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「夕凪の街 桜の国」(2003)

「おしえてください、うちはこの世におってもええんかね」

あまり有名な作品ではないですが、名作だと思います。『この世界の片隅に』の、こうの史代原作コミックの映画化作品。麻生久美子、田中麗奈、堺正章。
麻生久美子演じる、昭和33年の広島で暮らす皆実の暮らしから物語がはじまります。復興が進んだとはいえ雨漏りするバラックが立ち並ぶ街、通勤に使う靴が減るのを惜しんで河原を裸足で通う皆実。儚げな麻生久美子の様子から彼女の未来がなんとなく想像できてしまうのが悲しい。


「この世界の片隅に」とも似た柔らかなタッチの作品ですが、原爆をテーマにした多くの作品とすこし違うのは原爆を落とした側の「敵意」を麻生久美子の優しい声で語らせるシーンかもしれません。その敵意は偶然に大きな怪我をすることがなかった彼女に深い心の傷を刻んでいました。
「原爆はね、落ちたんじゃない。落とされたんよ」
「うちらは誰かに『死ねばいい』と思われた、なのにこうして生きとる」

後半の「桜の国」は50年後、皆実の姪、田中麗奈演じるいかにもな現代っ子の七波が父堺正章の徘徊?の後を追って広島へ。友人役の中越典子もとてもよいです

七波はいつしか時間を超えて皆実と父の人生を追体験する旅に。皆実の髪飾りが皆実の母に渡され、それが弟から妻へ、そして娘の七海にうけつがれてるのにちょっと(T_T)


皆実の母と仲が良い、七波の母になる子。最初みたときは気づかなかったけどもしかして小池里奈?子役だからか映画のキャストには名前がなかったけどWikiPediaみたらそうだった

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