見出し画像

Do−shite馬に乗らないの?!

2019年の秋、私達はケンタッキー州のブルーグラス空港に降り立った。
目的はキーランド競馬場で開催される競りを見学するため。

ブルーグラスは小さな空港で、茨城の小美玉空港みたいな位置づけ?
降りた瞬間からレースホース本場の雰囲気が半端ない。
まるでトレーニングセンターのある美浦村に空港をつくったぐらいな感じ。
見渡す限りのグリーンヒルズ。そこに線を引くようにめぐらされた白い柵。

平屋造りの空港を一歩出ると競走馬の像がむかえてくれる。
ここは小型の馬車を引く競馬場。

ちなみに、馬用語でこの柵は、ラチというが英語のratchからきている。ratchは反対側には回らない歯車で、ゲートにとりつけられる。これをつかって『埒が明かない』という慣用句がありますねぇ。どうしてのらなくなったのか不思議くらい昔は乗っていたのにね。

話はもどって、
キーランドはケンタッキー州にある競馬場で、ケンタッキーと聞けばいわずとしれた農業・酪農が栄えた土地。アンクル・トムの小屋とか、映画「ルーツ」などのストーリーを生んだ土地でもあるが、
はるばる都会からきた客人をもてなす独特なサザンホスピタリティーもある。大ぶりな花がらプリントのカーテンやベッドリネン、そういった装飾がアットホームで温かい雰囲気を作っていた。

ベル・ミードヒストリックサイト

写真は、ベル・ミードプランテーションの屋敷内。
屋敷の最後の持ち主はコンフィールドで大儲けし、敷地の端っこを鉄道が通るほどの大富豪だった。しかレースホースに魅せられ、コーンフィールドは全て刈り込んでホースレースのコースにしてしまったとか。ホースレースに全財産を注ぎ込み最後はレキシントンのアパートで亡くなった。と馬の世界ではお定まりの話でおわったけれど、
馬がバイプレーヤーとして作り上げた文化は、ノスタルジックでとてもこここちいい。
80歳をゆうに超えるとお見受けしたお婆ちゃまガイドが当時の衣装で案内してくれるのも親しみがあって楽しかった。
(ひっそりと森林地帯に隠されわずかな看板しかないため見つけにくい。最終的に屋敷はプランテーションで働いていた黒人労働者によって買い取られた。それをどう捉えているのかわからないけれど、欧州であれば、もっと大々的に手入れをし、歴史的建物として保存されていただろうにと思わされた)

長らく遠ざけていたアメリカへの旅が思わず実現し、子供じみた憧れに終止符を打った瞬間だった。

馬という『鍵』をもって旅にでる。すると、紐をほどくように歴史が語りかけてくる。ただの通りすがりの旅行者から、ノスタルジックな記憶を共有する同士?みたいに。

馬の文化はとても厚くて
とても深くて、長くて
いろんなものを巻き込んでおもしろいのに、
Do−shite馬に乗らないの?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?