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共通テストの不備の被害者は誰なのか

こんばんは。今日もお疲れ様です。

コロナ禍で実施された、共通テストで発生した数々の不備。

各メディアの取材が余に皮相的なので、自分で深堀りしてみました。

1. 共通テストの位置づけ

受験生の中には、浪人することが家庭の経済事情等で許されず、これが人生最後最大の挑戦かも知れない中、当然、共通テスト実施は全受験生に対して公平公正に実施しなければならない筈です。

2. 静岡大学で発生した試験時間繰り上げ事件

試験会場は主に大学が使われますが、大学の通常の時程と試験の時程は当然異なるので、共通テストに限らず試験の都度大学のチャイムを切るのは当然の行為です。

そして、各試験監督は、全国で試験が実施されるのだから、たとえチャイムがなっても、時計合わせをした筈の自分の時計や支給された電波時計を頼りに全国同一の時間を受験生に公平に確保しなければいけません。
試験監督の様子を細かくチェックしたことのある方なら納得頂けると思い
ますが、試験時間終了時刻が近づくと、どの試験監督も、自分の腕時計を
何度も気にして見ている様子が観察できると思います。
また、試験によっては、「この試験は、私の時計で運用します。」と
はっきり宣言する試験監督も居ます。
実は、私はそうした試験の運用マニュアルを拝見させてもらった経験がありますが、「この試験は、私の時計で運用します。」とここで自分の時計を
指し示しながら言いなさいと、極めてこと細かく記載されていました。

静岡大学でのミスは、①鳴ってはいけないチャイムを鳴らしてしまった。②間違って鳴ったチャイムを聞いて、何故か時計合わせをした自分の時計を
見ず、そのチャイムで試験を終了してしまった。と二重にミスが起こって
いるのを、防ぐことができませんでした。

この様な、まるで試験監督素人のような人が、大事な共通テストで動員されているのでしょうか。
そして、それでいいものなのでしょうか。

答えは、残念ながらYESです。
国家資格の一部では、その資格を過去に取得した人達が、応援で駆り出されている場合も結構あるそうですが、大方はアルバイトだそうです。
その駆り出されている人達だって、経験者というだけで、プロではあり
ません。
いや、そもそも「試験監督のプロ」という職業がある訳でもありません。
大学の教員が、国家資格の試験の監督のアルバイトをやってちゃ、ダメで
しょうから。
アルバイトにしても、あちこちで試験監督をしている人なら、この静岡大学の様な、そうした初歩的ミスは犯さない筈なのですが、共通テストの場合、これはあくまで推察ですが、コロナ禍で仕事にあぶれた試験監督素人を、
安い時給で雇い入れたから発生したとしか思えません。
下記に記す鼻出しマスク事件の当事者である試験監督員も、同様のケースではないかと思えます。

おまけに、たったの15秒。
その場で気づいて、15秒早く終わったことをその場で詫びて、もう15秒、
問題と解答を見直す機会を受験生に与えていれば、その11名の受験生も、
別の日にわざわざ15秒のために再試験を受けに来る手間と、感染リスクが
避けられたものを。
どのメディアも、受験生の立場になって事件を見る、という視点を欠いて
います。
この時期の受験生に、気楽に再受験に来い、と言い放つのは、暴言に近い
ものがあります。

大学入試センターは、その11名を自宅まで車で迎えに行って、往復車で無料で送迎するべきでしょう。

それ位の償いをして、当然の事態です。

3. 鼻出しマスク事件

極めつけは、これです。

日経新聞の報道では、都内の会場で発生したそうです。

共通テストを主催する大学入試センターでは、全受験生に対し、「マスクは正しく着用すること」と書面で注意を喚起したとのことですが、「鼻は出してはいけない」とは書かなかったので、そこは賛否が分かれるところです。

いや、私が一番気になるのは、その事件を起こした40代の受験者(おっさんですから受験生、ではないですね)に対しての注意が、周囲には聞こえない小声だったのかどうか、という点です。

この40代の受験者の背後に座っている受験生は、試験監督がそのように口頭で注意したのを聞かない限り、鼻を出して受験しているかは気付くことはないでしょうから。
その前に座っていた受験生も、いちいち後ろを振り向いたりして他の受験生を観察している訳がありません。

そして、聞こえてしまったら、誰も非常に気になる筈です。

これから、共通テストだけではなく、志望校での二次試験も控えているのに、もしかするとこのおっさんから新型コロナウィルスを感染させられてしまうかも知れない...。

そう考えたら、試験に集中できなくなってしまうじゃないですか。

おまけに、この試験監督は、同じ注意を6回もしたそうです。

試験監督が鼻まで覆うように何度も注意したが従わなかった。6回目の注意時に「次は不正行為となる」と通告しても従わず、午後の英語の試験中に不正行為と判断された。同センターは度重なる注意に従わなかったことや、周囲への影響を含めて「総合的に判断した」と説明している。

これは、共通テストの試験監督員用の実施マニュアル通りの対応だったのでしょうか。
私は、そのマニュアル自体を見ることができる立場にありませんが、
「6回注意してから『次は不正行為となる』と告げなさい」
と書いてある訳がないと思います。

周囲が気が散り、試験に集中できなくなってしまいますから、
「度重ねて注意する」なんて行為は、最初から許されないのです。

『次は不正行為となる』は、遅くとも2度目の注意の際に言わないとダメです。
または、2度目の注意の際に、「別室で受験しなさい」と告げて、この
受験者を連れ出さないとダメだったのです。

この試験監督も、明らかに、試験監督が取るべき対応を間違って理解して
います。

おまけに、この記事にも記載あるように、「結構やってる人いたけどなんも言われてなかった」等という声もツイッターに挙がっているのですから、
それだけでもう、今回の共通テストの公正性と公平性は崩れてしまって
います。

4. 主催者である大学入試センターの状況

共通テストを実施する独立行政法人大学入試センターのトップは、地方国立大学の学長経験者が、これまでずっと持ち回り(?)で就任しています。

当初は任期3年程度だったのが、現在の理事長の一人前が6年在任して、
現在の理事長は今年8年目を迎えています。
日本学術会議を見ても、所管庁である文部科学省の監督は間違いなく甘々でやってるでしょうから、組織のトップがこうだと、中身も当然腐っていると思われます。

その、8年も理事長やってる山本さんって人が、共通テスト実施直前に、
東京新聞の取材に応じてました。

取材には卒なく対応してましたが、上記の不祥事の責任を、ちゃんと取る
覚悟はお持ちなのでしょうか。

5. 結論

今回の共通テストの不備の一番の問題点は、上記の通り、コロナ禍で必死に受験している受験生への配慮不足です。

15秒繰り上げ終了させられてしまった11人の受験生と、退場させられた鼻
出し受験者の周囲で、試験に集中できなかった(かも知れない)受験生。

この人達が最大の被害者でしょう。

この人達の志望校合格を、祈念せずにはいられません。

残る試験、頑張ってくださいね!

貴方達のために、今年、桜が咲きます。

では、また。






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