【小説】水族館オリジン 7-IV
chapter VII: 翁撫村 ④
その晩、私はまた音をつれて帰ってきてしまいました。
小さな子供の寝息です。私は十七年まえ、いなくなったあの男の子だと思っています。確かめようはありませんが、きっとそうです。
布団だらけの寝室の、大きな鳩時計の下に銀行からもらった名画のカレンダーがはってあります。1月はルノアールの『少女イレーヌ』です。
朝、お魚シフトの崇くんは朝早く出勤してゆきました。
私は、お休みをもらっていました。それに不可解な出来事を忘れようと前の晩たくさんお