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巨人が獲得したエリック・テームズの成績を予想する

 前回のメル・ロハス Jr.の記事はこちらです。巨人との契約が大筋で合意に至ったという情報が出ましたがどうもデマだったようですね。

2020/12/30追記

 テームズの巨人入りが決まったようです、予想が当たって良かったです。

はじめに

 エリック・テームズがどうも日米韓で獲得競争になってるらしいです。まあ正直年齢的には来年35歳でもうベテランの仲間入りという感じですが、それでもKBOとメジャーリーグで結果を残したバッターが日本に来るのは面白いかも知れません。

 今回はテームズの年齢的な衰えなども考えた上で成績を予想してきましたので、その話をしていきたいと思います。

 動画でも同じような話をしているのでそっちも見ていただければと思います。

基本データ

 テームズはアメリカ生まれ、1986年11月10日生まれです、年齢的には来年35歳になる選手で、ベテランと言っても良いでしょう。右投げ左打ちの野手で一塁と外野を守ることができます。KBOでは2015年に.381 47HR 40盗塁と圧倒的な活躍で一時は来日も噂されましたがMLBに挑戦することとなりました。MLBには4年間在籍しましたが2020年は.203 3HRと不振に終わってしまい、4年前のNPB移籍の噂が再び蘇ったという形です。

 韓国球界で2年連続40HR、アジア初の40-40達成など無双したわけですが、こうしてみるとスイングスピードがエグいなという感じですね、バケモンみたいな感じがします。

 これは昨シーズンの映像ですが、引っ張り方向への打球の強さは健在という感じです。2019年は.247 25HRとまずまずの活躍でした。

通算成績

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 通算成績ですがこんな感じです。KBOで無双した後メジャー挑戦して31HR、翌年は不振だったものの2019年に再度復活を見せナショナルズに移籍したものの、2020年はスランプに陥ってしまい、結果を残すことはできませんでした。

 テームズは左に弱いという弱点があり、そういう部分がメジャーでの定着を阻んだ印象もあります。

打撃の傾向

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 近年注目されているバレル率ですが、2019年から年々減少しており2020年は平均を下回る数字に終わってしまいました。こうしてみると2018年の不振もバレル率の高さを考えればボールを捉えること自体はできていたとみることもできそうです。そして徐々にボールを捉えることができなくなりつつあるとみることができるのではないでしょうか。打球速度についても低下しており、打球角度の低下も相まって長打力が低下しているとみることができると思われます。一方95マイル以上の打球の割合であるHardHit%は上がっていて、打球角度をあげることができれば長打力が復活する可能性もあります。

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 KBOを経てMLBにやってきたテームズはゴロの多い打者からフライボールヒッターになり、長距離砲への転身を果たしました。しかし2020年は打球角度が下がった影響もあるのかゴロの割合が増えてしまったということがわかります。
 HR/FBの数字についても2020年は大きく低下してしまうこととなりました。これは内野フライの割合が高くなっている部分もあり、外野まで飛ばすことができませんでした。

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 打球傾向ですが基本的に引っ張りが強いバッターでプルヒッター傾向があるのがわかります。逆方向へのホームランもないわけではないものの数は少なく、そしてセンター方向への打球も一定程度あるということがわかります。

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 ご覧のようにホームランはひっぱり方向に集中していることがわかると思います。

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 左右別の成績ですが顕著に左投手に対する弱さを見せています。特に左投手相手に内野フライが増える傾向もあり、特に左相手にフォアボールが減少するという傾向は対左の選球眼に問題を抱えていると言えそうです。もし来日する場合には左投手相手の場合のオプションを用意しておく必要があるかも知れません。

球種・コース

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 4年間の球種ごとの成績です。こうして見ていくと直球に対する強さは安定して発揮されている感じです。一方変化球に対しては弱さがあり、横に曲がる変化球に対しては弱さがあると言えそうです。一方落ちる球に対してはそこまで悪くない数字を残していたものの最近は数字が悪化しており、変化球の対応力に対しての不安はありそうです。
 チェンジアップとスライダーに対しては良い数字が残っており数字が期待できるものの特にカーブに対して悪い数字が出ており、直球に対する数字も加齢によるものか数字が落ちてきています。直球はNPBの方が遅いので何とかなりそうですが、カーブとフォークの問題を解決する必要がありそうです。

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 IsoDでメジャーリーグでも良い数字を残しているだけあり、ボール球をきちんと見極める能力があると言えそうです。しかし三振の多さがあらわすようにコンタクト能力には不安があり、空振りは多そうです。ボール球を見極めることができることからコンタクト能力の低さはそこまで不安にならないと考えられるでしょう。

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スイング率

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空振り率

 インローとアウトハイに弱さを抱えており、インハイも若干悪い数字が出ています。インローとアウトハイは見極めができている一方アウトハイはボール球でもスイングしていることが多く、インハイは彼のアキレス腱となるかも知れません。NPBではインコースが広くなること、それを利用してインコース攻めを受けることが考えられるため、このインコース問題をどうするかが彼の課題となりそうです。
 またアウトローのボール球に対しても数字があまり良くなく、見極めもできていないことからインハイからのアウトローという配球に苦しめられるのではないかという感じがします。

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 インローに対しては空振りが多い一方でxwOBAでは良い数字が残っている一方でインハイは数字が残っておらず、やはりインハイが問題となるのではなかろうかと思います。基本的に低めに強い傾向があり、アウトコースに対しても高めでなければなんとかなりそうです。

走力

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 走力については徐々に衰えがあり、走力はメジャーリーグ平均を下回っています。一塁到達タイムが4.43秒となっておりこれは左打者としてみてもNPBでかなり悪い数字です。機動力について期待するのは厳しいと思われます。

守備位置

 KBOでは基本的に一塁手をやっていたこともありメジャーでも一塁での出場が多いです。外野手としてはUZR、DRS、ARMの全てでマイナスの数字が残っており、外野手として期待するのは厳しい部分があると思われます。

 一塁手としてはメジャーリーグで2057イニングを守りUZR/150で-3.6、DRSは-10という数字が残っています。メジャーリーグでも決して守備が上手いというわけではなく、やはり起用位置は一塁手、またはDHが現実的な選択肢かなと言ったところです。

成績予想

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140試合/25HR/.248/.351/.440/.791/RC27 5.616

 今回の予想なんですが、まず2020年の数字とMLB通算の数字から予想される数字を予想し、そこから年齢による衰えを加味した数字としました。ボーアのことなども考えるとやはり左投手に問題のある左打者はどうしても数字が伸びないというところもあり、そういうところもあってこうした数字になりました。

 打率はあまり高くないですが出塁率はまずまず期待でき、長打力も20HRを期待できるぐらいのパワーはまだまだ期待できると思います。ただ左投手に対する弱さという問題は解決しておらず、ボーアのように左投手に苦戦する展開が想像できます。左に強いバッターとプラトーン運用するか、ボーアが左投手に対して苦手意識を克服しつつあったように対応することを期待するか、どちらにせよ問題はありますがそれでもNPBに来るのが楽しみなバッターです。

 DHがあるパ・リーグか、それとも一塁の強打者が欲しいチームにはテームズという選択肢があるかも知れませんね。

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