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来日が噂されるメル・ロハス Jr.の成績を予想する

はじめに

 韓国球界二冠王、韓国最強打者メル・ロハス Jr.ですが来日の可能性も示唆されており、巨人や阪神が調査を進めているなど日米韓の間で激しい獲得競争が行われそうです。今回はそんなメル・ロハス Jr.について分析をしていきたいと思うのですが、韓国球界に関する知識や情報の蓄積が十分でないことにより予想は困難を極めており、正直書いてる途中でも結論をどう着地させるかはっきりしていません。正直あまり自信のない予想となりそうですが、頑張ってやっていきたいと思います。
 当たるかどうかわからないから未来を予想することをやめると言うのはよくないです。当たるかどうかわからないながらも根拠をもって予想していくことでその予想の精度を高めていくことができるわけです。

 メル・ロハス Jr.はスイッチヒッターの外野手ですがメジャーでの経験はなく韓国に行きました。家族は野球選手が多く彼も野球一族の出身です。

 動画でも同じような話をしているのでそっちも見ていただければと思います。

基本データ

 メル・ロハス Jr.はアメリカ生まれ、ドミニカとアメリカの二重国籍を持つ選手で1990年5月24日生まれの30歳、外野手です。189cm/102kgの体格で2017年からKBOに参加しています。メジャーでの出場経験はなく、KBO挑戦一年目に18HRを放つと2年目に43HRを放つなど活躍、昨シーズンは47HR135打点で二冠王に輝く活躍を見せました。まあそんな感じの強打の外野手です。

通算成績

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 通算成績はこんな感じです。マイナーではそこまで長距離砲という感じではありませんでしたがKBO移籍後に長打力が覚醒しホームランが増えました。KBO最強打者の一人と言ってもいいでしょう。昨シーズンは二冠王だけでなく.349と言う高打率も記録しており、三冠王もありうるほどの結果を残しました。

 KBOのイメージといえば「打高投低」と言うイメージが強い人もいると思います。KBOは打者有利で結果としてKBOでの打撃成績は信頼できないという見方がありますが、実は2019年からKBOはボールの反発係数を日本のボールと同じにすると言う変更を行なっており昨シーズンは大きくホームランが減少したシーズンとなりました。しかし2020年は同じボールを使用しているにもかかわらずホームランは再度増加しました。これに関する理由は良くわからないのですが、コロナ関連で投手の体が仕上がっていなかったことが原因とされています。ともかくも、2020年のKBOは若干打高に寄ったという傾向があるわけです。

 またKBOからやってきた外国人選手のイメージといえば近年ではロサリオのイメージが強く、ロサリオは期待されていただけにその期待を裏切ったことでKBO野手に対する悪いイメージがついてしまったといえます。ロハスはロサリオの二の舞となることは避けられるのでしょうか。

打撃の傾向

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 KBO移籍前のマイナー時代の数字を持ってくることしかできないのですが、やはりアメリカ時代はそこまで長打力があるバッターではなくHR/FBは良くて10%台です。ゴロの割合も多く、長距離バッターらしさはそこまで感じません。
 打撃成績から考えてもロハスは中距離ヒッターで、KTウィズがどう言った選手を求めてこのロハスを獲得したのかというところから知りたい感じはあります。

 打球方向もマイナー時代は引っ張りが40%、流し打ちが35%ほどでセンター方向に25%と広角に打ち分けている感じです。センター方向への打球が比較的少ない感じです。

 以前の記事でも述べましたが、スイッチヒッターの野手というのは左右の打席で極端な打撃能力の差がある場合があり、そう言った選手は厳しいところがありますが、2020年のKBOでの左右別の成績がこちらです。

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 ただマイナーでの数字を見ていくと左打席の方が打率も長打も出ている場合もあり、左右の打席について得意不得意は正直評しづらい感じがあります。ただKBOでは右打席のほうが長打が出やすい傾向は顕著に出ていて、映像でも右打席はスラッガーらしい打撃が顕著に見られます。ただ右打席では三振が増加する傾向があり、同時に右打席でのフォアボールが減少しています。この辺は右打席の打撃力に若干の疑問を抱かせるポイントです。ただ2020年は右打席での選球眼に改善が見られてはいます。
 一方左打席でも長打力はあり打率も高いですが右打席ほどの長打力は見せていません。三振が少なくどちらかと言うとアベレージヒッター寄り、それでも高い長打力を持つバッターであると言えると思います。

選球眼問題

 正直この選球眼問題にメル・ロハス Jr.の記事は多くを割きたいと考えています。割といろいろ調べたので、それを比較しながら考えていきたいと思います。

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 まず選球眼関係なんですが、一番下が2020年のロハスの数字になります。そしてそれ以外は最近のKBO出身外国人選手のKBOでの数字とNPBでの数字の推移、そして一番下のロメロは今年のNPBで最もロハスに数字が近かった選手ということで挙げておきました。
 これらの数字を見て思うのは、まずロサリオの慎重なバッティングというところで、ロサリオは慎重な打撃をするのでボール球も振りませんがストライクゾーンも振らない、そういう傾向が見て取れます。しかしNPBに来てからは慎重さはあまり変わらないものの外スラに対する我慢できなさが露呈しボール球のスイング率がKBO時代よりも上がってしまうという結果になってしまいました。
 一方のサンズですがボール球は手を出さないがストライクゾーンにはロサリオよりも手を出す、ゾーン管理という部分ではロサリオよりも上と言える選手です。日本にきたサンズはさらに慎重さを増し、それがサンズの活躍につながったといえます。
 問題のロハスですが彼はロサリオよりもボール球に手を出していくかなり積極性の高いバッターです。コンタクト率はサンズも下回っており、ロサリオよりも積極的でサンズよりもバットに当たらないというこの結果はかなり不安を感じる部分であるところです。

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 BB/Kについても比較していきたいところなんですが、ロサリオは来日してからかなり三振が増えていてBB/Kを大きく落としています。サンズは若干三振の増加があったもののそこまで大きく数字は落としておらず、選球眼を評価できるところです。ではロハスはというと、KBO時代のBB/Kはロサリオやサンズよりも悪いという結果になっています。

 そしてこれらの問題は次の話題にも繋がってくるポイントとなります。

球種・コース

 サンズは特に外角と低めの変化球の見極めはKBO時代から高い数字を記録していてボール球スイング率ではロサリオに劣りましたが変化球の見極め能力ではロサリオを上回っている部分があります。しかしロハスは低めのボールに対し高いスイング率を記録し、また空振り率も高まっています。ボールゾーンの低めの変化球がガマンできないというのはロハスの生命線となる可能性があります。

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 球種別の数字を見ていくと変化球に対しての数字はそう悪くないように感じます。

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 低めのボールゾーンに対するコンタクト率がかなり悪い数字となっていて、これが不安要素となっています。

 もちろんスイッチヒッターなので外角の逃げる変化球という可能性を考える必要がない、つまり外スラ問題はスイッチヒッターという特性で解決できたといえますが、その代わり低めの落ちる変化球などに対する問題が明らかになっているといえ、ボールゾーンのカーブ、チェンジアップ、フォークに対してはかなり悪い数字が残っています。これらの数字はサンズ、ロサリオよりも悪い数字で、特にボールゾーンの低めチェンジアップに対する高い空振り率は彼の我慢できなさを強く感じます。
 ロサリオやサンズはチェンジアップに対してはガマンできている傾向があり、これらの二人と比較するとロハスは全体的に「ダボハゼ」的傾向があると考えられます。その上でコンタクト能力があれば良いのですがコンタクト能力は彼らよりも下、これはかなり不安要素と言えそうです。

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 まず左打席のコース別OPSですが、やはり低め、あとはアウトコースのボールゾーンに弱さがあります。ただ低めのストライクゾーンはかなりいい数字が残っていて、低めにはストライクは要らないというタイプかもしれません。

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 一方の右打席のコース別OPSですが、こちらはインローに弱さがありつつもアウトハイのボールゾーンにも弱さがあり、高めは得意なコースと言えると思います。

走力・守備力

 ロハスの走力はKBOでも二桁盗塁している通りまずまずの機動力があると考えていいと思われます。ただ盗塁技術は決して高いとはいえず、盗塁成功率は低いのでそう言った意味でチームに貢献することを期待するのは難しいものがあると思われます。

 ただ機動力があるという点で外野を守らせる場合の守備範囲についての懸念は多少払拭されるでしょうが、韓国野球のスタッツについてまとめているSTATIZでは2020年の守備についてマイナスが記録されており、決して守備が上手い方ではないもののライトを守らせられるというのはポイントでしょう。

 もし阪神が獲得するとなればレフトはサンズとなる可能性が高く、一塁はマルテと考えるライトを守れるかどうかというのは重要な要素で、そういう意味ではロハスは選択肢の一つとなるのではないでしょうか。

成績予想

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 まあ正直この成績予想については非常に悩んだんですが、とりあえず12月2日現在はこの予想でとりあえず決着をつけようということにしました。

 いつも通り上の数字はマイナー時代の数字から導いたもので、.256 18HR 出塁率.325となっています。マイナー時代の数字なのでやはり中距離打者に寄った成績予想となっています。

 もう一つはKBO時代の数字から予想したものですが、これは本当に難しい。打率についてはかなり控えめに.242、ホームランについてはやっぱりKBOで2度40HRを記録したことなどから長打力についてポジティブに評価し28HR(ただし所属チーム未定のためパークファクターは無視しています)、三振は多めという感じにしています。KBO時代はツーベースも増えていてその辺も多めの評価となっています。サンズの本塁打率が2019年のKBOと2020年のNPBでさほど変わらなかったので2019年のKBOでの数字をもとにホームランの数を決めたところもあります。

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 ちなみにいわゆるロマック算を使った場合の成績予想がざっくりこんな感じです。ロマック算がもし当たってしまった場合はコストパフォーマンス最悪の結果となってしまうでしょう。

 果たしてメル・ロハス Jr.はどうなるのか、そもそも来日するのか、KBO野手の成績予想の試金石としても注目しておきたいと思います。

サポートしてくださると非常にありがたいです。