男女不平等最悪の国の国民の平均寿命が最も長いという皮肉な件
こんばんは。今日もお疲れ様です。
1.日本に国籍をもつ女性は、世界でも最も不平等な扱いを、世界でも最も長く経験して一生を終える。
共同通信等の報道によれば、日本国籍をもつ女性の平均寿命は、9年連続で延伸し、世界一長いと厚労省が先月発表したそうです。
一方で、世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)が2021年3月に最新版を公表した「The Global Gender Gap Report 2021」によると、各国における男女格差を測るジェンダーギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)、
日本は156か国中120位(前回は153か国中121位)だそうです。
こちらを(2か月遅れで)発表したのは内閣府男女共同参画局で、
前回と比べて、スコア、順位ともに、ほぼ横ばいとなっており、先進国の中で最低レベル、アジア諸国の中で韓国や中国、ASEAN諸国より低い結果となりました。
とのことです。
つまり、この2つの調査から導き出される結論は、
日本に国籍をもつ女性は、世界でも最も不平等な扱いを、世界でも最も長く経験して一生を終える、ということになります。
この国の政治家や官僚は、この点について直接利害はないでしょうから悪気はないのでしょうが、あまりにも鈍感ですよね。
2.これは法令違反なのか
で、日本国憲法を引き合いに出しますと、本件は第14条違反です。
第十四条
すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
ですので、政治家や官僚は、性別によって差別されない社会を実現する
義務を負います。
負いますが、あいにく憲法には罰則規定がないので、違反していても罪に
問われません。
だからと云って、法令違反を放置していてはいけません。
国民には、その良心をもって性差別を解消しようと努力する政治家を
選出する権利および義務があり、選出された政治家は、官僚の行政執行
状況を厳しく管理監督していくことによって、状況を改善すべきです。
ここでいう政治家は、国会議員に限らず、地方団体議員も、自治体の
行政執行状況を管理監督する義務を負います。
なお、法制化の動きが全くなかった訳ではなく、5年前の2016年には
当時の安倍内閣が「女性活躍推進法」を施行しました。
正式名称は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」です。
これ以前にも、「男女共同参画社会基本法」が22年前の1999年に施行されています。
いずれの法律も、詳細は省令で定めることになってますし、罰則規定はないですし、実効力を伴ったものになっていません。
言ってみれば、絵に描いた餅、アリバイ作りに過ぎません。
事実、わが国がずっと足踏みをしている状況が、上述のジェンダーギャップ指数がずっと横ばいとなって表れています。
3.ジェンダーギャップを解消する方策
男女差別の解消は、深堀すればするほどキリのない問題なのですが、今回は
とりあえず、このジェンダーギャップ指数の向上に焦点を絞り、ランキングの是正=格差の解消という視点で考えてみたいと思います。
日本BPW連合会のHPを見ると、この指数は4つの評価項目から成る、
ということが判ります。
細かい説明は省略しますが、「政治」「経済」「教育」「健康」の4分野に評価項目が分けられている訳です。
120位であった日本と、トップのアイスランドのこの4つの評価項目を比較した画像がすっごく判り易いので、上記のサイトから拝借してきました。
教育と健康はほぼ申し分ないので、経済分野でもう少し頑張り、一番頑張りが必要なのが政治分野、ということが一目瞭然ですね。
つーか、政治分野で頑張れば、一気にランキングも向上する可能性がある
訳です。
極めて大雑把に説明しましたが、これでご納得頂けない場合は、下記の記事も併せてお読みください。
この記事によれば、上位に連なる国々は、スコアをじわじわ向上させるべく改善を引き続き進めているそうですので、日本も負けてる訳にいきませんよね。
で、そのスコアに直接影響するのは、以下の3項目です。
1).女性議員比率の向上
2).女性閣僚比率の向上
3).過去50年間の女性元首の在住
上記に挙げた、日本BPW連合会のサイトでは
日本格差を広げているのは、先の森喜朗氏発言問題でも露呈したように、男性優位、男性の意見が正しいという根強い文化、アンコンシャスバイアスが根強く残っていることも一因である。
とも書かれていますが、特定の政治家の失言も問題ではありますが、上記
スコアには直接影響はしません。
もちろん、直接影響しないからといって放置していい問題でもなかったですから、森喜朗が辞任して、後任が女性の橋本聖子になったのは不幸中の幸いでした。
森喜朗の辞任は短期解決できましたが、女性議員を増やしたり、女性閣僚を増やしたり、国家元首=天皇もしくは総理大臣に女性を就任させるのは一朝一夕には実現しませんから、こちらは長い闘いとなります。
4.上記3項目の実現に向けて
1).女性議員比率の向上に向けて
これは、以下の2つの項目に比べて、一番、一般国民が協力し易い
項目です。
ただ、実際問題となると、いろいろな障壁があります。
一例を挙げましょう。東京の豊島区議会議員の永野裕子(ひろこ)氏の
インタビュー記事がYahoo!ニュースに掲載されたところ、「議員は
産休なんか取るな。税金の無駄遣いだ」という趣旨の、匿名の叩き
コメントが無数に並んでしまいました。
元々は毎日新聞の記事で、そちらにはそのようなコメントはほとんど
つかなかったそうなのですが、Yahoo!ニュースについたコメントは、
それも国民の本音なのでしょう。
もしこれが、民間の、例えば東証一部上場企業の採用活動として、
その会社の人事部が、「女性は妊娠して産休に入る可能性があるので
採用しません」等と発言しようものなら、世間から轟轟の非難と
批判を浴びることでしょう。
もし、次の選挙で、誰に投票すべきか悩んで結論が出なかったら、
女性候補に投票する、というのはどうでしょうか。
2).女性閣僚比率の向上に向けて
これは、総理大臣の専決事項ですから、周りが意見する訳には
参りません。
でも、参議院の比例票選挙のように、党派名を投票用紙に記入する
選挙の場合、女性を活用しそうな政党に投票することは、第一歩に
なります。
3).過去50年間の女性元首の在住に向けて
こちらはまず、「元首」の定義について考えないといけません。
日本は過去50年どころか、西暦6世紀の第33代推古天皇が女性初の
天皇として36年間在位していたのに続き、推古天皇を含め3名の
女性天皇を擁していますが、現在の日本国憲法下では天皇は元首か
どうかは微妙なところです。
諸外国からは、天皇が元首扱いされています。
で、ジェンダーギャップ指数の指標として天皇しか認められない
場合は、明治時代に男尊女卑の典型思想として制定された皇室典範を
改正する必要があります。
総理大臣が元首と認められる場合は、こちらは日本史上まだ女性の
総理は誕生していませんので、それを待つ必要性があります。
これについては、並行して別記事を書いており、来週公開する予定
ですので、ぜひそちらをご覧ください。
定義はともかく、女性天皇も女性総理大臣も、一日も早く実現して
欲しいと願っています。
私が生きているうちには、両方とも実現しないかも知れませんが。
本日は、以上になります。
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