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何清漣★インド太平洋戦略をめぐる台湾の良いニュースと悪いニュース 2021年04月01日

 オバマ元大統領の下でのアジア太平洋リバランスにしても、トランプ前大統領のインド太平洋戦略にしても、今日の米国の対中政策に関する一時的な「トランプ式に追随するバイデン大統領」を含めて、台湾は中国と米国の間の地政学的な渦の中心にあります。

 中国の軍事的圧力が強まる中、台湾の行く末を案じる人は不安を感じずにはいられません。インド太平洋戦略の利害関係者には、すでに日本、オーストラリア、インドが含まれており、日本の中国に対抗する軍事的態度ますます硬くなってきています。日本の安倍元首相は3月27日(訳注;新潟市で開かれた自民党新潟県連会合での)講演で、「日本はすでに米・中対立の最前線に立っている」と述べ、台湾はようやくちょっぴり安心できるでしょう。

 ★地域安全保障を守る日本の姿勢がより積極的に

 共同通信社によると、日本は台湾の防衛に参加する可能性があるといいます。オースティン米国防長官は3月16日、岸信夫防衛相との電話会談で、中国共産党が台湾を攻撃した際に、日本の自衛隊が米軍と協力して台湾を防衛する方法を研究する必要があることを話した。

 (訳注;当日の岸信夫氏のツイート;
岸信夫
@KishiNobuo
·
3月16日
オースティン米国防長官
@SecDef
と会談。
日本から自国の防衛について断固たる決意を示し、日米同盟の一層の強化に取り組むことで一致。
中国海警法による緊張を高める行動について断じて受け入れられない旨、両国で深刻な懸念を表明。


 会合後に発表された日米共同声明では、「中国の行動は、政治的、経済的、軍事的、技術的な課題を同盟国と国際社会の双方にもたらしており、現行の国際秩序とは矛盾している」としています。

 日本にとって、アメリカと中国の両方との関係を維持することは、常に国是となっています。日本が今のように国際情勢を捉えることは、安倍前首相が何度も努力しても「平和憲法」を変えられなかったことでもわかるように、以前なら想像もできなかったことす。

 しかし、現在、中共のインド太平洋地域の安全上の脅威が日増しにエスカレートする中で、日本もやむをえず防衛意識を高めるしかなかった。日本防衛研究所が集めた2020年の日本の周辺の安全問題に関係するデータは「東アジア戦略概観2021」があります。

 報告書の全文を読んだ日本のメディアによると、西太平洋の米空母を阻止する中国の軍事力が「実際に増加している」ことや、中国の対艦ミサイル開発が第一列島線における米・中の軍事力バランスを崩していることなどが指摘されています。

 さらに、中国が主権が争われている南シナ海の一部に軍事基地を設置したり、尖閣諸島(中国名:釣魚島)付近の日本の領海に中国の海上警察艇が繰り返し訪れたりしていることに対して、日本は東シナ海や南シナ海で引き続き厳しい措置を取るべきだと主張しています。

 ★日本の対台湾防衛協力が明らかに

 3月中旬の日米防衛大臣会談では、岸防衛大臣が「今後、台湾を支援する米軍に対して、自衛隊がどのような支援を行うことができるのかを検討する必要がある」と提起しました。

  日本政府が米国の台湾海峡両岸での戦争への関与を支持し、支援を行うことを明示したのは、第二次世界大戦後初めてのことです。また、日米の防衛大臣は、「台湾での有事の際には緊密に協力する」ことを確認しました。

 2015年4月には、日米両国は「日米防衛協力のためのガイドライン」を発表しています。そして、「米国または日本と緊密な関係にある第三国に対する武力攻撃が発生し、日本の安全保障を脅かす可能性がある場合」に日本が行動を起こすことができると明示しました。

 この「第三国」には、もちろん台湾も含まれますが、 今年の場合、日米は「台湾での有事の際の緊密な協力」を直接提起しており、2015年の言及を明確に公開しましたが、その意味は中共への警告にあります。

 台湾有事の際に日本が米軍に協力する、いわゆる「適切」な方法とは、前述の「協力指針」では、武力保護、捜索・救助、海上作戦、対ミサイル、後方支援の5種類の軍事協力として挙げられています。

 つまり、将来、日本が台湾海峡に介入する場合、具体的な配備内容としては、戦時の保全活動における台湾国軍の援護、台湾国軍の航空機や軍艦の捜索・救助支援、共産主義者の攻撃を受けた場合の台湾国軍の航空機や軍艦の日本の隣接島嶼への移送、宮古島に配備される日本の陸海空自衛隊の射程距離400kmのミサイルによる国軍の援護などが考えられます。

  日本は今、台湾の防衛に協力する準備をしているだけではなく、他の国との防衛協力工作を展開し始めました。3月28日、インドネシアのプラボウォ・スビアント国防大臣が日本の防衛省を訪問し、装備や技術を含む防衛協力を推進することを確認し、海上自衛隊とインドネシア海軍が南シナ海で共同訓練を行うことに合意しました。

 ★米国からの良いニュースと悪いニュース

 まず、良いニュースからご紹介しましょう。
 
 第一に、米軍は、台湾の安全保障が米国のインド太平洋戦略の成否や世界的な地位と関連していることを比較的よく認識しています。 現在のアメリカインド太平洋軍(訳注;2018年5月30日アメリカ太平洋軍から改称された)司令官であるデービッドソン太平洋艦隊司令官とその後継者であるジョン・アキリーノ太平洋艦隊司令官は、中共による台湾への軍事的脅威が、今日の米軍が直面している最も危険な懸念であるという、防衛責任に関するコンセンサスを持っています。

 第二に、米国議会の両党議員が親台湾キャンペーンを推進している。 まず、共和党のマーク・ルビオ上院議員と民主党のジェフ・マークリー上院議員が、「台湾関係強化法案」を上院に提出しました。

 この法案は、米国の台湾駐在員を上院の承認を必要とするレベルに格上げすること、米台文化交流財団を設立すること、台湾の国際機関への加盟を促進することなどを内容としています。

  2つ目は、米国の上下両党の議員が、米国税関国境警備局(CBP)が台湾に同局の事前審査機関を設置することを支持する共同書簡を送ったことです。

 3つ目の朗報は、台湾と米国が先日、「台湾と米国の海上パトロール協力に関する覚書」に署名したことです。台湾の一部のメディアは、先のバイデン氏の記者会見で「中共との対立を求めず、競争的な関係を維持する」と言及したことに、台湾が失望したのは早合点で、あり何を話したかではなく、何をやったかが大切だと報じました。米国が主催した「四者安保」も、ブリンケンやオースチンの日韓訪問も、すべて対中国向けての動きだったと報道しました。

 しかし、喜んではいけませんい。バイデン政権は軍事費を削減しており、これこそが米・中軍事対決の最も具体的な情報なのです。

 ★米国議会での軍事費議論が公然化


 現在、米インド太平洋軍の司令官を務めるフィリップ・デービッドソン提督は、中国の台湾に対する軍事的脅威が、今、米軍が直面している最も危険な懸念であると考えている。上院の人事聴聞会で、米軍の第5世代戦闘機F-35の配備が東アジアにとって重要で「第5世代機の数を減らしたら心配です」と述べましたた。

 しかし、海軍の公式サイトによると、下院軍事委員会のアダム・スミス委員長(ワシントン州)は、民主党を代表して軍事費を削減したいと考えています。

 3月16日、海軍のウェブサイトに「Two Letters from Capitol Hill Signal Showdown on Defense Spending」と題した記事が掲載されました。この報告書は、米中冷戦が激化する中、民主党の一部の進歩的な議員が米国の防衛予算の大幅な削減を要求するという、米国にとって非常に深刻な問題を指摘。3月16日には、50人もの民主党議員がバイデン氏に国防総省予算の削減を求める手紙を書きました。

 下院軍事委員会の民主党議員のうち、カリフォルニア州のロ・カーナ議員が署名し、左派の拠点であるシアトルから選出された委員長のアダム・スミス議員(ワシントン州)は署名しませんでしたが、強力な軍事的備えに反対であることを明らかにしています。

 この書簡に署名した下院議員の一人が、台湾の左派系の若者に愛されている「草の根的な政権復帰」を目指すニューヨークの極左議員、アレクサンドリア・オカシオ・コルテス氏であることに、台湾メディアの注目してほしいものです。

 この手紙の中で、進歩的な民主党員たちは、現在、米軍の戦力を削減し、節約した資金を外交、人道支援、世界的な公衆衛生、持続可能性の研究などに使う必要があると主張しています。 バイデンは、来年度の国防予算を2.5%削減し、7,040億ドルにとどめ、その分、空母の数を減らすことにしました。

 しかし、この民主党の進歩は議員たちは満足せず、2.5%削減の上に、さらに10%減らすように要求し、米軍予算は去年より846億ドル現象しました。これは、米国の国防予算のここ数年で最大の削減であるだけでなく、冷戦時代にはなかった予算削減でもあります。

 米・中対立の中核は軍事であり、民主党が軍事費を大幅に削減することは、国際秩序維持に対する米国のコミットメントに対する同盟国の信頼を大きく揺るがすことになります。 日本の防衛姿勢が積極的になったのもそのためです。 これは、台湾のメディアがいくら楽観的なコメントをしたところで、解決できる問題ではありません。(終わり)

 訳注;この記事は台湾のサイト「上報」に掲載されました。

何清漣專欄:印太戰略旋渦中臺灣的喜與憂
2021年04月01日

無論是歐巴馬時期的亞太再平衡還是川普的印太戰略,包括今天美國在對華政策上暫時性的「川規拜隨」,臺灣都處在中美地緣政治的旋渦中心。面對中國越來越大的軍事壓力,關心臺灣命運的人想不著急也難。由於印太戰略的利益相關者已經納入日本、澳大利亞、印度,日本軍事對抗中國的態度也越來越堅決,日本前首相安倍3月 27日在公開演講中聲稱日本已站在中美對立最前線,臺灣終於可以稍感安心。

日本保護區域安全的姿態趨於積極


據日本共同社報導,日本可能參與對臺灣的協防。奧斯丁3月16日與岸信夫會談時,岸信夫談到當中共攻擊臺灣時,日本自衛隊需要研究如何與美國軍隊合作,保衛臺灣。會面後發表的美日聯合聲明表示:「中國的行為在不符合現行國際秩序的情況下,對盟友和國際社會都構成了政治、經濟、軍事和技術挑戰。」

對日本來說,同時保持與美國和中國的關係,始終是其國策。日本像現在這樣考慮國際局勢,在以前是不可想像的,這也是安倍首相雖然多次努力,仍然無法修改《和平憲法》。現在,隨著中共對印太區域安全的威脅日益上升,日本不得不提升防禦意識。日本防衛研究所收集了2020年日本周邊安全問題的相關資訊,編制了《東亞戰略概觀2021》,據看到這份報告全文的日媒報導,該報告指出,中國在西太平洋阻擋美國航空母艦的軍事能力已「切實提升」;中國發展反艦導彈,已擾亂第一島鏈中美軍事力量的平衡。報告進一步認為,考慮到中國對有主權爭議的南海部分水域軍事基地化,中國海警船反復駛到尖閣諸島(中國稱釣魚島)附近的日本領海,日本要在東海和南海持續採取強硬措施應對。

日本對台協防的內容明確化


3月中旬美日兩國防長會議中,日本防衛大臣岸信夫就提出,「今後有必要探討自衛隊能為支援臺灣的美軍提供何種協助」。這是日本政府二戰後首次以相當明確地表態,支持美國介入兩岸戰事、且明確表態提供援助。美、日防長會議還確認了「在臺灣發生突發事態之際將密切合作」。


早在2015年4月,美日曾公佈《美日防衛合作指針》,明確指出,「當美國或與日本關係密切之第三國遭受武力攻擊,並可能威脅日本安全」,日本可以採取行動。這個「第三國」當然包括臺灣。今年美日雙方直接提出了「在臺灣發生突發事態之際將密切合作」,是把2015年的提法明確並公開,意在警告中共。

日本所說的與美軍在臺灣危機時合作的所謂「適當」方式,在上述《合作方針》裡列出了5種軍事合作項目,即軍備防護、搜救、海上作戰、反導彈與後勤支援。也就是說,日本未來在介入台海戰事時,具體的部署可能包括,提供臺灣國軍在戰時戰力保存作業的掩護工作,為台軍飛機軍艦提供搜救協助,臺灣的軍機軍艦可在共軍攻擊時轉進到日本臨近島嶼,日本陸上自衛隊與海上自衛隊即將部署在宮古島上、射程達到400公里的對艦導彈也可為國軍提供掩護。

日本現在不僅是準備協防臺灣,還開始和其他國家展開防務合作。3月28日印尼國防部長普拉博沃(Prabowo Subianto)到日本防衛省訪問並會談,兩人確認,將推進包括裝備和技術在內的防衛合作,並商定日本海上自衛隊和印尼海軍在南海聯合訓練的方針。

來自美國的消息好壞參半


先談好消息。

一是美國軍方對臺灣安全關係到美國印太戰略成敗及全球地位的認識比較充分。美國印太司令部司令即將換人,現任司令大衛森海軍上將和即將接任的約翰·阿奎利諾(John Aquilino)將軍對他們所承擔的防衛責任有一個共識,那就是,中共對臺灣的軍事威脅是美軍現在面對的最危險的擔憂。

二是美國國會山兩黨議員正在推動支持臺灣的活動。臺灣媒體注意到3月26日發生的兩件事情,一是美國參議院共和黨籍參議員馬克·魯比奧和民主黨籍參議員傑夫·默克利提出了《臺灣關係加強法》議案,要求把美國駐台代表的級別提升至需要參議院認可的級別,建立美台文化交流基金會,推動臺灣加入國際組織。二是美參眾兩院兩黨議員聯名致函美國海關與邊境保護局(CBP),支持他們在臺灣設立該機構的預檢機構。

第三個好消息則是臺灣和美國日前簽署了《台美海巡合作瞭解備忘錄》。有台媒因此認為,早前拜登的記者招待會,提到與中共不尋求對抗,保持競爭關係,臺灣因此很失望,是虛驚一場,其實看美國政府的外交路線,不要看他們說什麼,做什麼才重要。美國主持的「四方安全會談」,布林肯與奧斯丁訪日韓,針對的都是中共。

但是且慢高興,美國拜登政府正在大力削減軍費,這才是美中軍事對抗最實質的資訊。

美國國會的軍費之爭公開化


美國印太司令部現任司令大衛森海軍上將認為,中共對臺灣的軍事威脅是美軍現在面對的最危險的擔憂,他在美國參議院關於他的任命的聽證會上表示,美軍部署第五代F-35戰鬥機,對東亞地區至關重要,他說,「如果我們減少第五代飛機的數量,我會感到擔憂。」海軍官網報導,眾議院軍事委員會主席亞當·史密斯(D-Wash)卻代表民主黨,要壓縮軍費。

3月16日海軍官網刊登了一篇報導,標題是《來自國會山的兩封信發出了國防支出問題上攤牌的信號》。這篇報導指出了一個對美國來說極為嚴重的問題,民主黨中有進步派議員要求美國在中美冷戰逐步升級的狀況下大幅度削減國防預算。多達50名民主黨國會議員3月16日寫信給拜登,要求減少國防部預算。在眾議院軍事委員會的民主黨成員中,加州的民主黨眾議員Ro Khanna簽署了這封信,該委員會主席、從左派大本營西雅圖選出來的眾議院軍事委員會主席亞當·史密斯(D-Wash)雖然沒簽署這封信,但他已經明確表示反對強軍備戰。在此我想提醒臺灣媒體注意的是,簽署這封信的眾議員當中,就有臺灣左派青年十分心愛的「草根逆襲」上位的紐約市極左派眾議員AOC(Alexandria Ocasio-Cortez)。

這批民主黨進步派議員在信中提出,現在美軍需要裁員,減少兵力,省下來的錢花到外交、人道援助、全球公共衛生、可持續發展研究方面。國防需要不在「政治正確派」的認知範圍內,拜登已決定將下一財政年度國防預算削減2.5%,只保留7,040億,為此將裁減航空母艦的數量。但這批民主黨進步派議員意猶未足,認為拜登砍軍費砍得太少,要求在已削減2.5%的基礎上再減10%;如果他們的目的達成,美國明年的軍費削減將達到12.5%,美軍預算將比去年減少846億。這不但是多年來美國國防預算最大幅度的削減,而且是美國處於冷戰情況下從未有過的預算削減。

中美對峙的硬核是軍事,民主黨大幅削減軍費將嚴重動搖盟國對美國維持國際秩序的承諾之信心。這也是日本防務態度變得積極主動的原因。這可不是臺灣媒體幾句樂觀評論就能解決的問題。

※作者為中國湖南邵陽人、作家、中國經濟社會學者。現今流亡美國,曾任職於湖南財經學院、暨南大學和《深圳法制報》報社。長期從事中國當代經濟社會問題研究。著有《中國:潰而不崩》、《中國的陷阱》、《霧鎖中國:中國大陸控制媒體大揭密》等書。


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