店先のせりで思い出した桃太郎の「あぶせり鍋」
四谷・新木町の「桃太郎」という居酒屋
仕事の合間に谷中銀座を歩いていると、八百屋さんの店頭に「せり」が並んでいました。「せり」で思い出した店があります。
その店は東京・四谷の荒木町にある「桃太郎」という居酒屋です。店主の勝山さんは亡くなられ、いまは別の方がそのまま引き継がれているようです。
随分前に取引先の方に連れて行っていただきました。その方と店主は同級生で岡山県勝山市のご出身、店名の桃太郎も岡山から名付けられたようです。
二つの具材しか入っていないのに絶品の味
その桃太郎の人気メニューの一つが「あぶせり鍋」だったのです。「せり」はもちろん野菜のせりですが、「あぶ」は油揚げのことです。
出汁にこの二つの具材しか入っていない鍋なのですが、絶品でした。
店主自らが目の前で鍋を作ってくれるのですが、せりを食べるタイミングがあり、それを逃すと厳しい視線が飛んできたのを覚えています。
ある日突然、メニューから消えてしまった
ところがある時からメニューから消えてしまったのです。わけを尋ねると「油揚げを作っていたところがやめたので、メニューから落とした」。
どうやら他の油揚げも試してはみたけれども、どれも納得できなかったようです。味にうるさい店主ならではの決断でした。
僕だけではなく、多くの客が好んでいた看板メニューでしたので、とても残念な思いでした。ネットで確認したけど、いまもやってないようです。
懐かしくなったので今夜は「あぶせり鍋」です
いろいろな店に行きましたが、あぶせり鍋を出す店は、桃太郎以外には出会ったことはありません。
素材の良さで味が決まるのでメニューにしにくいのか、それともメニューしてもオーダーが少ないのか、シンプルなので価格がつけにくいのか・・・。
それはそれとして、今夜は買ってきたせりと油揚げで「あぶせり鍋」をいただきます。まあ、桃太郎の味は再現できないだろうけどなあ。
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