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ブランディングの統合モデルは「オーケストラ」にあります

6年も経つと、書き手の考えも変化します

2013年に出版した拙著『小さくても光り輝くブランド』を読み返していると「ここはちょっと考えが浅かったなあ」という箇所に出くわします。書いたときにはそれほど深く考えなかったけど、6年も経つと進化するからね。

まあ、頭を抱えるほどのことではないけど、やっぱり違和感をそのままにしておくのはちょっと気持ちが悪い。134〜137ページに「選ばれる理由」に基づき「店を構成する要素を統一する」というくだりがあります。

この「統一」がひっかかるのです。拙著では店を構成するさまざまな要素を統一することの重要性を述べているのですが、店舗やデザインならばいいのですが、人の気持ちや考えを統一するのは簡単ではありません。

統一に含まれる「従属」と「排除」のイメージ

統一には、ただ一つの価値観を尊重し、全体がそれに従うようにするというニュアンスがあります。もっと突っ込むと、統一には合わないものを排除するというニュアンスも含まれているように感じるのです。

確かにさまざまな構成要素がしっかりと統一されたブランドは素晴らしいのですが、人も含めた絶対的な統一は違和感を感じます。力で統一をしようとすると、必ずどこかに無理が生じてくると思うからです。

人は機械ではなく、一人ひとり人格を持った存在です。意見の違いがあって当たり前であり、無理に一つの価値に統一しようとするのは本来のブランディングではありません。多様な考えをまとめるにはどうしたらいいのか?

統合の考え方は「オーケストラ」に似ています

拙著では136と137ページで、『「選ばれる理由」の仕組みづくりの要は「人」』を述べています。そのモデルとしてオーケストラを挙げています。オーケストラ(中小企業はアンサンブルかな)は統合の概念に近いのです。

「楽曲に基づき、指揮者が独自の解釈を加え、指揮棒を振る。それに合わせてそれぞれの演奏者が自分の担当するパートを演奏する。それが一つに組み合わさり、一体となったときに人々を感動させる素晴らしい音となる」

統一も統合もさまざまな異なる要素を一つにすることですが、統合では個々が持っている主体性は保たれています。お互いの違いを認めた上で、一つの目的に向かって思考と対話を繰り返してたどり着く、これが「統合」です。


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