怪我のもと、でもなくならない区民体育祭 第4章の5

朝、目覚めて体を動かすと全身が突っ張っている。案の定、1階のリビングルームに階段で降りる際には足が痛くて、一段ごとに痛いという知覚を噛み締めながら降りていかなければならない。予想通りの事態だ。昨日、地域の区民体育祭に参加したためだ。それも、綱引きに参加し、予選の1回戦で敗退すればいいものを、調子に乗って2回も勝ったものだから、3回も全力で引いてしまった。そのつけが回ったのだ。
いつものように犬の散歩に出かけるが、腰が痛くて歩く姿勢がままならない。さらに、ふくらはぎが痛いものだから一歩一歩が不自由で仕方がない。何でこんなにきついのだと、不平を呟きながら散歩を終える。今日は月曜だが、昨日が祝日で仕事は休みだ。いつもなら休日をゆったり過ごそうと思うところだが、こうまで全身に不具合をきたしていると、午前中は何もする気になれない。さらにアルコールも残っているから余計に気分がすぐれない。
昨日は区民体育祭後の町内の足洗で、町内の人達と気分良くビールを飲んだ。「うちの町内は毎年、綱引きは強いね。特に女性が去年は準優勝で、今年も準決勝まで行った。今年は、男性陣が頑張ったね。」「〇〇さんはああ見えても力があるね。旦那さんは彼女に太刀打ち出来ないよ。」「お母さんとパン食い競走に出てた△△ちゃんも大きくなったね。先日生まれたばかりだったのに。」「いやー。あんたも十分老けてきたよ。」など、あちらこちらの席で笑いが絶えない。区民体育祭の足洗の席には、町内のお年寄りから幼子まで気軽に集まり談笑が弾む。年に1回行われるこの会は、地域の皆が楽しみにしている格好のコミュニケーションの場なのである。
今年(2018年)は、町内会長の役が回ってきたこともあり、体育祭に開会式から参加となった。恒例なのか、いろいろの人が前に出て挨拶をされるが、目立って耳に残った言葉が、「みなさん、怪我をしないように十分気をつけてください。」である。よくもここまで同じ言葉が開会式の挨拶の時に出てくるものだと、その時は驚いた。そんなに体育祭で多くの人が怪我をするのか、朝の時点では挨拶の決まり文句と高をくくっていたのが、翌朝の体の不具合を実感すると、なるほどそういうことだったかと納得できる。おそらく、昨日の体育祭に参加し、普段使わない筋を敢えて使った人たちは、今になって私と同じように「あー、体が痛い」と呻いているだろう。
そんなに体を痛めるイベントなら、何も好んで参加しなければいいではないか。

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