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何清漣★中国の国際関係は「政冷経熱」に2021年10月27日


 9月以来、国際投資業界がパニックに陥ったのは、主として中国経済に問題が起きたからでした。中国の不動産大手などの企業の社債のデフォルトリスクや、中国のノンバンク金融セクターの脆弱性の高まりなどは、中国の金融安定性の基礎的な基盤が悪化していることを示唆しています。

 一方、中国への海外直接投資は2年連続で増加していますが、中国の対外投資、特に英国やオーストラリアなどの先進国への非金融投資は歓迎されていません。データが示しているのは、世界が政治的・経済的な再編成に直面しているということです。

 ★国際投資の波における中国ファクター

 まず、2020年のグローバル直接投資の落ち込みから見てみましょう。

 国連貿易開発会議(UNCTAD)が発表した第38回「世界投資動向モニター」報告書によると、2020年の世界の直接投資フローは、2019年の1.5兆米ドルから8,590億米ドルへと42%も急減しました。

 2020年の直接投資フローは、2009年の世界金融危機後の谷間を下回り、30%以上の減少となります。

 報告書は興味深い現象を指摘しています。2020年の減少は主に先進国に集中しており、直接投資フローは69%減の2,290億米ドルとなりました。

 欧州への投資フローは、いくつかの国で大幅なマイナス流入となり、40億ドルの減少となりました。米国も大幅に減少(49%減)して1,340億ドルとなり、英国だけが流入額の減少がゼロでした。

 しかし、発展途上国での減少率はわずか12%で、先進国に比べてはるかに低く、約6,160億ドルとなりました。世界の直接投資インフローに占める途上国の割合は72%に達し、過去最高でした。

 このうち、中国へのFDI流入額は年間で4%増加し、世界最大の直接投資対象国となり、次いでインドが13%増でした。過去10年間の直接投資成長の原動力であったASEANへのFDI流入額は31%減少しました。

 このデータは、中国が発展途上国への直接投資の主要な牽引力であることを示唆しています。

 2021年上半期の上昇をみてみましょう。

 10月19日にUNCTADが発表した「投資動向モニター」報告書によると、2021年上半期の世界の外国直接投資(FDI)の流れは8,520億米ドルに達すると推定され、その75%が先進国に集中していることがわかりました。

 2020年の異常に低い水準の3倍以上。 欧州のいくつかの大規模経済圏では、新型コロナウイルスによるパンデミック前の四半期の水準を平均でわずか5%下回るなど、まずまずの成長を示しました。米国では、クロスボーダーM&A( 国際間での企業の合併や買収取引)の急増により、資金流入額が90%増加しました。

 発展途上国へのFDIフローも大幅に増加し、2021年上半期には合計4,270億米ドルとなりました。東・東南アジアでは成長が加速し(25%増)、中央・南アメリカでは新型コロナ流行前の水準近くまで回復し、アフリカ、西アジア、中央アジアのいくつかの経済圏でも増加しています。

 UNCTADのプレスリリースでは、中国商務部が8月に発表した中国の海外直接投資に関するデータには触れられていません。中共商務部の8月の公表データでは、2021年上半期、中国の海外投資の実際の利用額は、前年同期比28.7%増の6078億4000万ドルでした。

 ★歓迎されざる先進国向け中国投資

 しかし、中国の海外投資は減少しており、中国商務部が10月21日に発表したデータによると、1月から9月までの中国の非金融分野の対外直接投資は5227億6千万元(807億8千万米ドル相当)で、前年同期比5.2%減となっています。

 中国の対外投資は、主に欧米諸国で阻まれており、そ理由は、基本的には国家安全保障上の懸念によるものです。

 一つはアメリカ。 ロディウム・グループと米中関係全米委員会(NCUSCR)が今年5月19日に発表した報告書によると、新型コロナウイルスの流行や米・中の緊張が高まる中、米・中間の直接投資は昨年159億米ドルに減少。2009年以来の低水準となり、2016年に投資された700億米ドルを下回、その4分の1でした。

 この減少は双方向のもので、米国の対中投資は2020年に87億米ドルと、前年比で約3分の1に減少し、これも2004年以来の低水準となります。

 この報告書の発表とほぼ同時に、ブリンケン現国務長官は、中国による米国内の戦略的資産への投資審査を特に見直すことを求めました。

 次に、オーストラリア。 シドニー大学ビジネススクールがKPMGオーストラリアと共同で発表した「Unveiling Chinese Investment in Australia Report 2021」によると、中国の対オーストラリア投資は、2019年の24億ドル(34億豪ドル)から2020年の19億ドル(25億豪ドル)へと18%減少しています。

 投資案件の数は、2019年の半分。 これは、2016年から4年連続で中国の対オーストラリア投資が減少していることを意味し、投資額は2008年のリーマンショック以前の水準まで落ち込んでいます。

 報告書の著者の一人であるシドニー大学の中国ビジネス・経営学教授、ハンス・ヘンドリシュケ氏は、企業や州・準州の政府は中国企業の投資をほぼ支持しているが、連邦政府やオーストラリア外国投資審査委員会はあまり支持していないと述べています。

 レポートの共同執筆者であるKPMGオーストラリアのアジア・国際市場担当のダグ・ファーガソンは、オーストラリアへの投資が減少しているのは、いくつかの要因を反映しているとして、

「中国のグローバルな投資対象がOECD諸国からシフトしていることや、新型コロナウイルスの流行による渡航規制の影響、オーストラリアにおける規制の強化などが挙げられる」「そして、こうした要素はオーストラリアの政界と国民が中国投資に神経をとがらせている反映だ」とも述べています。
 
 オーストラリアの鉱業は、中国が最も評価している投資であり、中国の対オーストラリア投資総額の37.6%を占めているため、中国にとって比較的大きな打撃になります。

 第三はEUです。中国のEUおよび英国への直接投資は、前年比45%減となり、2020年にはわずか65億ユーロとなりました。特に英国では、中国からの直接投資が77%減少しました。それでもEUと英国は中国投資を歓迎していません。

 今年3月、欧州委員会は、中国がEUにとって「システム上のライバル」であり「戦略的競争相手」であると主張する声明を発表し、複数の加盟国に影響を与える投資について、欧州委員会が新たなルールを課すことができる投資に関する新規則を発表しました。

 「委員会は、「安全または公共の秩序を脅かす」プロジェクトについて意見を述べることができる。 また、欧州委員会は、全地球衛星測位システム「ガリレオ」のように、複数のEU加盟国の協力に影響を与える可能性のある投資案についても意見を述べることができる」というものです。

 しかし、投資に対する最終的な拒否権は受益国にあります。 これに続いて、5月には中国とEUの包括的投資協定の批准が暫定的に見合わせられたことで、中国政府は非常に不満です。

 英国の姿勢は、米、豪、EUと似たようなもので、10月下旬、就任したばかりのトラス英外務大臣は、英国は重要なインフラをリスクの高いサプライヤーに頼ることはできないとし、「信頼できるパートナー」との協力関係を確保することが重要だと述べました。

 彼女のコメントは、英国が中国からの投資を締め出すことはないにしても、中国は非戦略的な分野にしか投資できないということです。

 海外からの投資が中国に集まっているのは、これらの資本グループが中国以外の国の投資環境はあまり好ましくないと考えているからです。

 中国からの投資は発展途上国では依然として人気がありますが、先進国では安全保障上の懸念から拒絶されているのです。これは、先進国への投資を増やそうとしていた中国にとっては痛手です。

 中国はもちろん、政治的にも経済的にも冷え切った現在の厄介な状況を認識しており、中国政府が支援する「グローバリゼーション・シンクタンク」が今年9月に発表した調査結果「米・中関係が中国の多国籍企業に与える影響」では、中国に進出している米国企業をどのように取り込んでいくかについて、非常に詳細な回答を示しています。

 この報告書から伺えることは、中国は、欧米の中国に対する態度には米国が依然として重要な影響力を持っていること、そしてこの問題が解決されれば、残りの問題はだんだんと解決できるという2つのことを固く信じています。

 20年以上にわたって米国の人権外交を経験してきた中国は、EUが、ウイグル人の人権問題を口実にしたことを、中国は真剣に受け止めていません。
 

  中国は依然として米・中関係の回復に期待しており、米国政府も米中経済連携の再開を望んでいます。他の国々は、ただそばでそれを見ていることしかできないのです。(終わり)


中国的国际关系重归“政冷经热”
2021/10/27

自9 月以来,国际投资界处于惶恐不安之中,主要因素是中国经济出了状况。西方风险投资行业吃错螃蟹,购买中国房地产界“一哥”等公司的债券面临的违约风险,以及中国非银行金融机构部门脆弱性加剧等等现象, 均表明中国金融稳定的底层基础正在恶化。但另一方面,外商在华直接投资持续两年增长,中国对外投资尤其是对英、澳大利亚等发达国家的非金融类投资却不受欢迎。

数据显示的世界正面临政治经济的重新组合。

国际投资升降过程的中国因素
先说全球外国直接投资在2020年的降:

早在今年1月,联合国贸易与发展组织(又称贸易与发展会议)发布的第38份《全球投资趋势监测》报告显示:2020 年,全球外国直接投资流量骤降,从 2019 年的 1.5 万亿美元下降至 8,590 亿美元,降幅达 42%。2020 年外国直接投资流量跌破 2009 年全球金融危机后的谷底,跌幅超过 30%。

报告指出一个有趣的现象:2020年这轮下降主要集中在发达国家,其外国直接投资流量下降了 69%,降至 2,290 亿美元。流向欧洲的投资降至-40 亿美元,其中有多个国家为大量的负流入。美国也大幅下降(-49%),降至 1,340 亿美元,只有流入英国的投资下降为零。

但发展中经济体的下降幅度只有 12%,降幅远低于发达国家,约为 6,160 亿美元。在全球外国直接投资流入中,发展中经济体所占比例达到 72%,达有史以来的最高比值。其中,中国流入的外国直接投资全年增长了 4%,成为全球最大的外国直接投资流入国;其次为印度,增长了 13%。作为过去十年外国直接投资增长的引擎,流入东盟的外国直接投资下降了 31%。

这数据表明,中国是拉抬发展中国家外国直接投资的主力。

再说2021年上半年的升:10月19日,联合国贸发会议发布的《投资趋势监测》报告显示,2021年上半年全球外国直接投资(FDI)流量估计达到8520亿美元,其中75%集中在发达经济体。2021年上半年,发达经济体的外国直接投资估计达到4240亿美元,是2020年异常低水平的三倍多。欧洲几个大型经济体出现了可观的增长,平均只比新冠大流行前的季度水平低5%。美国的资金流入增加了90%,完全是由跨境并购激增所驱动。

发展中经济体的外国直接投资流量也大幅增加,2021年上半年总额为4270亿美元,其中东亚和东南亚增长加速(+25%),中美洲和南美洲恢复到接近新冠大流行前的水平,非洲、西亚和中亚的其他几个经济体也有所上升。

联合国贸发会议新闻稿未提及中国外商直接投资数据,中国商务部8月发布的数据为:2021年上半年,中国实际使用外资6078.4亿元,同比增长28.7%;

中国投资发达国家受阻

但中国的海外投资却有所下降,10月21日,中国商务部发布数据显示,1-9月,中国非金融类对外直接投资5227.6亿元(折合807.8亿美元),同比下降5.2%。

中国向外投资受阻,主要在西方世界,这些国家不欢迎的原因基本是出于国家安全考虑。

一是美国。荣鼎集团(Rhodium Group)和美中关系全国委员会(NCUSCR)在今年5月19日发布的一份报告说,在新冠疫情和美中紧张关系加剧的情况下,美中两国去年的直接投资降至159亿美元,这也是自2009年以来的最低水平,还不及2016年700亿美元投资额的四分之一。这一下降是双向的,2020年美国对华投资为87亿美元,同比下降约三分之一,这也是自2004年以来的最低水平。与该报告发表几乎同时,现任国务卿布林肯要求特别审查中国对美的战略资产投资。

二是澳大利亚。悉尼大学商学院和澳大利亚毕马威(KPMG)合作发布的《揭秘中企在澳投资报告2021》显示,中国对澳大利亚的投资额从2019年的 24亿美元(34亿澳元),降至2020年的19亿美元(25亿澳元),下降了18%。投资项目的数量是2019年的一半。这是2016年以来,中企在澳投资连续第4年下降,投资金额下降到2008年全球金融危机前的水平。


报告的一位作者、悉尼大学中国商业和管理教授杭智科教授(Hans Hendrischke)认为,商业企业、以及各州和领地政府对中国企业投资大多持支持态度,而联邦政府和澳大利亚外国投资审查委员会(Foreign Investment Review Board)则没有那么支持。报告联合作者、澳大利亚毕马威亚洲及国际市场主管道格·弗格森(Doug Ferguson)认为澳大利亚投资的下降反映了许多因素:“包括中国在全球投资的重点从经合组织国家转移、新冠疫情旅行限制的明显影响以及澳大利亚更为严格的监管审查”,并认为这些因素反映了澳大利亚政界和公众对中国投资的敏感性。

这对中国打击较大,因为澳大利亚矿业是中国最看重的投资对象,占中国在澳大利亚总投资的37.6%。


第三是欧盟。2020年中国对欧盟和英国的直接投资同比下降45%,仅为65亿欧元。尤其是英国,来自中国的直接投资下降77%。尽管如此,欧盟与英国还是不欢迎中国投资。今年3月,欧盟委员会发表声明,认为中国是欧盟的一个“系统性对手”和“战略性竞争者”,颁布了一个关于投资的新规定,容许欧盟委员会就一些影响超过一个成员国“威胁安全或公共秩序”的项目发表意见。如果建议的投资可能影响一些多个欧盟成员国合作的计划,如伽利略全球卫星导航系统等,欧盟委员会也可以提出看法。但是投资的最终否决权在于投资受惠国。继而于5月暂缓批准《中欧全面投资协定》,中国政府对此非常不满,认为受到歧视。

英国态度与美、澳、欧盟相同,10月下旬,上任不久的英国外相特拉斯女士指出,在关键基建上不能依赖高风险的供应商,而要确保英国跟“可以信赖的伙伴”合作。她的言论显示,即使英国不会将中国投资拒于门外,但中方只能在非战略领域投资。

外资涌向中国,是因为这些资本集团认为除中国之外,其他国家的投资环境均不如中国;中国对外投资,在发展中国家仍然受欢迎,但在发达国家却因安全考虑而被限制拒绝。这对一直想在发达国家加大投资的中国是个打击。中国当然也知道目前政冷经热的尴尬处境,官方背景的全球化智库于今年9月推出一份研究报告——《中美关系走向对在华跨国公司的影响》,其中对如何笼络美国在华公司提出了非常详细的对策。从这个报告可以看出,中国坚信两点:西方国家对华态度,美国仍然具有关键影响,这个问题解决了,其余的都可慢慢解决。欧盟以维吾尔族的人权问题作为由头,有过美国20多年人权外交的经验,中国并未当真。从种种迹象来看,中国仍然寄希望于中美关系恢复,美国政府也表达了这种中美经济再挂钩的愿望。其他国家则只能边走边看了。

作者:何清涟,中国经济学者,现居美国。

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