乃木坂6期生募集にまつわる杞憂

というわけで、あくまでも「杞憂」で終わってほしいと思いながら、不安を少し書き連ねてみる。
その前に、日本という国が……というより、日本企業がここまで衰退している現状の遠因として、社内における人材育成を放棄(?)したことがあげられる。
どういうことかというと、終身雇用制が崩れたことで、営利団体である企業は、せっかく育成した人材が転職、あるいはヘッドハンティングされる可能性を考えると、人材育成に力を入れることはメリットが薄いと判断したのである。

かつては、入社一年目は様々な部署を経験させ、適性を見定めてから責任ある実務をまかせていたものが、最初からエキスパートを外部から求めてきたほうが戦力化が進むという論理である。
それが、例えば大学における理系偏重だったり、研究よりもスキルという、大学の専門学校化を招いているわけで、気が付けば日本企業、ひいては日本という国そのものの国力低下を招いているのではないかと私は考えている。

さて、乃木坂であるが、5期は先日2周年を迎えたわけだが、メンバー一人一人が、もともと持っていた秀でた才能や実力を、短期間でさらに磨き上げ、戦力化し、成功している。
1期生が5年近くかかって成し遂げたことを短期間で継いだのは素晴らしいことだと思う。
しかし、それは最後まで残っていた1期生、秋元真夏と齋藤飛鳥のバックアップに加え、3期4期の受け入れからサポートを充分に受けられたこと。そしてメンバー自身が本当に高いスキルの持ち主であったことが重なった奇跡的な成功でもあることを忘れてはならない。

しかしながら、アイドルヲタという人種、特に幼稚な一部の連中は、デビューして1週間もたたないうちからランク付けをしたがり、下位メンバーを叩きたがる習性があるわけで、成功した5期のあと、6期は早めに結果を出すことを求められることになる。
そのとき、才能あふれる5期や、Isee…で早期に成果を出した4期と比べられることに耐えうる人材を……ということになると、非常にハードルも高くなってしまうだろう。

私は、乃木坂というグループは、素材育成型のもっとも洗練されたグループだと思っている。
「秋田の怪物」生駒里奈を内面・外見から磨き上げ、「大阪のヤンキーもどき」西野七瀬を儚げな外見、高いプライドを持つ女優にし、「かわいいだけの武器のない女」松村沙友理を女優からバラエティからモデルまでこなせるオールマイティに育て上げた手腕こそが、乃木坂の真骨頂であろう。

付け焼刃ではなく、本気で育成を考えれば、2年や3年で結果を求めるのは負荷がかかりすぎる。
暴走するファンにおもねって完成度の高いメンバーを選ぶのか、原点にある素材育成を重視するのか?
6期の選択は、大きな分岐点でもあるだろう。


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