何清漣氏:★アメリカの科学技術人材の国際化の損得 2020年6月19日

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★アメリカの科学技術人材の国際化の損得
2020年6月19日

 6月15日、雑誌「サイエンス」は、約2年間かけた国立衛生研究所(NIH)の調査を明らかにしました。2018年に始まったこの調査では、研究者の海外とのつながりに対して行われ、二つの点で驚くべきものでした。一つは、87の機関に所属する189人の科学者を対象とした調査で、約70%の科学者が、国外からの援助をNIHに報告しておらず、約54%が外国人材計画への参加を明らかにしていませんでした。二つには、調査を受けたのはいずれも50歳台のアジア系の男性です。隠匿は、中国の「海外ハイレベル人材招致計画」(千人計画)への関与が最大の問題で、隠された資金の93%が、ある中国機関からのものでした。

 これは、中国が原因の問題というよりも、アメリカ自体の深刻な問題を反映しています。 一つには米国の防衛体制の甘さであり、第二には、米国の基礎教育が科学技術人材を十分に提供できていないことです。 

 ★米国の防衛措置は形式

 中国の知的財産権侵害は、長年おなじみの問題です。今や、悪評サクサクたる「千人計画」は2008年に作られ、米国の研究型大学の多くの教授やトップ研究者の人材がこぞってこの計画に参加し、自分の属する研究機関にも公開していました。もし、参加者がNIHに隠蔽していたと言うのなら、基本的にそれは所属機関と共謀の上であって、多くの機関は見て見ぬ振りをしていたのです。

 なぜそう言えるかというと、「千人計画」には、基本要求として、毎年、中国国内で最低半年以上研究の仕事をすることになっていたからです。(中国共産党中央委員会中央組織部の「千人計画」問答集より)。何年かに一度の学術休暇の他、半年、少なくても三カ月も離れて中国に行ってくるなどということを、誰だって所属機関に隠したりできません。ですから「千人計画」参加者は、所属機関の協力を得ていたのです。

 なぜ彼らは協力するのか? 通常よくあるのは、「千人計画」の参加者の所属機関が中国から研究賛助を受ける方法で、すでに明らかになった「千人計画」の多くのケースがこれです。米国の別の調査でも明らかです。

 今年2月、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、米国の教育省がハーバード大学とイェール大学に対して行った調査では、これが継続評価の一つでした。すると、米国の大学は少なくとも65億米ドルの中国やサウジアラビアからの外国資金を報告していませんでした。

 それによると、当局者は、各大学が、米国に敵意を持ち、研究成果を盗もうし、外国政府の宣伝をを助けることが分かっている外国人から、積極的に資金提供を受けていたと、分析した政府関係者は非難しています。

 この問題は、ハーバード大学の化学・ケミカルバイオロジー学科のチャールズ・リーバー部長(訳注;半導体ナノワイヤーエレクトロニクスの世界的権威)が連邦政府に告発され、今年1月に逮捕されたことで話題になりました。

 起訴状では、リーバー部長が自身の研究チームで活動しながら、米機関(国防総省やアメリカ国立衛生研究所から)から1500万ドル以上の資金援助を受けて同時に、今年1月に 「千人計画」から中国の資金で数百万ドルを受け取り、嘘をついていたとあります。 世間のでは、リーバー部長は武漢でも生化学的な共同研究をおこなっていたと見られています。

 これはよくあることです。 AP通信によると、2019年12月19日、ミシガン州グランドラピッズ市のヴァン・アンデル研究所が (アンデル研究所)は、「故意の怠慢や不正行為」で米国政府に資金提供を申請する際に 、研究所の研究者が中国政府から資金援助を受けていることを故意に公表していませんでした。 当研究所には、最先端のガン研究施設があります。


 「千人計画」は2008年に始まり、2016年まではアメリカの大学や研究機関が中国政府から当たり前のように資金援助を受けていました。「千人計画」が米国から参加者を募集するのも自由で、完全に公開されており、米国の知的財産権は中国の各企業によって、安上がりに利用されて(コストは、研究者個人とその研究機関にかかるだけ)で、米国の経済の安全と国家の安全に巨大な脅威となっていました。

 米国も一応、障壁を設けて、例えば、大学が25万ドル以上の外国資金援助をうけるときには報告しなければならないとされていましたが、形式だけで、誰も軽々と飛び越えられる程度のものでした。国際ルールを子供の遊びのように扱い「外国人の技をもって外国を制する」をモットーとする中国を前にして、防衛策を講じないことは、泥棒に向けて門戸を開けっ放しにするに等しいのです。

 ★なぜアメリカは外国の技術者を必要とするのか?

 米国は外国の人材に依存しており、利害が対立する国からの人材さえ歓迎しています。その理由は、まず、世界で最も強力で裕福な超大国として、アメリカは外国人の才能に自由とリベラルな社会環境の両方を提供することができるという制度に対しての自信を持っているからです。 米国の大学研究機関も、非常にオープンに外国人の才能を歓迎しています。

 第二には、米国が正視したがらない問題があります。それは、高校・大学教育が20年以上も進歩主義教育理念に導かれてきたために、育つ人材がますます大きな幼稚化してきたことです。市民の責任という面では、ただ権利を欲しがるばかりで、責任感を持つ青年が育たないのです。

 知識学習面では、高校や大学のレベルが落ちています。その理由は、教育の普及によって、より多くが進学するようになった結果、以前の学校の水準を要求することができなくなってしまったのです。この種の快楽主義を理念とする教育は、教育の平等への間違った理解です。教育の平等とは、これまで教育を受けられなかった人々へ教育のチャンスを与えることであって、全ての人々にレベルの低い劣化した教育を与えて、教育水準を下げることではないのです。

 知識の習得という点では、進歩主義者は、たとえばギリシャ語やラテン語のような役に立たない古典的なカリキュラムをより現代的なものに置き換えようと主張しています。しかし、その結果、一定の深みのある数学や理科、経済学、現代史なども放棄してしまい、進歩主義者たちのお気に入りの、運転、料理、美容や、同性愛、トランスジェンダーを含む性教育といった、もはやまともな性教育だかポルノだか判別のつかないような極端なものまで行われています。

 遡ること10年前、親として高校の物理の先生(ニュージャージーの優秀賞を受けた先生だった)の講演会に行ったことがあります。彼は、公立高校、特に黒人地域の公立学校では、多くが物理、数学を教科から削減してしまい、一部の学校では選択科目になっていると言いました。彼は大量のデータで、米国の高校教育は、数十カ国の高校教育の中でビリから2番目だと比較していました。そして、米国の高校教育が、知識の学習を放棄してしまったことが、米国の未来の人材育成に大変不利になると心配していました。

 事実は、この高校教師は先見の明があったことを証明しています。中等教育における数学・物理教育の放棄や削減は、米国の大学、国際化の傾向、特に中国人理工系学生の傾向を明確に示しています。中国人の米国留学人材が増えれば、米国の研究機関に留まる数も当然増えます。

 有名な人工知能学術会議のNeurIPSでは、受理された1400件以上の論文からランダムに175件の論文を選んで、その著者671名の教育背景や仕事を調べた結果、中国の大学卒が3割近くトップを占めました。その半数が米国にとどまり、引き続き学習や仕事に携わっていました。

 アメリカの大学教育の弱点は、今年の新型コロナ肺炎の惨状を見れば改めてわかります。

 グローバリゼーションは、コスト比較の学説に基づいています。米国などの先進国が研究開発やコア技術を習得し、生産は、その他の中国などの発展途上国でやれば良いという説です。このグローバル化された生産チェーンの概念は、今年の新型コロナ肺炎の流行の中で、中国が流行予防用品や人工呼吸器生産を独占し大威張りしたことで、各国は初めて産業空洞化の深刻な結果にやっと気がつきました。

 米国の例ですと、米国の研究開発能力は確かに強大で、武漢肺炎ウイルスのPCR検査では、もう6世代目の設備を持っており、ますます精度を上げています。しかし、米国のメドトロニック社は、人工呼吸器の知的財産権を公開して、中国を含む他国に生産を任せるしかありませんでした。その理由は、流行が急を告げ、米国人が知的財産権を持っていたにもかかわらず、生産できなかったのです。人工呼吸器は1400以上の部品からなりますが、そのうち、最終的な組み上げを含む1100以上が中国製だったのです。

 これがまさに今日の米国の問題です。ハイテクがあっても生産手段や生産能力がなく、生産に必要な専門のエンジニアや熟練工が不足しているのです。簡単に言えば、エンジニアを育てる土壌がないのです。その理由は、多くの中等教育が数学や物理学の基礎教育を放棄してしまったからです。

2019年10月10日、スタンフォード大教授で軍事史家のビクター・デイビス・ハンソン氏はフォックスニュースのウェブサイトの記事で、学習面では2020年の大卒者は1950年の大卒者の半分ぐらいの知識しか持っていないと述べています。

 国際的な人材の誘致は諸刃の剣です。中国の科学技術エリートは知的に米国に貢献していると同時に、確かに技術のセキュリティ問題。を米国に持ち込んでいます。 人材育成は簡単ありません。このような技術の流出となると、米国とその人材の両方にとって損をすることになります。

  だからこそ、アメリカは教育改革を考え始めるべきだと思います。もちろん、数学や物理学の基礎教育が不十分なのは、アメリカの進歩主義の欠点の一つに過ぎません。本当の大問題は、自分たちが育ててしまった共産主義者信者の、ますます極左化する若者たちです。 2020年の「アメリカ版文化大革命」では、この悪弊の余波が依然として存在することが存分に暴露され、今後のアメリカの国運にも影響してくるでしょう。(終わり)

  原文は;美国科技人才国际化的得与失

 中国語原文

美国科技人才国际化的得与失
2020-06-19
6月15日,美国《科学》杂志披露NIH(美国国立卫生院)一项为时约两年的调查。该调查于2018年启动,调查内容是针对研究人员的外国关系。结果有两点令人吃惊:一是在对87个机构的189名科学家的调查中,发现约70%科学家没有向NIH披露他们获得了外国资助,约54%没有披露他们参与了外国人才计划;二是在绝大多数调查案中,被调查的都是50多岁的亚裔男性。隐瞒参与中国的人才招聘项目“千人计划”是主要问题,隐瞒的资金中有93%来自一家中国机构。

与其说这是中国造成的问题,不如说是反映了美国自身的严重问题,这问题包括两方面,一是美国疏于防范,二是本国基础教育未能提供足够多的科技人才储备。

美国的防范措施流于形式

中国侵犯美国知识产权是个老问题。目前臭名昭著的“千人计划”于2008年设立,美国研究型大学不少教授与顶尖研究人才都参与了这个计划,而且在任职机构是公开的。如果说参与者向NIH这类联邦机构隐瞒,基本是与其任职机构合谋,任职机构多半假装不知道这事。为什么说是假装不知?因为参加“千人计划”有个基本要求,每年在中国国内工作一般不少于6个月(《中央组织部就引进海外高层次人才"千人计划"问答》),除了几年一次的学术休假之外,几乎没人能向其任职机构隐瞒真实情况,离开美国赴中国去工作半年或哪怕三个月。因此,这些人参加中国的“千人计划”,其实是任职机构在配合。

为何会配合?常见方式是千人计划的参与者帮助其任职的美国机构从中国拿到研究赞助,已经披露的不少“千人计划”调查案例都有这样的情节,从美国另一个调查中亦可略见端倪。今年2月,《华尔街日报》披露,美国教育部对哈佛大学和耶鲁大学展开调查,这是一项持续评估的一部分。该评估发现,美国大学至少有65亿美元来自中国和沙特阿拉伯等国的外国资金没有上报。根据这份文件,官员们指责学校积极向外国政府、公司和已知对美国怀有敌意并可能在寻找机会窃取研究成果和“散布有利于外国政府宣传”的外国人募集资金。

上述问题因哈佛大学化学及化学生物系主任李柏(Charles Lieber)遭受联邦指控,并于今年1月被捕而成为人们关注的焦点。起诉书称,李柏在自己的美国研究团队从美国相关机构处获得逾1500万美元资助的同时,通过“千人计划”接受了数以百万美元计的中国资金,还在这一问题上撒谎。让外界浮想联翩的是,李柏还涉及在武汉的一项生化合作。

这种情况非常普遍。据美联社报道,2019年12月19日,位于密歇根大急流市的范安德尔研究所(Van Andel Research Institute)向美国政府申请资助时,以“故意忽略或草率无视”的态度,未披露该所研究人员已从中国政府获得资助。该研究所拥有一个具有尖端技术的癌症研究机构。

“千人计划”于2008年建立,直到2016年以前,美国大学、研究所接受中国政府资助蔚然成风。“千人计划”在美国招募人才畅行无阻,完全公开,美国知识产权被中国各行业低成本分享(成本主要花在研究者个人及其供职机构),对美国经济安全、国家安全构成巨大威胁。美国也算设了篱笆,比如要求大学获外国资助超过25万美元必须申报,但形同虚设,人们将篱笆轻轻一提就扔一边了。面对中国这种时刻想“师夷之长技以制夷”、视国际规则如儿戏的国家,不设防就等于开门揖盗。

美国为何必须吸纳外国科技人才?

美国依赖外国人才,对利益对立的国家的人才也一概欢迎,首要原因是制度自信,认为美国是世界上最强大也很富裕的超级大国,既能为外国培养人才也能为这些人才提供自由宽松的社会环境。美国大学研究机构也对外国人才持极为开放的欢迎态度。其次则是美国不太愿意正视的问题,美国的中学、大学教育在20余年的进步主义教育理念引导之下,培养的青年越来越巨婴化,在公民责任与权利方面,几乎只谈权利,极少培养青少年的责任感。在知识学习方面,逐步降低中学与大学的教学要求。其理由是,随着教育的普及,更多人上中学、大学,不能要求他们达到以前学校的平均水平。这种以快乐主义为理念的教育,是对教育平权的错误理解。教育平权,是要使从前没有机会接受教育的人接受教育,而不是降低标准、让所有人平等地接受降低水准的劣质教育。

以知识学习而论,进步主义宣称,用更有时代气息的课程取代没有用的古典课程,比如希腊语和拉丁语。但结果是放弃了有一定深度的数理化课程、经济学、现代史等,被进步主义教育青睐的是跟学术无关的驾驶、烹调、美容以及包括同性恋、变性等等在内的性教育,已经越过青少年性教育的边界,很难分清是色情还是正常性教育。早在十年前,我作为家长去听过一位中学物理教师(他是新泽西州的年度优秀教师)的讲座。他谈到,公立中学尤其是黑人社区的公立学校,不少已将物理、数学从高中课程中剔除,一些学校将其作为选修课。这位教师用大量图表与数据比较十国的中学教育,美国列为倒数第二。他指出,美国中学教育放弃知识学习,对美国的未来人才培养非常不利。事实证明,这位中学物理教师的担忧是有远见的。中学放弃或者减少数学、物理教育,导致美国大学的理工科学生国际化趋势明显,尤其是中国学生偏多。中国在美国学习的人才多,留在美国研究机构的人自然也多。2019年,著名人工智能学术会议NeurIPS接受了超过1400篇论文,从中随机抽取了175篇论文的671名作者的教育和工作背景, 结果发现,其中有近30%是在中国大学读的本科,高于任何其他国家。但有超过一半的人后来在美国继续学习、工作和生活。

美国大学教育的弱点,在今年的武肺疫祸中再次显露。全球化基于比较成本学说,形成了产品的全球供应链,美国等发达国家掌握研发及核心技术,其余的产品则由中国等发展中国家生产。这种全球化的生产链构想在今年武肺疫情时期,由于中国因掌握防疫用品、呼吸机的生产而对世界各国趾高气扬之时,各国才开始意识到产业空心化的严重后果。以美国为例,美国的研究开发能力确实强大,比如这次在武肺病毒的核酸检测方面,已经升级了6代设备,一代比一代精细可靠。但美国美敦力公司(Medtronic)却不得不将呼吸机的知识产权完全公开,让其他国家去生产,其中包括中国。原因是:疫情紧急,美国人有知识产权却生产不出呼吸机。据说呼吸机的1400多个零件,有1100多个要在中国生产,包括最后总装。这就是美国今天的问题,有高科技,没有生产手段,没有生产能力,缺乏生产所需要的专业工程师与熟练工。简言之,美国缺乏培养工程师的土壤,缘于不少中学放弃了数学、物理的基础教育。2019年10月10日,斯坦福大学教授、军事史学家Victor Davis Hanson在Fox网站上发表文章,认为在学习方面,2020年的大学毕业生掌握的知识只有1950年毕业生的一半。

吸引国际人才是把双刃剑,中国的科技精英在为美国贡献智力的同时,确实也为美国带来了科技安全问题。人才培养不易,一旦涉及这类科技泄密,对美国与人才都是损失。因此,美国应该开始考虑教育改革。当然,数理化基础教育不够只是美国进步主义教育的弊端之一,真正的大问题来自于培养了信仰共产主义的左倾青年,而且日益Far Left。这些弊端在余波尚存的2020美国文革中已经暴露得非常充分,今后还将影响美国国运。



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