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2020年のオンラインシフトを振り返る

今年の年初から世界を震撼させた「新型コロナウイルス」は今までのあらゆる常識を変えてしまったと言っても過言ではないかと思います。

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私自身、「働き方改革」関連の業務を10年前から。自身が実際にノマドワーカーという意味合いでは、既に17年経過しており、オフィスへの依存度はかなり低い状況ですが、それでも、身の回りを含め大きく様変わりしました。

今回は、わたしの身の回りの変革を振り返りつつ、今後どういう方向になっていくのかな?というところを少し考察してみたいと思います。

セミナーが軒並み中止になった、2020年4月

緊急事態宣言が発令される前の2020年4月以前、まだ日本においては、新型コロナウイルスは「対岸の火事」の様な状況でした。

リアルなセミナー会場で講演させて頂く機会も多く、前年並みに各地の講演会場を転々と回っていました。

ところが、4月以降、一気に「イベント開催中止のお知らせ」が舞い込みました。

リアルな集会は軒並み秋以降へ延期となり、また、オンラインイベントへの切り替えに対応できず中止になるイベントも多数ありました。多分、中止、延期の相談を頂いたのは20件近くあったと思います。

そんな中、演者として感じたことは「リアル」「オンライン」に関係なく、「相手に最大限の情報を届けること」を、これまで以上に気にしなければならない。ということでした。

現在ではイベントアクセラレータなどの存在が生まれ、オンラインイベントでもそれなりの運営が行われることがありますが、当時オフラインイベントからオンラインイベントに変更をする際に「Web会議」の仕組みをそのまま使うケースが多数ありました。

「Web会議が使えるならイベントのオンライン化は簡単でしょう」

なんてことを言われたこともあります。

しかしながら、「Web会議」は「会議内容」を相手に「伝えるため」のものです。会議を行うのであれば、その仕組みをそのまま使えばよいですが、セミナー・講演会となると参加されているスタンスも違いますし、目的も違います。会議室で講演を聞いていても他の仕事が気になれば離席しますし、自分のパソコンで内職をされることもあります。

しかし、講演会・セミナーの場合、「イベント」ですので「特別感」が必要となります。聞いて驚きや新しい気付きなど、「納得感」が欲しいのではないでしょうか?

その条件を考えると「Webカメラの映像」で「資料共有」した配信では納得がいかないのではないか?「高品質」を実現する機材と、配信手段が必要ではないかと試行錯誤をし始めました。

演者各自が試行錯誤する世界

周囲でもアーリーアダプタ的な方々が、次々にオンライン登壇手法を手探りで進めていきました。私自身も、フリーのソフトウェア(OBS、XSplitなど)を次々と試し、Webカメラも様々試してみました。しかしながら、どれもクオリティという点では満足できませんでした。

多くの人々がソフトウェアベースで処理を行うため、ゲーミングPCなどを導入されたりもしていましたが、私自身が求めるクオリティには到達できないと感じました。

イベントに集まられるお客様は当然ながらPCやスマホの「画面」から得られる情報が「最大」となります。その情報が低ければ低いほど、「低い情報から、しっかりと欲しい情報を引き出そう」としてしまうため、「リアル」なイベントより「疲れてしまう」ことが多いのです。この辺りは在宅勤務で「テレワーク疲れ」を感じられている方々も同じではないでしょうか?

疲れを感じず、内容をしっかりと理解頂くためには「慣れ親しんだコンテンツ」で「最大限の情報を伝える」ことが一番の近道だと思いました。

その中で行きついた先が「放送局クオリティのカメラ」「放送局クオリティのスイッチャー」そして「放送局と同様の映像技術」です。

テレビを見ていて疲れることが少ないのは「情報量の多さ」「コンテンツのクオリティの高さ」だと思います。

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自宅の配信環境ご紹介

ここで、私が2020年に入り入手した配信機材の主なものをご紹介します。

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・メインカメラ「SONY HVR-Z7J」

・サブカメラ「SONY HVR-V1J」

共に放送局用のカメラを某ルートから中古で入手しました。

特に放送局向けカメラを選んでいる理由は「全ての設定がマニュアルで固定できること」です。また、放送局向けのため、長時間動作に耐え、トラブルが起きにくく、映像信号などの安定性が高いことも選定のポイントです。

マニュアルで固定できる部分は、「クロマキー」合成の際に役立ちます。よくZoomの仮想背景などで少し背景と人物の間の部分が切れてしまったり、必要な部分まで消されてしまったりしますが、一つの要因に被写体が動いた際のフォーカス、明るさなどの自動調整が処理に影響していることがあります。(それ以外にも影響されるものは多くありますが)

固定化で切れば安定したクロマキーなどの映像処理が可能になります。iPhoneのカメラなど一見綺麗に見える映像も、実は中で細かな調整・補正を常に行っていることが多く、映像処理を行うための素材として利用するカメラには向かないことが多いのです。

業務用カメラ以外にも、

・GoPro HERO4 BLACK

・SONY HDR-CX170

・iPhone6 + HDMIアダプタ

なども入手し試しましたが、業務用カメラには遠く及びませんでした。ただ、

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・α7+標準ズームレンズキット

が唯一、放送局クオリティのカメラと同様の品質を確保できました。

しかしながら、配信に必要な音声の処理のためのマイクのインタフェースなどを考慮すると今でもメインは放送局向けカメラとなっています。

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・BalckMagicDesign ATEM mini PRO

・BlackMagicDesign ATEM mini

スイッチャーは上記の2台を購入しました。品不足が懸念されている時期でしたが、PROが発表された際に即オーダーしたため、かなり早い時点で手にすることが出来ました。

今はこの2台は毎日フル稼働しているため、なくてはならない存在です。

もともと放送機材を作られているメーカーが作った配信用機材のため、映像の安定度は非常に高い装置になります。また、映像フォーマット上を見ても不安定なところは見当たらないので、配信を行う方々には本当におススメの機材です。

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・マランツプロ MPM-1000 コンデンサマイク

・Neewer NW-4600 ガンマイク

・SONY ECM-PC60 ワイヤードピンマイク

・XTUGA A400 ワイヤレスピンマイク4式

・Debra AUDIO MM-02 ワイヤレスマイク2式

さらに、講演にとって重要なのが音声。聞きづらい場合、本当に耳に入ってきません。ここの機材は試行錯誤の跡が見える位にいろいろなものを調達しています。最終的には、ATEMにECM-PC60を直結する。という線で対応をしています。おひとり様の場合は案外シンプルで使いやすい構成です。

マイクについては、自宅以外の環境でも活用することもあるため、数人で使えるものも用意しています。

ピンマイクは声を拾うにはとても良いのですが、衣擦れの音を拾ったり、ワイヤレスの場合は、電波干渉などでノイズに繋がることもあります。また、会場によっては、ハウリングなどにも気を使う必要もあります。

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・SAMTIAN 600AS LEDビデオライト2式

・Konseenソフトボックスライト2式

・上海問屋 DN-915891 リングライト12インチ

映像作りにおいて「真」に重要なのは照明です。ここも試行錯誤を行いましたが、最後にはビデオ用ライトを購入することになりました。

また、部屋の明るさが変わるとクロマキー調整やカメラ設定が変わってしまうため、オンライン登壇時は部屋の遮光カーテンを全て閉め、真っ暗な中にライトを当て、登壇しています。テレビなどのバラエティ番組でも各スタジオに分かれ出演者を映しているシーンではスタジオ自体の照明を消し、個別ライトを当て映しているシーンが映ることもあります。それと同じことを自宅でも実施している状態です。

・NURO 光

最後に導入したのは回線です。今までは日中安定していたため、配信専用にSoftbankAirを使っていたのですが、さすがに映像コンテンツを配信するには向かないため、光工事を行いました。今では家の光コンセント周辺が凄いことになっています。(NTT、KDDI、NUROの3本が出ています。)

オンラインが当たり前の世界

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2020年、本当にオンライン化の流れが顕著でした。皆様の仕事環境までがオンライン化できたか。というとまだまだほど遠いという方々も多いと思います。私自身、2020年は165講演行いましたが、自宅スタジオからのオンライン配信は80回、約半分程度です。まだまだ環境も通過点でしかなく、もっとアップデートしていかないといけないとも思っています。

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ただ、個人的には、今回の新型コロナウイルス蔓延が終息し、一段落してもコロナ前の様なオフラインが当たり前の世界に戻るとは考えていません。オンラインの良さである、「時間」「場所」「状況」に関係なく「コミュニケーション」や「学び」が出来るということに気づいた人も多かったと思います。また、地域の方からも「今までは首都圏に移動することが出来なかったので参加できませんでしたが、今回はオンラインだったので参加できました。」という方も多くおられました。今までのオフラインでは体験できなかったことを体験した今年、来年に入り全てを元に戻すということにはこれらの体験を無駄にすることになるのではないでしょうか?

オンライン化された世界で重要なこと

オンラインは伝わりにくい、オンラインは使いにくい、オンラインは難しい・・・様々な話を聞いた一年でした。

無理にオフラインで行っていることのそのままオンライン化しようとしたり、オンラインとオフラインの特長を考えずに使ってしまうケースなど、様々な試行錯誤が行われたと思います。

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中国では、オフィスワーカー4億人中、既に2.5億人が完全在宅勤務に切り替え、営業の様に外でも業務を行うが残りは在宅勤務という人も合わせるとその割合は8割を超えていると言われています。

一方日本では、オンライン化できないアナログなことが非常に多く、在宅勤務を含めたテレワークも緊急事態宣言解除から徐々にオフィスワークへ戻ってきている。という状況にあります。

なぜオンラインが定着しないのか。一つの要因に「コミュニケーション」のとり方があると思います。今回の講演環境の試行錯誤もこの「コミュニケーション」の強化が目的でもあります。

Web会議をする際にはカメラはオフ、基本ミュート。なんていう会義もいまだに多いのではないでしょうか?

普段会議室で会議に参加されている際、目隠しをして、一切声を出さない。なんてことをしている会議はほぼ無いのではないでしょうか?オンラインになった途端にオフラインで行っていたあたりまえなことをしない。なんていうことも増えています。

オンラインはオフラインに対し、情報量は大幅に減ってしまします。伝わらない、理解できない。という場合も多いでしょうが、そこは情報を発信する側が最低限の環境・手段を用意することで解決することが出来ます。

私が構築した自宅バーチャルオフィスは「参加者とのコミュニケーション」の密度を上げ「相手に最大限の情報量」を提供しようとした結果です。

オフィスなら環境が整っているが、自宅では・・・、オフラインなら何もしなくても伝わったのにオンラインでは・・・など。いろいろ言われる方々も多くおられると思います。

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しかしながら、オンラインが前提となる社会に変化する中、「情報発信の解像度」を上げることがもはや常識になるのかもしれません。

世界が進化をし続ける中、自分のアップデートと続けないといけないな。と心から思う一年でした。

皆様もこれから先、様々なチャレンジが出来る環境が与えられたと考え、日々楽しく試行錯誤して頂ければと思います。


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