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連載「私と女優と人生と」

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女優の姿を通して、「ホンモノの大人とは?真の女性の美しさとは?」をお伝えしていきます。
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#エッセイ

自らの経験を基に思考せよ 高峰秀子の場合

 自分の考えは自分のものであるはずだ、と当然のように思って生きてきたが、どうやらそうでも無さそうだ、と感じる今日この頃。生まれた時からスマートフォンのある世代が、すでに高校も卒業しようという世の中なのだから、生まれたときには家にテレビなんてなかった私世代の脳みそでさえ、何らかの意図をもって無料で流れてくる情報に操られていたりするのである。その中にいて、“如何に自分らしく生きるか”という問いは、毎日の服を選びきるのと同じくらい日常的で大切なことなのだ、と思う。  フリーになっ

そうだ、私はアンナ・カリーナになりたかったのだ

9月13日、ジャン=リュック・ゴダールが亡くなった。一番好きな映画監督かと聞かれればそうではないのだが、そのニュースを目にしたときの喪失感は、思いもよらず大きなものだった。 ゴダール監督が好きだなんて言えるはずもないのは、彼の映画を理解することなんて私には不可能だから。唯一わかることがあるとすれば、映画の中で女優アンナ・カリーナが、他に感じた事のない魅力に溢れているということ。 デンマークはコペンハーゲン生まれ、本名ハンヌ・カレン・ブレーク・ベイヤー。アンナ・カリーナとい

競わない先の成熟の在り方 キャサリン・ヘプバーンに学ぶ

  ニュースには、もう良いニュースの枠は無くなってしまったのではないかと思いたくなる日々が続いているが、私にはひとつ希望に感じていることがある。かなり歳の離れた世代に感じる『競わない成長』感覚だ。私が子供の頃は、悔しさの後に成長があったものだし、下の世代で順位をつけない運動会が始まったときには大いに疑問を持ったりした。しかし今、大きな声で目標を掲げなくとも、競争心をあおらなくとも、柔和な斬新さで革新していく若者たちの存在があると思っている。競うとはどこかに線を引くという事だが

努力から自然体へ。人生を意味のあるものにする為に“シャーリー・マクレーン”の声

毎週2本、映画をDVDで観る事を楽しみにしている。新作でもなく、周囲で話題になっている作品でもなく、自分が今普通に生活している中で、ふと興味を持ったものを選び何度も観る。ある女優に魅了された後はこのコラムの為に選ぶこともある。そしてコラムは、日常の感性の中で気になっている事と同目線上に存在するよう気をつけているつもりだ。 そんな中で最近お気に入りの2本、それは『八十日間世界一周』(1956)と『あなたの旅立ち、綴ります』(2017)。その両方に出演しているのが、今回の女優シ

真実って、普通は複雑なもの”ジョディ・フォスターの知性“

私は今、過去にも未来にも興味がない。正確には、「過去」と「未来」に価値が感じられなくなったのではなく、それに興味を持つ余裕がないほど、「現在」を正しく理解することに集中したい、という意味だ。習得したければ、まず懸命に打ち込んでみよう。‘信じて欲しければ、まず信じよう。という風に私は、新たな物事や人間関係を受け入れ肯定するところからスタートするやり方で生きてきたのではないか、と思ったりするのだが、57年生きてきて今、その時々の「現在」を間違って理解しながら生きてきたのではないの

深読みを必要としない世界へ ブリジット・バルドーの魅力

 ついに!選んでしまった女優、ブリジット・バルドー。同じ仏映画でも、私が好きそうな(自分でいうのも変だが)“わかりにくく魅力的な、だからこそ意味を探ろうと何度も観てしまう”タイプの映画ではなく、その対岸に堂々と位置するフレンチアイコンの代表だ。くしゃくしゃ無造作風に盛り上げられたブロンドヘア、赤いけれど少女風のリップが塗られたぷりぷりの唇からは、可愛い不満が自由に飛び出し、素晴らしくまっすぐな脚は、バレエの気品を持ちつつも、ラテンダンスが一番似合う。ミニがまだ登場していない時

私と女優と人生と

「女には、自然界からのメッセージを読み取る力がある」と、私は思っている。これからの日本には、そんな女性たちの自然力に基づいた知性が必要なのではないだろうか。ずっとそんなことを考えていた。 私が子どもの頃の昭和時代には、大抵の子どもたちは「早く大人になりたい」と思い、「一人前だ」と言われたかった。だから、勉強した。経験した。つまり、憧れの大人が目の前にいて、未来は成熟している“はず”で、自分もそうなりたいと思っていたのだ。 今、自分が大人年齢の2倍以上になったところで、遅れ