欅坂を振り返る②~今泉佑唯という存在

今回のは、私個人の仮説である。まずはそのことを大前提として書く。
欅坂がスタートしたとき、私個人はダンスを得意とするパフォーマータイプの平手と、歌唱力の高い今泉、小林の「ゆいちゃんず」を交互に押し出すことを予想(期待といってもいい)していた。
ファーストシングルで「渋谷川」という曲をゆいちゃんずに与えたのは、おそらくはその布石だったと思う。
今泉佑唯は、過去にアイドルグループにも所属しており、握手会の神対応も評価が高く、バラエティでも頑張っていたメンバーだった。
しかし、「サイレントマジョリティー」の予想を上回る大ヒットにより、欅坂はダンスパフォーマンスグループであることを軸で進んでいく。
ダンスもできる今泉ではあるが、最大の武器である歌唱力を発揮することは難しく、グループ内の居場所に苦しむこととなる。
そのことがやがて休業から卒業へ…さらに、「いじめ疑惑」なるものまで落としていったのが、欅坂のブレーキへの序章となってしまった。
今泉自身は、その後、女優などへも挑戦し、自らの可能性を探っていったのだが、結婚にまつわる諸問題によって芸能界を引退することになる。
さらに、平手のグループ内ライバル(?)として、存在感を発揮してきた長濱ねるにも、運営のアプローチミスは襲い掛かる。
少し遅れて加入した長濱は、持ち前の頭のよさに加え、島育ちのおおらかさ、芋っぽさから、スタイリッシュな平手とは対極的な存在となることを期待されていたと思うのだが、加入早々、写真集、ひらがなけやき兼任、さらに選抜入りと怒涛のプッシュに、「からっぽになってしまった」という悲痛なコメントを残してグループからの卒業を決めてしまう。

このころの欅坂は、乃木坂を意識してか、かなりのメディア戦略をしかけてはいたのだが、下積みだけでも3年以上、キャリアを持ち、場数を踏んでいる乃木坂とは差が出てしまうことが多かった。
そのことにいら立ったファンが、過激な口撃を仕掛けていたのも、大きなダメージとなっていたのだが、さらにここで文春砲が追い打ちをかける。
つまり、経験が浅く、メディア対策が不十分だった欅坂メンバーの隙をついて、厄介ファンがプライバシー侵害(体調不良で休んでいる志田の地元まで探り出して報道するなど)おかまいなしの、自称取材攻勢(単なるつきまとい)をしていることが明るみに出てしまったのだ。

このときのメンバーの心境を想像すると、ぞっとする。
グループ活動では平手の影に隠れ、個人仕事も少なく、だけど休みの日もプライバシー侵害をしてくるマスコミやファンに着け狙われる。
何か起こせばグループに迷惑がかかり、何もしなければアイドルになった意味もない。
これはなかなかの地獄ではないだろうか?
しかも、じゃあグループ活動に専念しようにも、平手が体調不良になったら、武道館公演ですら中止となり、妹分の「ひらがなけやき」(現日向坂)が代理公演し、しかも成功してしまうのだから、これでヘラヘラと心穏やかでいられたら、菩薩を通り越してバカである。

そして、見切りをつけるメンバーが続出し、しかも平手までが卒業ではなく、脱退してしまったのだから、彼女たちが抱えた心の傷は決して小さなものではなかっただろう。


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