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一本橋連理からくり人形MK4の解説

はじめに

以前、「水銀を使用せずにゆっくりと動く連理からくり人形Mk2を作りました」という記事を掲載しました。
 
連理からくり人形は当時非常に人気がありました。このからくり人形は、ガラス管に内蔵された水銀を使って、二つの人形が交互に頭上を越えて移動します。水銀の重さと流動性だけで動く原理であり、希少な存在です。
 
連理返りとは、二つの人形が上の人形が下の人形の頭上を越えて降りていくことを指します。段数がいくつあっても変わりません。降りる際には、「ぼとぼと・ぼとぼと」という不思議な音がします。これは水銀と空気が交差する音です。「連理返りはいつも驚きと創造性に溢れた不思議さを提供し、革新的な表現です。
 
「ぼとぼと」の音と動作は、まるで生きているかのような感覚を与えます。私は東野進さん(夢からくり一座)による連理からくり人形のデモンストレーションを見た時、感動しました。
 

水銀とガラス管の動きに関する科学技術...

このからくり装置の面白い動きは、二つの人形が肩に背負った引合筒の中に封入された水銀の動きによって実現しています。ただし、単純に引合筒内を水銀が移動するだけで、シンプルな動きが生まれるわけではありません。装置全体には、流体の動きについての科学的な視点が取り入れられており、巧妙な仕掛けと高度な技術が使われています。
 
当時、水銀は毒性があるとは認識されておらず、白粉の材料としても使用されていました。この毒性と流動性を利用して、段返り人形や連理からくり人形が作られていました。しかし、現在は水銀が毒物として認識され、地球規模の環境汚染を防ぐために、水銀規制に関する水俣条約が採択されました。
 

鋼玉を流れ変え開発

環境汚染防止の観点から、私は代替材を使用することにしました。具体的には、水銀の代わりに危険な物質ではない鋼玉を流れ調整機構に利用した装置を研究し、最適な引合筒を開発しました。
特徴的な点は、鋼球がスムーズに流れ、詰まりを軽減する構造です。
 
以前、鋼玉を使った連理からくり人形を作りましたが、材料が変わったことで、水銀からくり人形の独特なスピードを再現することに妥協できませんでした。
 
ゆっくり降りる連理からくり人形の制作が完了しました。最終的には、1.2㎜のノコギリ状の構造で回転しながら降りるという仕組みで、非常に楽しい動作が実現されました。この装置では、100段でも問題なく動作することが可能です。

現代ならではの商品を実現できた

物作りには、正確な情報を積み重ねる必要があり、それによって望んだ結果を得ることができるということを学びました。また、ソリッドワークスや3Dプリンターといったツールを組み合わせることで、現代ならではの商品を実現できると感じています。
 
製作した連理からくり人形の全体重量は58.9gで、ミッキー1体の高さは75㎜、肉厚は0.9㎜、体重は10gです。この製作過程で、慣性やバランスの重要性を再認識し、新たな知識や技術を身に着けることができました。
 

動作の要点をまとめ

 1.「速さが変化する運動」は、物体が加速したり減速したりする運動を指します。例えば、車が加速しながら走ったり、ブレーキをかけて減速したりする場合です。
 
2.「等速直線運動」は、速度が一定でかつ直線的な運動を指します。例えば、高速道路で一定の速度で走る車や、まっすぐなレールを走る新幹線などがこれに当たります。
 
3.「慣性の法則」は、物体が静止状態または一定速度で直線運動をしている場合に、外部から力が加わらない限り、その状態が維持されるという法則です。つまり、物体は自ら進もうとも止まろうともせず、一定の方向と速度で運動を続けようとする性質があるということです。これは物体が進む方向と速さを変えるためには外部から力が必要であることを示しています。
 

考察のいろいろ

一本橋の端面を1.2㎜にし、引合筒の回転に合わせて段差を移動させることで、連理からくり人形は頭を飛び越し、ゆっくりと15段を降りていく新しいからくりスタイルの人形となります。下の人形とぶつかることがないように、上半身の長さと下半身の長さの比率を適切に設定し、安定性を持たせるような構造になっています。
・人形間隔長: 52㎜
・引合筒の長さ: 165㎜
・人形の肩幅: 85㎜
・人形の全身長:75㎜
・人形の上半身長: 30㎜
・人形の下半身長: 45㎜
・錘玉には鉛球2㎜以下を使用
・安定重量角度: 26度

一本橋連理からくり人形には、一本橋、引合筒、そして人形の3つの部分があります。一本橋は1.2mmの板状で、3Dプリンターを使って作りました。引合筒と人形も軽量化のために、対応するデータで作成しました。引合筒の全長は165mmで、中心間隔は2本で約75mmです。引合筒と連理の重量を合わせて、約58.9gとなるように設計しました。人形は軽さが重要なので、バランスをとるために3Dプリンターを使用して設計.制作しました。

組み立て後、引合筒2本当たりの鋼玉の重量を36.1gに設定しました。ただし、人形の股間が引合筒の動きによって前に振られる可能性があるため、その調整には課題がありますが、それを克服して製作を快適に楽しむことができます。
 
この問題を解決するために、着地時には抑制シートを用意し、子どもたちが楽しんで製作できるようにしています。

最終的には、引合筒を水平に持ち上げて人形が前屈みになるように調整し、一本橋連理からくり人形が空中で回転する段返りを楽しむことができます。重力、慣性、そしてバランスの魅力をゆっくりと味わってください。一本橋の端面を引合筒の回転に合わせて段差を移動させることで、連理人形は頭を飛び越し、ゆっくりと15段を降りていく新しいからくりスタイルの人形です。下の人形との衝突を避けるために、上半身と下半身の比率を適切に設定し、下部にバランスを移す構造になっています。
 

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TEL:06-6909-5095『noteを見た』とお伝えいただければ、ご希望に応じてお手元に情報を届けます。よろしくお願いします。

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