文化人の名前
名前が多すぎてわからない
日本でも中国でも、文化人はいくつも名前を持っています。俳句をする人なら、俳号、たいていの芸術家は雅号(雅な呼び名)を持っています。1つやふたつなら良いけども、複数持っている人もいます。で、本人が生きているうちは良いのですが、鬼籍に入って、後世の人から呼ばれるときに、非常に困ることになります。個人の伝記などでは必ずしも、本名で書かれるとは限らないからです。また、美術本で書画を紹介するときに作者略歴も紹介しますが、本名であったり、雅号であったりします。基準はないので、執筆者の考え次第になります。例えば、江戸時代の儒学者である頼山陽の「山陽」は、本名ではありません。山陽は雅号です。本名は襄(のぼる)と言います。
名前の種類はこんなにたくさん
では、どれくらいの名前の種類があったのでしょうか。
①諱(いみな)=本人生前の本名を死後にいうときに使う。存命中は「名」
※のちに混同され、本名を避けて(忌む)死後に贈られる名前も含むようになりました。
両親と皇帝は本名で呼ぶことが許されていました
本名で他人を呼ぶことは大変失礼にあたります。相手を呪詛するときに本名が必要であったため、自他ともに呪いをかけたり、かけられたりしないために、通常の社会生活では本名は用いられませんでした。
②字(あざな)=これは通称のこと。目上→自分へ、同輩→自分は字で呼ぶ
③号(ごう)=別名のこと。目下→自分は号で呼ぶ
④諡(おくりな)=死後に贈られる名前。朝廷が臣下に贈る公諡(こうし)と、私諡(しし、個人や民間で死後に贈った名前)があります。
その他、堂号(建物の風雅な名前)に「主人」「庵主」とかをつけて名乗ったりと、大変です。
主なものを列挙すればこんなところでしょうか。この名前を一人がいくつも持つわけですから、それこそ数は無限です。
美術書籍は字や雅号の嵐
日本の美術書籍だけでなく、中国の美術書籍は書画の作者を、敬意を込めて雅号で記すことが多いです。先述の頼山陽だけでなく、唐代の詩人である杜甫は本名のほかに、杜子美(杜甫の字)、杜少陵(杜甫の雅号)杜工部(工部は役職名)と書かれることも多いです。本名のほかに雅号、字、役職名などで書かれると、もう大変です。美術人名辞典を調べてもわからないことすらあります。複数の人名辞典でやっと判明したりします。
名前は面倒ですねwww
写真はネットからです。
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