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僕の「あしたのジョー」の時代(4)

 1980年3月8日土曜日、『あしたのジョー』がついに劇場公開。
映画誌「キネマ旬報」に掲載された連載頁“映画街”によると以下のようなレポートが書かれていました。
 ~3月2週の土曜日8日にはS・スピルバーグ監督の「1941」(COL)とアニメ「あしたのジョー」(ヘラルド=富士)が“春興行”の先陣を切ってスタートした。(中略)また、丸の内東映パラス、新宿東急、新宿東映パラス、東急レックス、池袋東急、上野東急、浅草ロキシーの都内7館で公開された「あしたのジョー」は、好況だった前売状況を反映して予想通りに好スタートをきり、初日動員14,893人、興収1,580万3,956円、2日目動員26,433人、興収2,811万3,421円、2日間合計で動員41,326人、興収4,391万7,377円とヤング層を集めてヒットした。また2日目日曜日の成績を昨年同チェーン(8館)で大ヒットした「銀河鉄道999」のそれと比較すると、動員で若干上廻っており、スタートを他の春興行作品より1週間早めたことが成功の要因といえよう。~
 翌週(3月第3週)には「ドラえもん・のび太の恐竜」(東宝)、「東映まんが祭り」(東映)、「遥かなる山の呼び声」(松竹)「ジャスティス」(COL)「火の鳥2772・愛のコスモゾーン」(東宝)、「家なき子」(東宝)、「矢沢永吉ラン&ラン」(富士)、「ナオミ」(東映)が公開。加えて大ヒット中の「地獄の黙示録」が(ヘラルド)が公開拡大された。上記の初日&2日目の動員数も掲載されているので、アニメ作品のそれと「ジョー」を比較してみよう。

「ドラえもん・のび太の恐竜」→初日17,120人、2日目39,340人 2日間合計56,460人。※全国主要10館計
「東映まんが祭り」→初日17,220人、2日目51,010人 2日間合計68,230人。※全国主要9館計
「火の鳥2772・愛のコスモゾーン」→ 2日間合計13,238人。興収1,467万3,458円※都内5館計
上映館数の違いもあるが、他の作品と比べても遜色のない好調な滑り出しといえるのではないか。なおこの記事頁には「あしたのジョー」公開初日風景の写真が1枚掲載されていた。私が今回資料としてコピーしてきたのが縮小サイズだったのでここには掲載できなかったが、入場口に列をなすファンの姿は公開当時の熱気をうかがえるようで見つけた時は嬉しかった。実際こういう写真を撮っていた人はいたはずだと思うけど、是非見てみたい。

 続く「キネマ旬報」“映画街”の頁。3月第4週の公開作品は「パパ」(WB)、「象物語」(東和)、「宇宙怪獣ガメラ」(大映)。詳細は省くがこれらは低調なスタート切り、「ジョー」は動員15,213人。前週の日曜対比で69.9%だった。そして第5週の公開作品に「悪魔の棲む家」(ヘラルド)、「ローラー・ブギ」(松竹=富士)。「ジョー」は動員13,523人。前週の日曜対比で88.9%だった。そして次号の“映画街”の頁は4月第2週のデータが掲載。上映館数が一つ減って6館で動員8,939人。前週の日曜対比で89.9%だった。
「ジョー」の映画に関するリアルタイムレポートはここで終了し、翌年に1980年を総括するデータ頁に最終的な結果が掲載された。公開日数49日、動員数297,306人。興行収入3億1,446万7,000円という結果である。

※全文注:文中の金額単位について。1980年の大卒初任給の平均が10万で、昨年(2014)が20万だそうです。

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