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日本で医療崩壊が起きるとして、その元凶は?

こんばんは。今日もお疲れ様です。

とある国民民主党の国会議員が、厚生労働省(以下、厚労省)からのヒアリング結果をFacebookに投稿し、その新型コロナウィルスへの対応の悪さを嘆いておりました。

その人の投稿は公開投稿なので、検索して見つけ出すことも可能ですが、
より判り易く、極力丁寧に再構築したいと思います。
ご本人にはまだお断りしてませんし、途中で私の知ってる話も挿入しますが、まぁ文句は出ないと思います。

1.統計数字

まず、20床以上保有する日本の病院は、全部で8,200あります。
例えば東京都文京区にある東京医科歯科大学医学部附属病院は、外来専門
ですので、病床数は17しかありません。
仮にもし、ここですべての病床をコロナ患者にを24時間体制で受け入れる
ことになったとしたら、必要な医師は、でも17床ですから、最大6人も
居れば回せる数でしょう。もちろん、看護婦さん達はもっと必要でしょうが。
そして、感染症対策が専門である医師はどこの病院だってそれほどの陣容を整えていないでしょうから、各局から応援を出してもらって、対策チームを組成していくことになります。
そのための時間は、過去一年、十分にあった筈です。
ちなみに、「その17床が全部満杯になってる!」と実際に報道した愚かな
メディアがありましたが、17床しかないのですから、病室をフルに活用しているのであって、そこに何の問題もないでしょう。

いや、早くからコロナ患者を受け入れると決断してくれていて、そこは惜しみ無き賞賛を贈るべきでしょう。
ところが、その病院の内部関係者が、迂闊にも下記の発言をしてしまいました。

荒井副病院長「みんなぎりぎりの状態で働いています。ほんと120%稼働くらいの感じですね。結構スタッフは疲弊しています。肉体的にも精神的にもそれなりの疲れはでてきています、正直なところ」

私、40代の頃、システムインテグレーションを受託する会社で、1か月だけでしたが、450時間稼働してたことがあります。%換算すると、月150時間が標準として、300%ですね。
そして、永田町勤務になって驚いたのは、中央官庁では300%稼働を数か月も連続して勤務している人達が少なからず居た、ということです。

120%で疲弊って、あまりに世の中の事情を知らなすぎる発言で、失礼ながら笑うしかありません。
それでも疲弊するとは、あまりに普段ヒマ過ぎたとしか考えられませんが、
それにしても、他の部署から応援を連れてくればいいじゃないですか。
副院長なのだから。

ちなみに、私が大学生の時分に米国から留学してきた友達は米国でアジア系の医師と結婚しましたが、感染症は専門分野ではないのに当然のように駆り出され、この一年ずっと交代性で対応に当たってました。
医師として、その人は本当に立派だな、と思いますが、米国ではこのような人達は、普通です。
日本のお医者さん達も、もう少し海外の同業者の働きぶりを見習ったらよいかと思います。

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画像は、その医師が、新型コロナウィルス対策用ワクチンのなんと早くも
2本目を接種してもらうところ。

話が横にそれてしまい、申し訳ありません。

さて、上記の8,200もある病院のうち、このうちコロナ患者を受入可能な病院は、全体のたった21%の1,700のみ。受入実績がある病院は、全体のたった16%、1,350病院しかありません。

次に、急性期病床の数を見てみましょう。
日本全国では、急性期病床は73万床もあるそうですが、このうち、コロナ
患者を受入可能になっている病床は、なんとたったの4%、わずか28,000床
しかないそうです。

では、その28,000床しかないコロナ専用ベッドは、どれくらい「使い出」があるのでしょうか。つまり、どれ位有効に活用できるのでしょうか。

例えば、北海道の夕張市でクラスターが発生して自衛隊の衛生部隊が救援に行きましたが、患者さん達を、例えば仙台まで空輸したりするのは現実的には無理です。

東京都内で発症した患者さんは、都内の病院に収容しなければなりません。

また、台湾や韓国と異なり、わが国はこの緊急事態をITで乗り切ろうという知見が全くなく、コロナ患者を受け入れる病院のリアルタイムな稼働状況を情報共有するシステムが用意されていないため、例えばコロナ患者から通報を受けた救急隊は、あちこちの病院に電話をかけまくって、ベッドが空いてるかいちいち確認しないといけません。

今、日本でCOVID-19が発症してしまったら、28,000床のどこかに入れてもらうなんて夢のまた夢、助かる筈の命も助からない状況に、全国でなりつつ
あります。

2.日本で、コロナ患者用病床数が圧倒的に少ない理由

病床数はアメリカの3.2倍、フランスの2.5倍、ドイツの1.3倍ありながら、
おまけにコロナ患者数が圧倒的に少ない日本で、医療崩壊が危惧されるのはコロナ患者を受入れる病院・病床が圧倒的に少ないからだ、とくだんの国会議員が嘆いていました。

その理由は、評論家の八幡哲郎氏も指摘していますが、「日本の病院の8割が民間病院(欧米では1~3割程度)で、民間病院がコロナ患者を受入れないから」だと言われています。

民間病院がコロナ患者を受入れられないのには様々な理由があるようです。その原因を把握し改善に努めることが厚労省の役割のはずなのですが、
「コロナ患者を受入れていない民間病院に対して、厚労省はどのような対策をとっているのか?」とその国会議員が尋ねても、答えは返ってこないそうです。

そして、特措法の31条には「都道府県知事は、医療関係者に対してコロナ
対応医療を要請・指示できる」との規定がありますが、この規定は発令されたことはないそうです。
「(要請や指示ができない)ボトルネックは何か?どう分析しているのか?」とまたその議員が尋ねても、
「分析できていない」
との答えしか返ってこないそうです。

そして、私が指摘したように、絶対必須だったIT対応がなされていません。

3.自分達の出した政策の妥当性検証も結果責任も負わない厚労省


年末年始にようやく1床あたり約2,000万円、具体的にはそれまでの1,500万円+450万円の上乗せ)の補助金が政府案として出され実施となりましたが、厚労省は、これによって増える病床数の見込みも算出していないそうです。

予算規模としては28,000床が1.5倍に増えても足りる額だそうです。

その国会議員が、
「補助金はコロナ対策経費には使えるが、損失補填には使えないため、民間病院は二の足を踏んでいる」
と指摘しても、厚労省は改善しようともしないそうです。

また、私が思うに、民間病院の多くは駅前とか、交通至便のよい場所に当然施設があるので、病床を増やすと言ったってビルの増改築がそう簡単に出来る訳ではないし、本気で増改築しようとしたら、10床増やすために建築費が2億超えたら既に赤字になってしまいます。
それ、無理筋ってものです。

この議員さん、以下のように結論を書いてました。

民間病院がコロナ患者を受入れられない最大の理由は赤字になってしまうからだ。1950万円の補助金を損失補填にも使うことができれば、コロナ患者を受入れる民間病院はもっと増えるはずだ。この補助金の予算額(予備費)は2700億円。まだ4兆円もの予備費が残っているのだから、ここは出し惜しみすることなく使うべきだ。
医療崩壊の危機を招いた原因は、民間病院ではなく厚労省にある。
今こそ厚労省は、都道府県や民間病院に責任を押し付けるのではなく、病院間の連携や役割分担の見直し、財政支援等の様々な政策を組み合わせて、日本の医療体制を再構築するリーダーシップを発揮すべきだ。

厚労省は、与党の方ばかり向いてないで、野党議員からも妥当な提案があれば、真摯に検討した方が国民が救われるのに、誠に遺憾であります。

4. 文芸春秋デジタルがやらかしてます。

上記に関連して、文藝春秋デジタルが、以下記事を有料で投稿してました。

無料部分の記事に、「急性期病床数でもOECD加盟国の中では最も多く、人口1000人あたり7.8と、OECD平均3.7の倍以上である(2017年)」とありますが、上記の厚労省の報告数字では、急性期病床のわずか4%としか、コロナ患者用に振り分けられてないそうですから、これは誤りです。
なので、そこから先の議論を有料で買う必要がないというか、それこそが
医療崩壊を引き起こす元凶というか、機動力がないのは厚労省、以上、
です。
この記事に、そうコメントしようと思ったら、この記事を購入しないと
コメント投稿できないそうなので、教えてあげるのはやめました。


今日も、明るい話題を提供できなくて申し訳ありません。では、また。

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