない病院があることも分かってきています。
ちなみに、他の急性期病院からの転院を受入れている病院は、不思議と自宅からの入院患者を受け入れる傾向も高くなっているほか、自宅からの入院が多い病院と、自院の他の病棟からの転棟患者をメインにしているところでは、医師の診察にかかる頻度も違うことが分かってきています。
こうしたことから、地域包括ケア病棟入院料では、果たしている機能ごとに、診療報酬が細分化される可能性があることが指摘されています。
▽ちょっとだけ解説(回復期リハビリテーション病棟編)
次に、回復期リハビリテーション病棟ですが、こちらは入院料が上位区分の1から順に6段階まで分けられています。
ちなみに5と6という区分の入院料では、入院時の身体機能と退院時の身体機能を評価するFIMという点数の差が、他の区分の医療機関と比べるといくらか条件が緩いといった、回復期リハビリテーション病棟の登竜門的な位置づけになっているのですが、この登竜門クラスに何年にもわたって留まっている医療機関の存在が明らかになってきています。
このことを国は疑問視しており、次の改定ではひょっとすると、入院料5・6に留まれる期間は〇年、のように算定できる期間が制限される可能性があることが示唆されています。
また、全般的に入棟時のFIMが低下傾向にあることも示されているのですが、なぜが病院機能評価をとっている病院と、そうでない病院とではこの低下傾向に違いがある、ということが指摘されているのです。
上記の事柄などを含め、回復期リハビリテーション病棟における次回の診療報酬改定では、入院料5・6に算定期間という条件が設けられるか、また病院機能評価の認定の有無によって、入院料の報酬に差がでるのか、といったことが注目されそうです。
▽その他
その他については、地域包括ケア病棟では「入退院支援加算」の要件が緩和するかもしれないということ(現在は同加算の上位区分1でしか届出が認められていません)、回復期リハビリテーション病棟では、管理栄養士の配置義務があるのは入院料1のみで他の区分は努力義務のみですが、他の区分でも配置しているところが増えいていることから、加算でこれを評価するかもしれないとった声が聞かれています。
▽おわりに
駆け足で見てきてしまいましたが、詳しくはスライド一枚々をご覧頂ければと思います。
またいつもの文句で恐縮ですが、この記事は私が編集を担当しているメルマガを、note用に書き下ろしたものとなっています。本来であれば、メルマガの登録読者用記事ですが、診療報酬改定は来年4月。賞味期限もあるものですので、こちらにも転載している次第です。
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それでは、今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
2021.12.09 阿部 勇司
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